表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネトゲ女  作者: kaji
37/70

第三十七話「彼女との賭けと約束」

「私……次のチーム戦……出られないと思う」

「どういうことだ?」

「先輩。公式HP見ていないんですか? この前大規模なアップデートもあったのに」


愛華が意外そうな顔してきた。携帯はいつの間にかにポケットかどこかにしまったようだ。


「ああ。最近ちょっと忙しくてな。見ていないな」


真板さんを見ると幾分不機嫌な感じに見えた。これがネット上だったら色々と言われているのだろうけどもどうも彼女はリアルではうまく伝えられないようで黙っていた。


「私から説明しますね」


見かねて愛華が真板さんの代わりに理由を説明してくれた。愛華の説明ではどうやら次の対戦相手が真板さんのメインのキャラがいるタリア戦隊だということで不本意ではあるけども一応名目上はマスターということになっているので参加しない訳にはいけないということだそうだ。


「だから……ごめんなさい」

「いや。まあ仕方がないだろ。マスターなのだからさ。でも困ったなあ。ねこねこが今出てない状態だから1人欠けるんだよなあ」

「そうですねえ。どうしましょか」


俺たちが考え込んでいると唐突に真板さんが声を掛けてきた。


「岡崎先輩……私と賭けをしてみませんか?」

「何だ。賭けって?」

「折角……岡崎先輩と勝負する機会になったんです。何かを賭けてみませんか? その方が面白い」

「なるほどな。それは面白そうだ。で。何を賭ける」

「そうですね……。負けた方が……勝った方の言う事を聞くのは……どうです?」


ベタな要求だが面白そうだ。真板さんはとてつもないくらい変なことを考えているようで不気味な笑いを漏らしていた。まあ何かを賭けていた方がやり甲斐があるからなそれでいいだろう。


「よし! 乗った。悪いが俺は負けないからな。まあ後、ハンデをお前にやろう。俺のチームが勝ってもお前のキャラを一度も倒せなかったら俺は負けを認めよう」

「先輩。調子に乗ってそんなこと約束していいんですか? 知りませんよ」


タリアのメインキャラは支援系魔法使いで絶対に倒れない浮沈戦艦として有名だ。タリアとは色々な意味で決着をつけたいと思っていたので俺はこの機会を利用して引導を渡してやることにした。俺の知っている情報ではタリア戦隊はタリアのワントップのチームだということは知っていた。ここは余裕を見せてハンデをやることにした。


「相手を完膚なきまでも叩きのめすのが俺の信条だ!」

「岡崎先輩がそれで……いいのでしたら。では私は作戦を立てますのでこれで……」


そう言って真板さんは意気揚々と出て行った。


「勢いで言ってしまったがやばいな。どうする? 愛華」

「知りませんよ。私は」

「何でそんなに冷たいんだよ」


そう言って俺は愛華に縋り付いた。愛華は心底嫌がって必死に引き離そうとした。俺はスカートのポケットを探って携帯を探したが見つからなかった。あいついったいどこに隠しやがった。


「ああ。もう鬱陶しいですね。分かりましたよ。私たちが勝つにはやっぱりねこねこさんに復帰してもらうしかないですよ」

「やはりそうなるのかあ……。どうすれば復帰してくれるかなあ」


二人で考えてみたが結局休み時間の間では結論が出なかった。俺は愛華と夜にネットで作戦を立てることにして解散した。

 放課後、例のごとく里見は帰りのHRが終わるとすぐさま教室を出て行った。やはり里美のバイトの件が最近ネットに出てきていないことと関係があるのだろうか。

 夜、ファンタジークエストのマップの1つ、廃工場跡の森でアイカとタリアとどうすればねこねこが復帰してくれるかを考えていた。これから敵になるタリアがなぜこの相談に参加してくるのか気になったが何か問題あるとか言って開き直られたのであまり深くは気にしないことにした。あれこれと言い合っていたが結論としてはやっぱり改めて向きあって聞くしかないという結論に至った。


