表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネトゲ女  作者: kaji
47/70

第四十七話「交流戦(後編)+終わりのはじまり。そして……」

ケミカルアイカ さてこれからがメインイベントっす。


ケミカルパンク 結局何をするんだ?


ケミカルアイカ 最強のマスターは誰だ? バトルロワイヤルー。どんどん。ぱふー。

ケミカルアイカ 説明しよう。このバトルロワイヤルとは―



回りくどい説明だったので要約するが3チームのマスターで勝負しようということらしい。なんで急にこんなことをやるのかとアイカに問いただしてみたらアイカが一番強いのか個人的に見てみたいからというどうしようもない理由からだった。まあ別にいいけども。



ケミカルアイカ 時間が無いから早くっすよ。


ねこねここねこ 本当にやるの?


タリア ねこさん覚悟した方がいいですよ。


ケミカルパンク 仕方がねえなあ。



俺たちは湖の中央の広場に集まって俺とねことタリアが中央付近に一定の距離を空けて対峙した。



ニートは人間国宝 さあ。賭けた。賭けた。パンクは20倍の大穴だよ!


ケミカルパンク 賭けんなよ! しかも俺大穴なのかよ!


タリア 当たり前だろ。何言ってんの。


ねこねここねこ 立場をわきまえた方がいいんじゃない? みんな私に掛けなさいよ。



俺は大穴だということを聞いて結構ショック受けた上に2人からはありがたい罵倒の言葉を言われた。今気づいたのだけどネットではこの2人って似ているなあ。どちらも俺を罵倒することに喜びを感じているタイプだ。

 それよりも俺はねこに秘密会話で協力を申し出た。



ねこねここねこ様へ おい。ねこ。俺と組んでまずタリアと倒さねえか。


ねこねここねこ様から 嫌よ。あんたと何で組まなきゃならないの?


ねこねここねこ様へ 頼むよ。どうしてもタリアにぎゃふんと言わせたいんだよ。


ねこねここねこ様から そんな江戸時代のギャグしか言えない人とは組みたくない。


ねこねここねこ様へ 本当に駄目?


ねこねここねこ様から 駄目!


ねこねここねこ様へ 駄目?


ねこねここねこ様から しつこい! 駄目って言っているでしょ。


ケミカルアイカ じゃあもう後5分しかないから3カウントで行きまっすよ。


ケミカルパンク くそ。駄目か。


ケミカルアイカ ん? どうしたっすか?


ケミカルパンク いや。何でもないお。


ねこねここねこ ……。



どうやら交渉は決裂したようだ。まずいな。たぶん。俺が一番不利だ。あの2人。絶対に俺をまず真っ先に消しにくるはずだ。



ケミカルパンク ああ。いつでも来い。


ねこねここねこ どうぞ。


タリア それでは。頼む。


ケミカルアイカ 3


ケミカルアイカ 2


ケミカルアイカ 1


ケミカルアイカ スタート!



俺はまずねこねここねこを倒しに行くことにした。さすがにタリアは無理だ。ねこなら何とかなるかも知れない。



ケミカルパンク 死ね! ねこおおお!


ねこねここねこ 甘い。


ケミカルパンク ぐ。


タリア ふふ。



いつの間にか俺のキャラが凍らせられて動けなくなっていた。これは確か魔法使いの足止めスキル「コールドフォール」だ。さすが高レベルのハイブリッド魔法使いだ。色々な手を持っている。何とか抜けだそうとしたがどうしても抜けられない。動けないのではねこねここねこに近づけない。



ケミカルパンク くそ。やりやがったな。


ねこねここねこ どうやら相談しなくても意見は同じようね。


タリア 目障りだ。パンク。消えろ。



無情にねこの矢が俺に突き刺さる。俺も脱出しようと必死に抵抗するが中々がっしりと凍っていて脱出できない。氷を破壊してもすぐ上書きされて再び俺のキャラが凍る。俺は脱出するのは諦めて剣士の防御スキル「矛盾の盾」でブロックに徹した。



