第二十四話「不穏」
BSRとの対決も終わり、トーナメント戦へ行けることになり、俺たちブルーウィングのメンバーは一時的にレッドウィングから抜けて元のチームに戻ることになった。次のトーナメントまでまだ間があるので俺たちは暇だった。あまりにも暇だったので俺たちはかくれんぼをして遊んでいた。俺が鬼で範囲を限定して30分以内で全員見つけられなかったらまたリセットというのを繰り返していた。惨劇のクマさんがなかなか見つからなくて俺は少々うんざりしていた。
ケミカルパンク あのやろう。普段存在感ねえから隠れるのがうまいな。
惨劇のクマさん 聞こえてますよ。誰が存在感無いんですか?
ニートは人間国宝様から 突然すいません。ニートですが相談したいことがあるのですが
ケミカルパンク お前しかいねえだろうが!
ケミカルパンク ん?
惨劇のクマさん どうしたんですか?
レッドウィングの副マスターのニートは人間国宝から秘密会話が割り込んできた。直接会って相談したいというので俺はかくれんぼを中断していつもの町の外の森に集まることにした。
ケミカルアイカ ケミカル兄さんうまく逃げたっすね。ずるいっすよ。
ケミカルパンク な〜にを言ってるんだ〜い。
ケミカルパンク 俺はニート君が相談があるって言うから中断したまでだ。言いがかりはよしてくれ。
ロマンチストジャニー マスタあああああ。それは無いんじゃないですかあああ。
君は夢を見る 汚いですね。
加重300% ノ
サイキッカー まあいつものことですよ。仕方がないでしょ。
ケミカルパンク うるせえええなああああ! おまえらはよお。
ケミカルパンク 分かった。分かった。相談が終わったらまた再開するからそれでいいだろ! それでニートなんだ相談って?
ニートは人間国宝 あ。ああ。すまんな。相談っていうのはうちのマスタのことなんだが。
ケミカルパンク うちのマスタってねこねこか。ねこねこがどうしたんだ?
ニートは人間国宝 ええとだな。うーん。それはだな。
画面上の会話だけだがなんとなくニートは元気が無さそうで珍しく言いよどんでいるようだった。はっきり言ってこの状態のニートはかなり気味悪かった。
ケミカルパンク なんだ。相談に来たんだろ? はっきり言えよ。
ニートは人間国宝 ああ。すまん。はっきり言うとだな。最近マスタが全くインしないんだ。
ケミカルアイカ ねこちゃんがですか? それは珍しいっすね。
惨劇のクマさん あれほどの廃人さんがインしないなんておかしいですね。
ケミカルパンク うーん。そう言われて見るとそうかもな。
俺はあまり気にしていなかったが今思い返すと確かに最近俺のアパートにも来なくなっていた。それは別に珍しいことではない。最近は同じチームに入っているということで俺のアパートでインすることが多かったが違うチームになってからは自分の家からインすることが多くなっていた。
ニートは人間国宝 それでリア友であるケミカルパンクなら何か知ってるかと思って相談に来た訳だ。
ケミカルパンク ああ。なるほどね。でも知らねえなあ。
ニートは人間国宝 知らない……だと。お前! それでも友達なのか。なぜ知らない!
ニートはいきなり激昂して攻撃系魔法使いのスキルである小惑星落としを連発した。周囲に爆発が巻き起こり画面上が立て横に揺れた。このゲームはチーム戦フィールド以外ではPKはできないので何とも無いのだが近くにいたMobのスパイダが一瞬にして蒸発したのが見えた。
ケミカルパンク おいおい。どうした。落ち着けよ。
ニートは人間国宝 はあ。はあ。すまんな。俺は心配でな。何かあったんじゃないかと思ってだな。
ケミカルパンク 分かった。このことはリアルで直接聞いて確認してみるから心配すんな。
ニートは人間国宝 ああ。すまんな。よろしく頼む。俺はちょっと頭を冷やす。またな。
ニートはそう言うとログアウトして行った。ずいぶんとニートにしては冷静さを欠いているように見えたがどうしたんだろうか。オンラインゲームではリアルの関係で大なり小なりインしないことはよくあることだ。それが超絶廃人のねこねここねこに当てはるかどうかは疑問だが確かにおかしいかも知れない。俺はかくれんぼを後で続きするからと言ってログアウトした。ずるいとか卑怯だとか言うログが流れてきたが無視してログアウトした。
俺はゲームから解放されてキーボードから手を離して床に倒れこんだ。そして最後に俺のアパートに来た時のねこねここねこの中の人である前田里美の様子を思い出していた。そういえばなんだかパソコンに向かって深いため息を吐いて「足りないなあ」とか言ってたな。その時は全く持って気にしてなかったが確かに様子がおかしかったかもしれない。俺は里美に携帯のメールで最近インしてないようだけどどうしたということとニートが気持ち悪いくらい心配しているぞということを打ち込んで送信した。寝ないで返信を待っていたが何時間待っても返信が来なかった。そのうち俺はパソコンの前で寝落ちしていた。
次の日の朝俺が起きると里美からのメールが来ていた。
『今ちょっと忙しいからインできないけどそのうちインするから心配しないで。ニートに関しては私から言っておくからごめんね。心配かけて』
などという返信が返って来た。まあ当たり障りのない文章ではあるが俺は非常に不可解な感じがした。やけに素直な言葉が書いてあるのも不可解だが忙しいとはいえあの超絶廃人の里美がまったくインしないとはおかしい。あいつはどんなに時間が無くても睡眠時間を削ってもインするやつだ。あいつの身に何かあったかもしれない。メールで突っ込んで聞いてみるのもいいがたぶんあいつの性格からしてこれ以上のことは聞けないだろうと思った。俺は今日学校に行って調査することにした。
ご拝読ありがとうございます。
第3部開幕ということで投稿してみました。本編としては約2ヶ月ぶりの投稿になります。その間にスキルアップをしようと色々やってみましたがどうもうまくいきませんでした。
分かったことというとあまりネタに走りすぎるとよくないなということですね。ギャグ3割、4割くらいが自分的にはちょうどいいかもしれませんね。
久しぶりなので長々と書きますがしばらくは不定期更新ということにいたしますのでよろしくお願いいたします。
読んでいただけた方どうもありがとうございます。