第二十二話「決戦BSR」
そのまま狩り続けてチーム戦まで1時間前の19時になった。俺と里美と内藤君はかなり満身創痍の状態だった。目の下にはくまができ、寝ているのか起きているのか分からない状態だった。
「よ……よし。レベル上げはこの辺りにしてチーム戦に備えるか」
「そうね。アイテムも揃えなくちゃいけないし、この辺で止めるのが賢明ね」
そう言いながら里美は猫の被りものを被り出した。それはやっぱり被らなくてはいけないかと突っ込みたかったがまあ愛華も起こさなくてはいけないのでスルーしておいた。内藤君を見るとPCの上に覆いかぶさって寝ていた。こいつはあれ程言ってるのにまだ寝ようとしやがるのか。俺はプロ仕様の火薬入りハリセンで内藤君を思いっきりひっぱたいてやった。
「ぎゃああああああ!!」
部屋には内藤君の叫び声が響き渡った。
愛華も優しく(ハリセンで)起こしてやり、他のメンバーにも電話を掛けて起こしてやることにした。しかし、誰に掛けても誰一人電話に出ることはなかった。
「まさか寝てるんじゃねえだろうな」
「ふぁああ。どうでしょうね」
そう言うと愛華は伸びをして眠気を覚ますために顔を洗いに行った。その途中で猫の被りものを不審げな目をして見つめていた。
「まずいな。もう時間ねえぞ。どうする?」
「やっぱりやりすぎたんですよ。せめて今日は寝て過ごすべきだったんですよ」
内藤君はもっともなことを言い出した。俺はそれが外れてないだけにかなりむかついて再度内藤君をハリセンでひっぱたいてやった。
20時になり対戦フィールドに移動した。今回のステージは熱帯雨林だ。木がそこら中に配置されていてその下を通ると木がキャラを覆い隠して相手からは見えないようになっている。
そして今日の対戦相手は限りなく青い空率いる「Blue Science Reaction」略してBSRだ。元々俺がいたチームだったがある理由があって(第10話「約束」参照のこと)俺はねこねこと惨劇のクマさんとでチームを抜けることになったのだがそのときに誓った思いを今日ここで果たすことになるはずだった。
ケミカルパンク 来ないな……。
ケミカルアイカ 来ないっすね。
惨劇のクマさん やっぱり寝てるんでしょうね。
ねこねここねこ どうするのよ?
限りなく青い空 よお! 何秒持つのか楽しみにしてるからなあ。はっははー。
ケミカルパンク やばいな。
ねこねここねこ だからどうするのよ。
ケミカルパンク やむおえん。……。今回はゲリラ作戦で行くぞ!
ケミカルアイカ ゲリラ作戦って何っすか?
ケミカルパンク ゲリラ作戦と言うのはな―
今回の作戦はこの熱帯雨林のフィールドは死角がたくさんあるので四人でばらばらに散らばってひたすら逃げて終了5分くらいで攻めに転じて一人倒してまた逃げまくるという作戦だ。俺はこういう作戦はあまり好きではないのでやりたくはないのだが今回は仕方がなかった。俺たちの恐ろしさを青空のやつに見せ付けてやろうと思ったが今日は可哀想なので止めておくことにした。
ケミカルアイカ たち悪いっすね。
ケミカルアイカ うるせえなあ。これしかないんだよ。いいからやるぞ。
ねこねここねこ まあ仕方がないわね。
惨劇のクマさん まともの勝負したいです……。
ケミカルパンク 俺だってやりたかねえよ! 黙って移動しろ!
ゲームが開始され俺たちは各自ばらばらになり見つからないように隠れた。ただでさえ見つけにくいフィールドなのでそうそう見つかるはずはない。俺たちはしりとりをしながら待ち続けた。
限りなく青い空 おーい! どこだ! 出てこいやあ!
ケミカルパンク チンジャオロースゥー
限りなく青い空 パンクお前逃げるのだけうまくなりやがったなあ!
ねこねここねこ スナック
限りなく青い空 これじゃあ勝負にならねえだろうが! 出てこいよ!
惨劇のクマさん クルンテープマハーナコーン ボーウォーンラッタナコーシン マヒンタラーユッタヤーマハーディロック ポップノッパラット ラーチャターニーブリーロム ウドムラーチャニウェート マハーサターン アモーンピマーン アワターンサティット サッカタッティヤウィッサヌカムプラシット
限りなく青い空 絶対探し出してぶっ殺してやるからな! せいぜいうまく隠れろや。
ケミカルアイカ なんすかそれ……。苫篠けんじ
開始から20分俺たちはなんとかうまく見つからず逃げることに成功していた。俺たちはしりとりに飽きて「ジュースといえば」というお題で連想ゲームを開始していた。
ケミカルパンク 最近復刻したな。アン○サ
ねこねここねこ これなんで無くなったんでしょうね。はち○つレモン
惨劇のクマさん 急に無くなったわね。桃の天○水
ケミカルアイカ 紙パックでしたかね。カ○ゲン。あ。しまったす。
ケミカルアイカ ん? どした? 力○。
限りなく青い空 おしゃああああ! 一人殺ったぞおお! 見たかパンク!
