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ネトゲ女  作者: kaji
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第四十九話番外編ニートの華麗なる日常2「集結」


 俺はファンタジー倶楽部再結成を決意した次の日に相手と簡単に勝負の時間や禁止スキルなどのやり取りをした。今回は1PT限定の試合で禁止スキルなしのなんでもありということで纏まった。それと俺たちが勝ったら宮藤のIDを返してもらい俺たちが負けたら宮藤のIDが戻らないばかりか俺のIDも取られるということを再確認した。

 宮藤のためにこの勝負は絶対に負けられない。ネットゲームをやった人になら分かると思うがIDは今までの時間と労力の結晶だ。命の次に大事だと言っても過言では無いと思う。ネットゲームをやっている人間は睡眠時間や色々なものを犠牲にしてプレイしている。それを奪うとはとんでもないことだ。俺としては二度とこんなことをしないためにどんな手を使ってでも完膚なきまでにやっつけるつもりだ。

 俺は仕事中に会社のパソコンで昔のファンタジー倶楽部のメンバーに集結のメールを送った。急な話だったので非常に集まりは悪かったが何とか何人か良い返事がもらえた。とてもじゃないが仕事どころでは無い。俺は具合が悪いと言ってその日は早退していつものネットカフェに向かった。こういう時に普段真面目にやっていると融通が利く。仕事仲間にはネットを飲んで(すれば)治るからと言って早退した。

 俺はネットカフェで何とかやり取りを終え、昔のファンタジー倶楽部の集結場所ゴートマン洞窟B1座標98.116に19時に集結することにした。

 一時間前くらいに集結場所に着くと宮藤がもういた。宮藤は「昨日からいました」とか意味の分からないことを言っていた。彼は頭の先から足の指までどっぷり使った廃人なのできっと昨日からここに居たのだろう。あまりそういう所は突っ込まないのがこの世界の暗黙のルールだ。

 19時近くになるとどんどんメンバーが集まってきた。まずは魑魅魍魎膃肭臍ちみもうりょうおっっとせい。彼はチートやRMTなどグレーゾーンぎりぎりの手またはアウトの手を使うのが得意な人間でよく運営にIDを削除されている。少し前にネット上で晒されてこのゲームに居場所が無くなっていたので身を隠していたのだが今回は急遽参加してくれた。操作キャラクターは新キャラクターの格闘家。


魑魅魍魎膃肭臍 ぬははは。おひさしぶりでございます。ニート殿

ニートは人間国宝 おう。久しぶりだな。お前の噂はよく聞く。相変わらずらしいな。

魑魅魍魎膃肭臍 なはははは。私なぞとてもとてもひよっこのようなものですよ。


 お次はじじいエキスポ。名前の通りに自称じいさんだが本当の所は分からない。このゲームができた時からいるらしいのでかなりの古参の人だ。俺は昔から世話になっているのでこの人にはどうも頭があがらない。操作キャラクターは新キャラクターの薬師。


じじいエキスポ ニート。久しぶりじゃな。

ニートは人間国宝 お久しぶりです。今回は参加していただきありがとうございます。

じじいエキスポ なんの。なんの。久しぶりにお主と一緒に戦うことができてうれしい限りじゃよ。

ニートは人間国宝 よろしくお願いします。


 お次はみたらしだんご。兄妹で一つのIDを共有しているという変わったやり方をしているやつらだ。兄貴の方が支援を得意として妹の方が攻撃を得意としている。性格も攻撃スタイルと似ていて兄の方が弱々しくて、妹がかなり攻撃的な性格をしている。操作キャラクターはロボットの改良版ロボット改。


みたらしだんご ニートさんまだこのゲームやっていたんだね

みたらしだんご お兄ちゃん。そんなこと言ったら可哀想だよ。あれでもこの前のトーナメント本戦まで行ったんだからね。

ニートは人間国宝 うるさいな。お前らは相変わらず。まあよろしく頼む。


 お次はリラックライマックス。何に対してもやる気が無いダウナーな性格をしている。今回も引っ張ってくるのが非常に苦労した。レベル上げ手伝ってやるということを約束して何とかオーケーしてもらうことができた。プレイヤースキルはあるのだが精神的にかなりムラがあるのでできればこいつはあまり使いたくないのだが俺が呼べる牧師はこいつしかいなかったので仕方がないので呼ぶことにした。操作キャラクターは牧師。


