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ネトゲ女  作者: kaji
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第十一話「レベル上げ合宿(後編)

 開始から19時間後の日付が土曜になった午前2時最初の脱落者が出た。ロマンチストジャニーだ。どうやら親に見つかったようで強制ログアウトしなければならないようだった。


ロマンチストジャニー やば。親に見つかったああああああ。マスタああああ。助けてええええ。

ケミカルパンク なんとかやり過ごせ。それか俺にはやらなければ行けないことがあるとか言って説得しろ。

ケミカルアイカ そんな無茶っすよ。

ねこねここねこ アホね。

ロマンチストジャニー マスタあああ。なんか背後に立って無言で仁王立ちしてるうううう。どうしようおおお。

ケミカルパンク 仕方がない。ロマンチスト。PC禁止になったら俺も困るから今回は抜けろ。それがいい。

ニート人間国宝 俺もそう思うぞ。ゲームは2時間までってよく言うだろうが。

ケミカルパンク それをお前が言うのかよ……。

ねこねここねこ 早くログアウトした方が懸命だと思うよ。親が電源引っこ抜かないうちに早くした方がいいと思う。

ロマンチストジャニー 皆さんああああん。もうしわけないいっす。ではがんばってくださあああい。

ケミカルパンク ああ。またな。チーム戦には来いよな。待ってるからな。

ケミカルアイカ 行っちゃいましたね。

ケミカルパンク ああ。さてどうするかな。

惨劇のクマさん さすがにこのまま3時間仮眠だと一番少ない時で3人体制になりますからね。

ケミカルパンク きついよな。やっぱり。

ニートは人間国宝 やれないことはないかもしれないが大分効率が落ちるぞ。

ねこねここねこ 2時間睡眠にしたらどう? それなら少なくなっても4人で済むし。

ケミカルパンク そうだなあ……。わかった。じゃあ2時間睡眠で頼む。

ケミカルパンク 今寝てる君夢には2時間後に電話して起こしてやるから。

惨劇のクマさん ここがんばりましょう。

ねこねここねこ まだまだ余裕ね。私、狩り連続52時間記録もってるし。

ケミカルアイカ 私も40時間くらいならやったことあるっすよ。

ケミカルパンク お前らやりすぎだろ……。

惨劇のクマさん それくらい当たり前じゃないですか。

ケミカルパンク さも当たり前のように言うなよ。普通じゃねえから!



 相談の結果、2時間睡眠で行くことにした。まだ土曜の朝で後2日ある。まだ6人なのでなんとか回していけるがこれ以上減ってくると非常にまずいことになる。幾分みんなの顔にも疲労の色が見えた。別PTの方に連絡を入れてみると3人ほど脱落して今は4人でやっているようだった。俺たち主力が監督できないので仕方がないのだろう。とにかくなんとか4人で頑張ってくれと励ました。俺たちはというと気合を入れなおし仮眠も取りながら狩続けた。

開始から26時間後の土曜の9時ごろ再び脱落者が出た。今度はなんとニートは人間国宝だ。なにせニートなので一番残りそうな人物だと思ったが早々に脱落することになった。


ニートは人間国宝 すまん。クライアントでトラブルがあったらしい会社に戻らなければならない。すまんが抜ける。

ケミカルアイカ ……。あらら。大変っすね。

ねこねここねこ ……。クライアント。

ケミカルパンク お前仕事とレベル上げどっちが大切なんだ。というかお前ニートじゃないのか!

ニートは人間国宝 すまん。お前のつまらんギャグに付き合ってはいられん。悪いがログアウトする。がんばってくれ。

ねこねここねこ おつかれ〜。

ケミカルアイカ おつかれっす。

惨劇のクマさん おつかれさまです。

惨劇のクマさん それにしてもクライアントってドラマでしか聞いたことなかったですけど本当に使われてるんですね。

ケミカルパンク どうだかな。派遣バイトが急遽入ったとかじゃねえのか。実は。

ニートは人間国宝 パンク。お前後で殺すからオボエトケヨ。

ケミカルパンク 早くいけや! 

ケミカルアイカ 5人になっちゃいましたね。どうしましょう。

ねこねここねこ 単純に1時間睡眠しかないんじゃない?

惨劇のクマさん そうですよね……。そうなりますよね。

ケミカルパンク そろそろこれの出番かもな。

ケミカルアイカ 兄さん目つきが怖いっす。

君は夢を見る 眠い。


俺は今まで使う機会がなかったプロ仕様の火薬入りハリセンを握ってほくそ笑んだ。いったいどんな威力でどんな叩き心地なのだろうか。俺は考えるだけでわくわくした。

 開始から36時間経過の土曜の19時ごろ、夕食を食べ終えた俺たちは今までの疲労から眠気がかなり来ていた。さすがの俺もまずかった。しかし俺は眠る訳にはいかなかった。なんせハリセンの威力を試せる機会が今来たのである。見ると愛華がうつらうつらしていた。何が40時間の記録を持っているだ。嘘吐きめが。俺は疲労と眠気で少々おかしくなっていた。俺はできるだけ足跡を立てないように愛華の背後に忍び寄ると思い切り振りかぶって叩いてやった。


「隙ありいいいい!!」


ぱあああああん


「ひょぇ。……。痛いっす。というか耳キーンっていってます」

「恐ろしいハリセンですね」


愛華は両耳を手で押さえて少々涙目だった。これでもう眠ろうなんて気にはならないだろう。それにしても思っていたより叩くと気持ちいい! 


