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ネトゲ女  作者: kaji
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第四十一話「それぞれの想い」


タリア ここに来るのも久しぶりね。


私は久しぶりに支援魔法使いのタリアとしてファンタジークエストのフィールドに立っていた。今までは殆どタリア隊のメンバーに任せていたのでタリアとしては久しぶりだった。                           

 懐かしい場所に来た。ゴールデンリバー城。ここはタリア隊の集合場所だった。その奥の謁見部屋。メンバーがタリア様にはこの場所が相応しいと言って用意してくれた場所。彼らはいつもたまにしか来ない私を暖かく迎えてくれた。きっと今日も暖かく迎えてくれるだろう。

 謁見部屋に着くといつものメンバーが待っていた。私が来るのが分かっていたのか1列に隊列を組んで待ち構えていた。


ホップステップごま塩 タリア様お帰りなさい。お待ちしておりました。

タリア ただいま。ご無沙汰していてごめんなさい。


ここまで徹底されるとさすがの私もその気になってくる。初めの頃は嫌で逃げまわっていた。でも彼らの熱意に負けて私はマスターをすることになった。正直初めはメンバーのレベルはかなり低いものだったので私も嫌々だったのでみんなごま塩に任せていた。

 ごま塩が私に着いて来るようになったのは青空にチームを潰されたごま塩を救ったことだった。少し助けただけだったのだが恩義に感じて同じような境遇のメンバーを集めて再びチームを作った。正直彼のバイタリティには頭が下がる想いだった。私には到底できない。

ケミカルパンクには言わなかったが私はこの勝負に勝ったらレッドウィングを吸収することに決めていた。私は絶対に青空を許せない。しかしこれからもこのメンバーで戦い続けるのは厳しいと思っていた。それで私のタリア隊1PTとレッドウィング1PTでこれからチーム戦を望めばこれからの勝負もいい勝負ができそうだと考えていた。


タリア みんなこのチームトーナメントは勝たなくてはいけない。私も負けるわけにはいけないの悪いけれど付き合って欲しい。

ホップステップごま塩 私たちもそのつもりです。心は一つです。タリア様。

ささくればくはつ タリア様ああ。一緒に頑張りましょおお。

タリア そうね……。ありがとう。クールフラワー。私はやるよ。

ホップステップごま塩 どうしました? タリア様。

タリア いや。昔を思い出していただけ。さあ! 次のチーム戦の作戦を立てましょう。


思わず昔のことを思い出していた。もう戻って来ないだろう人物。彼のためにも負けられない。ケミカルパンクには悪いけど私は負ける訳にはいけないのだ。その日、私達は遅くまで作戦を練った。



ケミカルパンク さすがにしんどくなってきたな。


今の時刻は午前3時45分。ネットにもぐり続けて2日目の夜というか朝がやってきていた。先程からあくびと肩の痛みと目が痛くてたまらない。いますぐにでも横になりたいが横になってしまったら寝てしまうので我慢している。コーヒーを飲んだり栄養ドリンクを飲んだりしているが全然効かない。俺は思い切り背伸びをして首を回した。一瞬疲れが取れた気がしたが取れた気がしたのは一瞬だけだった。

俺は今日までタリア隊に勝つための秘策としてあるアイテムを入手するためにクエストを受けていた。そのアイテムは『トランスD』というアイテムで一時的に攻撃力が飛躍的にアイテムだ。1回クエストを受けると1つもらえるのだがランダムで%が変わるのであまり数字のよく無いアイテムは店売り用にしてもっといいのを探していた。目標は最高補正で攻撃力300%の200秒だ。これを攻撃陣の人数分集めないといけないので非常に骨が折れる。店でも売っていることは売っているのだがとても高くて手に入れることができない。俺は最高補正の『トランスD』を拾うために何度もクエストを受けていた。


ケミカルパンク 待ってろよ。タリア。無敵の浮沈戦艦も次で返上してもらうからな。



そのころ学校では悠一が2日も来ないのでさすがの生徒に無頓着な先生も心配している素振りを見せていた。岡崎が2日も休むなんて珍しいな。あいつは来るなって行っても学校に来るやつなのになと言いながら生徒の笑いを取っていた。私にとってはちっとも笑えないギャグだったので不機嫌な顔をしていた。


「おい。岡崎はどうした。前田知らないか」

「岡崎くんは(頭が)が風邪を引いて休むそうです」

「そうか。ついにか。前田お大事にと伝えてくれ。それともう戻って来なくてもいいからなと一緒に伝えてくれ」

「はあ……」

「よし。今日の授業はこれで終わりだ。日直!」


やたらと先生は生き生きとしていた。号令が終わるとスキップで教室を出て行った。今日はお赤飯でも炊くのかもしれない。


「あいつは本当に馬鹿なんだから……」


なぜか私は笑っていた。あいつはきっと次は私がチーム戦に出るから負けるわけにはいけないとか勝手なことを思っているに違いない。そんなことはどうでもいいのに。今日学校が終わったらあいつのアパートに行ってみよう。あいつの好きな飲む生キャラメルを持って行って思いっきり馬鹿にしてやろう。そんなことを考えていると楽しくて仕方がなかった。もう時間は残り少ないが思い切り楽しもうと思った。



4日目、俺はもう起きているのか寝ているのか分からない状態に陥っていた。昨日だったか一昨日に里美が来たような気がしたが寝落ちしていたのであまり相手ができなかった。廃人起きろとか言われて蹴り飛ばされて少し起きた気がする。悪いなとか言った気がしたがあまり覚えていない。部屋には「チーム戦絶対勝とうね!」とマジックで書かれた飲む生キャラメルがあった。俺はそれを見てなぜか泣きそうになったが元気が出た。今度会ったらお礼を言おうと思った。

俺は意識のある時はひたすらアイテムを探していた。そのうちいつの間にか眠っていて、起きたらまたアイテム探しをした。

その生活を繰り返してついに決戦の日を迎えることになった。さすがにあまり休む訳にはいかないのでその日は久しぶりに学校に行った。校門の前に見たことがある黒髪の眼鏡っ娘がいた。近づくと良子ちゃんだった。リアルでは敵同士では無いはずなのでフレンドリーに挨拶をしてみる。


「よお。久しぶりだな」

「……」


じっと見つめる。良子ちゃん。何か刺々しいオーラが感じられる。いったいどうしたのだろうか。


「岡崎先輩が……何をしようと……私には適わない」


そう言うと一人でさっさと行ってしまった。どこかで選択肢をミスったのかもしれない。


「フラグ折っっちゃったかな」


俺はふらつきながら学校に向かった。さあ授業が終わるまで爆睡しよう。催眠効果がある先生の授業は睡眠薬よりも効果がある。きっといい眠りが期待できるはずだ。もちろん目覚ましには里美を使おう。そして一緒に俺のアパートでファンタジークエストにログインしよう。そう思っただけで俺は少し元気になった。


ご拝読ありがとうございます。

 次回からはチーム戦に入りますのでよろしくお願いいたします。

次回は1月10日を予定しております。

よろしくお願いいたします。

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