ケミカルパンク くぉら。やれるもんならやってみろ。


ねこねここねこ 言ったわね。覚悟しなさいよ。



ねこねここねこは無数の矢を番えて一度に発射した。弓師最強技「サウザントボウ」だ。俺は何とか1発目はブロックしたが2、3発食らう間に盾の耐久力が見る見るうちに無くなっていった。



ケミカルパンク まずいな。これは盾が持たない。


ねこねここねこ ラストー。死になさい。


ケミカルパンク あああ。死んだわー。


タリア よくやった。ねこ。


ケミカルアイカ 兄さん。もうちょっと粘ってくださいよ。


ケミカルパンク こんなもん粘れるか!



俺はさすがに耐え切れずに体力ゲージを全て失い、死亡した。結果的に一番初めに脱落してしまったのだ。情けないが仕方が無い。さすがの俺でも無理だ。

 残り2分程残して女2人の一騎打ちとなった。さてどちらが勝つだろうか。レベルではタリアが上回っているがねこもプレイヤースキルは常人を遥かに凌駕している。2人を昔から知っている俺でもどちらが勝つか予想できなかった。



ケミカルアイカ どっちもがんばれっすー。


ニートは人間国宝 マスター。勝てますよ。楽勝です。


ホップステップごま塩 何を言っている。勝つのはタリア様だ。ふざけるな。


ニートは人間国宝 なんだと。やるか。


ホップステップごま塩 望むところだ。こっちに来い。



何だか外野では別のどうでもいい戦いが勃発しようとしている。全くいい年してみっともないやつだ。



ケミカルアイカ 何かあの2人変なオーラが出てるっすー。


タリア あなたとは一度決着をつけたかった。


ねこねここねこ 奇遇ね。私もよ。



何だか2人しか分からない何かを掛けて勝負でもしているようなそんな雰囲気を感じた。



タリア もう時間が無い。行くぞ!


ねこねここねこ いつでもどうぞ。



タリアが「ファイアーボール」をあり得ない速さで連発し、ねこねここねこはそれを素早い動きで遮蔽物などを利用して見事に避ける。ねこねここねこは僅かな隙を見つけてタリアに向けて無数の矢を射掛ける。タリアも小刻みに「ワープ」しながらねこの攻撃を極力食らわないようにしながら「ブリザード」や「ファイアーボール」を使って反撃する。



フリーライター猿 見事な戦いでござるな。


ケミカルパンク やばすぎだろ。


ささくればくはつ さすがタリア様あああああ。



みんな2人のテクニックに驚愕していた。残り2分早くもタリアはラストスパートをかけた。タリアは「コールドフォール」でねこねここねこを足止して小惑星落としを連発。止めは「ランプオブアイス」で無数の氷の塊で攻撃して一気にねこねここねこを倒した。



ケミカルアイカ 勝負ありっす。勝者タリア~。


ホップステップごま塩 おめでとうございます。


惨劇のクマさん タリアさんおめでとうございます。ねこさんはどんまいです。


来期は2軍 2人とも良かっただすよ。では生き返らせますだすね。



牧師の来期は2軍がねこねここねこを生き返らせた。残りは1分もない。ねこねここねこはタリアに近寄ってログを残した。



ねこねここねこ 後は任せたわ。


タリア うん。



何を任せたのかは知らないが2人の中で何か決め事があったのかもしれない。



『Aチームの勝利で試合が終了いたしました。お疲れ様でした』



終了のアナウンスが流れて俺たちはチーム戦のステージから放り出された。終了後、いつもの集会所に集合した。

ここで今回の交流戦はねこねここねこがんばって交流戦&送る回だということをねこねここねこに明かした。



ねこねここねこ うすうすは気づいていたわよ。


ケミカルパンク じゃあ俺たちから一人ずつ言葉を贈るか。


ねこねここねこ いいわよ。別に。


ケミカルパンク いいから。いいから。じゃあ誰行く?