リラックライマックス ニートさん。めんどくさいんすけども。帰っていいですか? 試合もできれば出たくないんすけども。

ニートは人間国宝 待て。もうちょっと居ろよ。試合は最悪。最初に支援だけかけて後は寝ていてもいいから。頼む。


 後は宮藤だがまあこいつはどうでもいいだろう。とりあえず紹介しておくと操作キャラクターはこれも新キャラクターMobモンスター使いだ。メインIDの宮藤ナイトが盗まれたのでサブのネタで作ったキャラクターで参戦する。Mobは土壁男。俺も初めて見るキャラクターなのでどこまで使えるのか未知数だ。宮藤だしあまり期待はしていないが。


ニートは人間国宝 みんなよくあつまってくれた。改めて感謝する。

魑魅魍魎膃肭臍 ニート殿。六人じゃないか。後、一人は後で来るのか? 確か1PTで対決するって聞いたが……。

ニートは人間国宝 もう一人は元ファンタジー倶楽部から集まらなかったので俺の知り合いをゲストキャラとして入れることにしたから心配するな。

ニートは人間国宝 任せておけ。すごいゲストだ。

魑魅魍魎膃肭臍 さすがニート殿。良い人脈を持っているな。


 実はまだ決まっていなかったが何とかなるだろうと思って適当なことを言っておくことした。当ては無い訳では無いので嘘では無いだろう。


ニートは人間国宝 経緯は話したと思うが宮藤のIDが奪われた。これは俺たちに対する挑戦状だ。ファンタジー倶楽部の威信にかけても絶対に負けるわけにはいかない。

じじいエキスポ それでじゃが。わしが調べた限りじゃと相手はかなり手強いぞ。BBSの格付けじゃとGランクじゃ。

みたらしだんご 大したことないじゃんか。

じじいエキスポ ちなみにニートが所属しているレッドウィングはJランクじゃ。

ニートは人間国宝 俺のチームはそんなものなのか……。

じじいエキスポ まあ格付けに載るだけでも大したものじゃがな。

みたらしだんご 32チームしかランクインしないんだから元気だしなよ。

ニートは人間国宝 楽勝だと思っていたがやばいかもしれないな。


 これはやはりあの人に早くオファーを出さないといけないのかもしれない。あの人ならきっと俺たちを勝利に導いてくれる。その日はその後、軽く雑談をして解散した。


 次の日、俺はレッドウィングのマスターのねこねここねこに今回のチーム戦に参加してくれるよう頼むことにした。勝つためにはどうしてソロで相手を倒す程の火力が欲しかった。ねこねこさんはリアル(実生活)で引越しして忙しいようで中々うまくインできていないらしいが何とか時間を作ってもらって会うことができた。


ねこねここねこ 嫌よ。私忙しいし。

ニートは人間国宝 頼みます! ねこねこさん。

ねこねここねこ 何であんたのチームに出なければならないのよ。嫌よ。

ニートは人間国宝 分かりました。一人撃墜するごとに50M(五千万)払いますからお願いします。

ねこねここねこ えー。50Mねー。そうねえ。100M(一億)なら考えてもいいわ。

ニートは人間国宝 100Mですか……。75Mとかにならないですか。さすがに一人につき100Mはちょっときついです。

ねこねここねこ 100Mならやるわ。別にいいのよ。私はやらないだけだから。

ニートは人間国宝 わ。分かりました。100Mでお願いします。

ねこねここねこ ちなみに試合後にすぐ請求するからお金用意しておきなさいよ。後、これと。これとこれ必要だから用意してね。


 ログを見ると高価がアイテムでいっぱいだった。これはかなり高くつきそうだ。しかし、断る訳にはいかないので首を縦に振るしか無かった。


ニートは人間国宝 はい……。

ねこねここねこ じゃあ交渉成立ね。あー。面倒くさいけど仕方ないから出てやるからねー。じゃあねー。


 同意したが10人倒せば1G(10億)取られる計算になる。下手すると俺は買っても負けても全財産奪われることになるかも知れない。しかし、これくらいのリスクは背負わないと負けてしまう。何せ負けると俺のIDも失うことになるのだ。まあ1Gなどはした金だ。それにしてもなぜかいつの間にかに今回のチーム戦は俺の人生を左右する勝負となっているようだ。これではまるでパンクのようでは無いか。その日、俺は一人で落ち込んでネットカフェに持ち込んでいた酒をかっくらいながらチーム戦の準備をした。


※注

Kはネットゲームの単位で千 例 1k1000 10k 一万

Mはネットゲームの単位で百万 例1M 百万 10M 一千万

Gはネットゲームの単位で十億

ご拝読ありがとうございます。

 軽く短編を書くつもりでしたが結構真面目に書く羽目になってしまいました。力の入れ具合は本編以上なのでよろしくお願いします。

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