「いいか! 寝たらこうなるんだからな。覚えてろよ」

「悠一も気をつけた方がいいわよ。ふふふ。腕が鳴るわね」


里美は猫の被り物をしながらそんなことを言った。正直かなり不気味だった。それとキャラ忘れてるじゃねえか。いいのかよ。

 ハリセンの脅威に脅えながらなんとか仮眠時間の12時まで来た。これで1時間だが寝れる。しかし、不安材料もある。この状態で1時間だけ寝て果たして起きてこれるだろうか。そんなことを考えていたら君は夢を見るが発言した。


君は夢を見る すいません。先に寝てもいいですか。眠くて。

ケミカルパンク ああ。いいぞ。おやすみ。1時間後には起きるんだぞ。起きてこなかったら連絡するから。

君は夢を見る はい。お願いします。

ねこねここねこ おやす〜。

ケミカルアイカ おやすみっす。

惨劇のクマさん おやすみなさい。


君は夢を見るの久しぶりの発言なので驚いたがどうやら眠いらしい。危険を察知して先に寝かせたが大丈夫だろうか。

 1時間後、やはり君は夢を見るは起きてこなかった。携帯で連絡したが出ることはなかった。


ケミカルパンク かむばっくー!!! 君夢えええ。

惨劇のクマさん 返事が無いどうやら寝ているようだ。

ねこねここねこ そんな小ネタはいいからどうすんの?

ケミカルアイカ まさか寝れないっすか!

ケミカルパンク そうだな。4人だからもう寝れない!

ケミカルパンク 特にクマ! 回復役はお前しかいないんだからな。絶対寝るなよ。

惨劇のクマさん ……。頑張ります。寝ないように。

ケミカルパンク まあ寝てもいいんだけどね。俺の楽しみが増えるだけだから。

ねこねここねこ 意外と叩くと気持ちいいよね。これって。ふふふ。

ケミカルアイカ 二人とも危ないっす。


俺と里美はハリセンを強く握り締めた。俺はあの感触が忘れられなかった。なんだか疲労からなのか。レベル上げとかだんだんどうでもよくなってきていた。とにかく今はハリセンで誰かを引っぱたきたかった。

 開始から50時間後の日曜の朝9時ごろ愛華が急にPCにうつぶせになって眠り始めた。俺はその時を見逃さなかった。すぐさま愛華の背後に回りこんだ。しかし里美も同じタイミングで愛華の背後に回りこんでいた。俺と里美は殆ど同時にハリセンを振り下ろした。


ぱああああん

ぱああああん


「よっしゃああ。気持ち良い! 超気持ちいい!」

「最。高ねえええ! この瞬間を待ってたわ」

「おい。愛華起きろ。朝ですよー」


俺は愛華を揺すった。

しかし、全く起きる気配がなかった。

激しく揺すった。

だめだ。

再びハリセンで叩いてみた。

だめだ。

電話をかけてみた。

だめだ。

するめを頭の上に置いてみた。

だめだ。

額に『肉』と書いてみた。

だめだ。


「どうやら愛華はものすごい深い眠りについているようだ」

「それよりもちょっとひどい気がするんですけど」

「まあ。お約束でしょ。これは。礼儀でしょ」

「それでどうするの?」


ついに残っているのはここにいる俺たち3人になった。さてどうするか。チーム戦は今日の20時からなのでここで寝て夜に備えるのも手だと思う。しかし、なんだかこのまま寝るのも悔しい気がした。


「3人になったのでここで寝た方がいいと思います」

「何をばかなことを言ってるんだ。ここで寝たら起きれないだろうが」

「そういえば別PTの方はどうなったの?」

「待て。確認してみる」


俺は電話とチャットで呼びかけてみた。しかしどちらも全く反応が無かった。おそらく全員寝落ちしたのかもしれない。参ったな。


「反応が無い。全員寝落ちしたかもしれないな」

「そう。まあ仕方ないのかもね。あっちは引っ張る人がいなかったから」

「僕もあっちの方がよかった」

「なんだと!」

「ひぃぃぃ」


俺はハリセンを持って内藤君を威嚇した。内藤君はかなり怖がっていた。どうやらトラウマになったらしい。


「いえ。なんでも。しかし、これでは絶対にチーム戦に影響が出ますよ」

「いあ。このままの状態で望めばきっとトランス状態でチーム戦に望めるはずだ。なあ。里美もそう思うだろ」

「ふう……。相変わらず馬鹿ね。まあ私はいいわよ。別に」


そう言うと里美は猫の被り物を脱いで自分のPC前に座った。そういえば今までこいつずっと猫の被り物を被ってゲームしてたんだよな。何者だよ。


「どうだ。内藤君。お前はちょっと保守的すぎるんだよ。攻めて行こうぜ」

「はあ。そうですか。そう言うでしたら反対はしませんが……」


惨劇のクマさんの中の人こと内藤君はなんだか納得が言っていないようだったがしぶしぶ自分のPC前に戻っていった。俺たちは精神の狭間で狩りをし続けた。部屋には時折ハリセンの音と内藤君の叫び声がこだました。チーム戦まで後11時間、果たして俺たちは無事にチーム戦を迎えることができるのだろうか。


ご拝読ありがとうございます。

 次回は7月5日を予定していまいます。BSRとのチーム戦を予定していますがかなりおおざっぱな構想だけで後は何も考えていません。来週果たして投稿できるか。期待していてください。


 ここまで読んでいただけた方どうもありがとうございます。そして、この1話からこの21話まで継続して読んでいる方心より感謝です。

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