ニートは人間国宝 私が行くぞ。では一言。これから先は長い。頑張るんだぞ。


タリア 後は任された。安心して行ってらっしゃい。


フリーライター猿 ご武運を。


かいわれ男爵 人というものは新しいなものを見たり聞いたりして成長するものです。頑張ってください。


雄星民営化 何だか分からないけど頑張れ!


サイキッカー 転校してもネットで待っていますね。


メッ祭 がんばれ。がんばれ。ねこねここねこ!


君は夢を見る がんばれ。


スパークリング ファイト!


惨劇のクマさん 長い付き合いでしたのに非常に残念です。初めて会った時は……省略………でした。長くなりましたけどもこれからも宜しくお願いしますね。


佐藤協奏曲 ぐ。ふぁあ。健闘をば。ぶほお。

ロマンチストジャーニー ねこさああああん。ねこさんならどこに行ったってええええ。やっていけますよおおおお。僕が保証してあげますからねええええ。とにかく頑張ってくださあああああい。


ヒルマン=ナイフ コニシキ。ごほん。ベストを尽くすんだ。


近未来ハウスキーパー ねこさんYO。最高だったZE。これからも最高なねこさんでいてくれよNA。転校? 俺たちにとってそんなものは問題じゃないDARO。まあ頑張れ。


混ぜるな危険 ねこねここねこさん。頑張ってください。応援しています。


来期は2軍 ねこさん。がんばるだすよ。最初は苦労することもあるだすがレッドウィングも魂で乗り切るだすよ。


カメルーンの星 がんばれ~。


わんわん物語 ねこマスタ。頑張るワン。ファイワン。ファイワン。ウー。ファイ!


インフレーション これが終わりじゃない。始まりだ! 行けば分かるさ。ファイトおおお!


ホップステップごま塩 先程の戦いほれぼれしました。ぜひこれから応援させてください。今度は私と勝負してください。転校先でも頑張って。


加重300% ノ ノノ ノノノ ノ ノ ノ


ささくればくはつ タリア様に負けはしましたが落ち込まないでくださいね。なぜならタリア様はすごすぎますので恥じることはありません。タリア様はいつでもあなたの壁となって立ちはだかります。再戦はいつでもお待ちしておりますのでこれからも精進なさってください。


ライト・ヒア・スタンディング がんばれ!


オニキス がんばれ!!


ラストライフ がんばれ!!!

ケミカルアイカ タリアちゃん。すごく悲しいっすけども仕方が無いっすよね。後、少しだけしかいられ無いっすけどもこれからもよろしくっす。がんばれー!


ケミカルパンク これからはノートは自分で何とかしろよな。それだけだ。またな!


ねこねここねこ 頑張る……みんなありがとう。



みんな思い思いの挨拶をねこねここねこに送った。チャットだけど意外と照れた。ネット上なのでねこねここねこが本当に喜んでいたのか分からないがたぶん喜んでもらえたと思う。俺も楽しめたし、いい思い出ができてよかった。里美はこういったことが嫌いなのかと思っていたが俺の思い違いのようだ。誰でも祝われて嫌な人間などいない。俺は面倒なのが嫌いだがこういうのも悪くないなと思った。とにかくみんな楽しそうだったし何よりも里美が楽しめたようでよかった。今から思えばこの頃が一番楽しかった時期だったかもしれない。



交流戦から1月後、里美は転校していった。最後は言葉少なく俺の前から去っていった。先生が事務的にお別れの会を開いて里美は去っていった。意外に呆気ないものでこんなものかと他人事のように感じていた。未だに俺は里美が俺の近くからいなくなるという実感が無かった。俺には直接は何も言って来なかったがお別れの時に目が合った。大丈夫だから心配しないでという感じで右手を上げた。俺も上げ返した。里美は満足そうに去って行った。さすがの俺も急に寂しくなって泣きそうになった。そんな俺に気づいて内藤くんが俺の肩に手を乗せて俺がいるからと囁いた。俺は寒気がして思わずその場から走り去った。俺は、何だか色々な物から置いていかれるような漠然とした不安感に襲われた。            