ケミカルパンク げ! まじか。もう後5分くらいしかないぞ。
ねこねここねこ 少し夢中になりすぎたわね。セブ○アップ。
惨劇のクマさん せっかくここまで逃げたのに残念ですね。メ○ツ。
ケミカルパンク もう連想ゲームは止めだ! 攻めるぞ!
BSRの連中はきっとケミカルアイカの周りにたむろして俺たちのことを待ち構えているはずのなので俺たちはケミカルアイカがやられた近くに一旦合流した。
ケミカルパンク ここまで来たらもう特攻しかない……。
ねこねここねこ そうね。たぶん勝算はかなり少ないけどね。
惨劇のクマさん なんとか一人でも倒しましょう。自分回復がんばります。
ケミカルパンク 行く前に一言いいか……。
ねこねここねこ 何? 時間もうないわよ。
ケミカルパンク 俺はお前たちとチームを組めて幸せだったよ……。
ねこねここねこ ……。
惨劇のクマさん ……。
ケミカルアイカ 兄さん何死亡フラグ立てようとしてるんですか!
ケミカルアイカ いいから早く助けに来てくださいよ!
ケミカルパンク うるせえなあ! 黙って死んでろよ!
ケミカルパンク じゃあ行くぞおおお!!
ねこねここねこ うん。
惨劇のクマさん はああああ!
『Blue Science Reactionの勝利で試合が終了いたしました。お疲れ様でした』
俺たちは持てる力の全てを注ぎ込んだ。終了まで後2分だったが1分ほどで全滅してしまった。俺など近づく前に瞬殺されてしまった。だって痛すぎるんだもの。持ちこたえられませんよ。
俺たちはいつもの集会所に戻って反省会をすることにした。結局反省会にはチーム戦に出たメンバーしか集まらなかった。
ケミカルパンク まあとにかくこれでトーナメントにいけるぞ。喜べ!
惨劇のクマさん そうですね。できればもうちょっとまともに対戦したかったです。
ケミカルアイカ そうっすね。結局しりとりと連想ゲームしかしてないっす。
ケミカルパンク 仕方がないだろうがよ! フルメンバーでも厳しいのに4人だったんだしょうがないだろうが!
ねこねここねこ とにかく私は眠りたい。
ケミカルアイカ そうっすね。さすがに眠いっす。
惨劇のクマさん そういえば次のトーナメントまで結構間が開きますよね?
惨劇のクマさん どうします? 一旦我々は抜けたほうがいいですかね?
ケミカルパンク なあ。それなんだけどよ。ねこねこ俺たちとこれからもチーム組まないか?
ケミカルパンク せっかく一体感みたいなのも出てきたしよ。
ケミカルアイカ そうっすね。ねこちゃん。お願いしまっす。
ねこねここねこ だめよ! このトーナメントの間だけっていう約束よ。忘れないで。
ケミカルパンク ……。そうか。
ケミカルアイカ うー。残念っす。
ケミカルパンク じゃあ俺らはこのトーナメントが始まるまでは抜けるからな。
ねこねここねこ ……。よろしくね。
俺はせっかくうまくまとまって来ていたのでこのまま一つのチームとしていってもいいんじゃないかと少し前から考えていた。確かに以前ねこねここねこのやった俺のチーム乗っ取りは許されることではないがこれから先BSRを倒すため、いや俺はねこねここねことこれからもチームを組んでやって行きたかった。まあこれから先トーナメントを一緒にやっていけばもしかしたらねこねここねこの気持ちも変わるかもしれないとその時の俺は楽観的に考えていた。その日はみんな眠いと思うのですぐに解散した。
数日後、俺たちブルーウィングのメンバーはレッドウィングを抜けてブルーウィングに久しぶりに戻った。その日を境にしてねこねここねこをネット上で見ることは無くなった。
ご拝読ありがとうございます。
一応祝第2部終了ということで自分としては安堵しております。ということで一応区切りがついたということで当分お休みに入りたいと思います。一応1月ほどをめどにしてこれからの展開をゆっくりと考えようと思います。
これからどうなるんでしょうね。自分にもわかりませんw
とにかく第3部はトーナメントの幕開けです。ねこねここねこやBSRとの対戦はレッドウィングはどうなるのか。などなど色々ありますができればパワーアップして帰ってきたいと思います。
とりあえずその間は短編の方をこつこつ書きながら過ごしていきたいと思います。
無事に帰ってくれるように祈っていただけるとうれしいです。
ご拝読ありがとうございました。