ケミカルパンク やはりそれしかないよな。

ケミカルアイカ 私たちであれこれ考えても仕方がないっすよ。飛び込んで見事玉砕するっすよ。

♪タリア♪ あなた頭悪いんだから考えても仕方がないんだから聞くしかないじゃない。

ケミカルパンク 悪かったな。頭悪くてよお。ああ。分かったよ。そうするよ。

限りなく青い空 よお。久しぶりじゃねえかよ。


俺たちに会話に割り込んできたやつがいると思って名前を確認してみるとBSRのマスター限りなく青い空だった。最近出てこなくて平穏な日々が続いていたのだがついに出てきやがった。


ケミカルパンク なんだ。お前何しに来た。

限りなく青い空 何って最近躍進中のレッドウィングのマスタ様にご挨拶にあがったまでよ。

限りなく青い空 お。なんだ。タリアのやつもいるじゃねえかよ。よお。久しぶりじゃねえかよ。

♪タリア♪ ……。

限りなく青い空 なんだ。なんだ。挨拶くらいしていいじゃねえかよ。それとも「こん」とかじゃねえと通じねえのか。

♪タリア♪ よく私に話しかけられるわね。あんなことしたくせに!

限りなく青い空 おいおい。なんだ。なんだ。いきなり噛み付いてきやがったぜ。こいつよ。

限りなく青い空 あのことってなんだよ。おい。パンク何だか分かるか? 俺には全くさっぱりだぜ。

ケミカルパンク さあな。俺にもわからん。ただ言えるのはな。俺はお前と話すことなど1つもない。さっさとどこかへ行け。

限りなく青い空 なんだよ。昔からの友人にそれはないんじゃないか。

ケミカルパンク 俺はあの時からお前のことを友人とは思ってはいない。いいから消えろよ。

♪タリア♪ 青空あ。あんたさあ。かなりあくどいことしているらしいじゃない。私知っているんだからね。

限りなく青い空 何のことだか分からないな。あまり適当なこと言うんじゃねえぞ!

♪タリア♪ 今も私にやったことを続けているんだと思って吐き気がするのよ! あなたはそのうち息の根を止めてあげるから覚悟していなさいよ。

限りなく青い空 ああ。楽しみにしているよ。近いうちに当たるみたいだからな。まあ俺は勝つためなら何でもやるそれだけだ。

限りなく青い空 じゃあな。せいぜい勝ちあがってくるんだな。俺は先に上で待っているわ。

ケミカルパンク いいから消えろ!


限りなく青い空は消えるようにログアウトしていった。俺はできるならさっき青空がいた場所に塩でも撒きたい気分だったが生憎このゲームにはそういうスキルはなかったので断念した。代わりに近くにあったMobを八つ裂きにすることにした。一番近くのMobを攻撃しようとしたら先にタリアに攻撃されてしまった。タリアは次々にMobを倒していって辺りには木々しかなくなった。どうやらタリアはなんとなくだが苛立ちを隠しきれないようだった。


♪タリア♪ くっ。まだあんなことやっているなんて。


タリアと青空の間で昔何かあったようだが俺は聞くことができなかった。タリアは気分が悪くなったと言ってそのままログアウトしていった。


ケミカルアイカ どうしたんっすかね。タリアちゃん。

ケミカルパンク ああ。どうしたんだろうな。


最近忘れそうになっていたが俺には青空に負けられない理由があったのだ。俺はねこねここねこと惨劇のクマさんと3人で交わした約束を果たさなければならない。そのためにはやはりねこねここねこの力が必要だ。俺は改めて決意して明日にでも里美に直接バイトの理由を聞くことにした。


ご拝読ありがとうございます。

 ちょっと展開上なかなかコメディに持っていくのが難しくなってきているのですが無理がないくらいに所々に入れて行きたいと思います。意識していないとどうもコメディだということをどうしても忘れてしまいます。

なんとか結末まで持っていけるように頑張りたいと思います。

 次回の更新は12月13日を予定しています。よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