家に帰るとメールが一つ来ていた。


「さよなら。またネットで」


そうだ。俺たちはネットに行けばいつでも会えるんだ。俺は何だか急に安心感に包まれた。またな。里美。ネットで会おう。それでそっちの学校の事を教えてくれ。俺は愚痴でも何でも聞いてやる。俺は窓を空けて換気をした。温かい優しい風が入ってきて俺の肌を触った。その日の天気は里美を祝福するような気持ちのいい晴れ間だった。


FIN





え。結局チーム対抗戦はどうなっていたかって?あまり話したくは無いのだが言わなければならないか。結論から言うと俺たちは里美とタリアを加えてBSRに望んだがあっさりと負けてしまった。

タリアの鬼気迫る感じで望んだが結果は敗れてしまった。試合終了後にはタリアの叫びがネット上に響き渡った。何がだめだったのだろうか。戦力の差は確かにあったがこれほどあっさりと終わってしまとは思わなかった。結局、第1回トーナメントの優勝はBSRだった。これで名実共にBSRがファンタジークエストのNO1のチームになったのだ。優勝賞品の100億と中世の城のような集会場はBSRのものとなった。俺たちは入賞はすることができる参加賞のパンドラの箱Cをもらった。試合後、タリアがかなり落胆していたのが印象的だった。さすがの俺もかける言葉が見つからなかった。あれほどBSR戦には拘っていたので少し気の毒だった。

数日後、タリアは誰にも何も言わずに俺たちのチームから去っていた。その時の俺は彼女を止める資格はないと思ってタリアを引き止めることをしなかった。結果それっきりタリアとの関わりが無くなってしまった。ああ言った経緯だったので俺から声も掛けづらくなってしまったのだ。

アイカの話では本気でBSRを倒すためにレベルを上げているらしい。俺はどこで選択肢を間違えてしまったのだろうか。もしかしたらタリアのことをもう少し気に掛けていたらもっと違う結末も見えたのかもしれない。それだけが悔やまれる。

里美とはリアルで会うことは無くなったがネットを通して毎日ように会ってはチャットや狩をしている。話を聞いてみるとどうやら向こうでもなんとかやっているらしい。  

結果的には良いほうに進んでいると思う。しかし、この胸にわだかまるなんとも言えない気持ちは何なのだろうか。俺は何か大切なものを置き忘れているようなそんな感覚を最近感じるようになっていた。

BSRの青空はトーナメント1位に味をしめ、更にチームの増強に余念が無いようだった。ファンタジークエスト内の発言力も大きくなり、運営側も無視できない状態になっていった。果たしてこのまま青空を放置して良いのだろうか。不安を覚えるのが今の俺ではどうしようも無かった。

タリアは相変わらず黙々と来るべき時に備えるためにレベル上げを続けていた。俺はというとまあまあ楽しくやっている。俺には内藤君も愛華もいるし、まあ、後、最近ぎこち無いが良子ちゃんもいる。たまにみんなでエアーホッケーをしたりしている。相変わらず2人とも鬼ように強かった。この前目隠しさせて対戦したがなぜか接戦の上負けてしまった。俺は冗談でやったのに負けてしまったのでかなり落ち込んだ。そう。そう。最近リズムゲームを始めたよ。あの太鼓のやつね。

 とにかく俺はそれなりに楽しくまったりやっているよ。里美もうまくやっているんだよな。今度友達をネットに連れて来いよ。いい狩場教えてやるからさ。じゃあ今度はネットで。


第3部完


ご拝読ありがとうございます。

 これにて第3部終了といたします。一応まだ続けたいと思っておりますが準備のため少し休載したいと思います。詳しくは活動報告の方に書きますのでよろしくお願いします。後でスピンオフも書こうと思いますのでそちらもよろしくお願いします。

 これからもネトゲ女並びに他作品をよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