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48 親尊信友

 亜人には特殊なスキルを持つ者が存在する。

 その中でも狸の亜人は姿を自在に変化させる『変身』スキルを稀に授かる事がある。

 その稀な存在こそミルアだ。


「まさかそなたは『ワカバ』一族の………?」


 ジェリカが驚いた顔を見せる。

 俺とハルは知っていたから動揺はしない。


「はい、最後の一人です」


 ミルアは冷静に返事を返す。


「そうだったのか、それは何と言えば良いのか………」



 かつての帝国は亜人の力を利用し国土を広げていた。

 特に狸の亜人は、スキルの『変身』を重宝され自由がないほどに管理されていた。

 云わば奴隷と変わらない扱いだったという。


 帝国歴史上で重要人物の暗殺=『ワカバ』一族と公式が出来るほど裏の顔だった。

 勿論証拠を全く残さない為、その事を知っているのは極僅かだが。


「先に言っときますが、過去の恨みだーとか、一族の敵ー何て言うつもりはないですよー」


 ミルアが続ける。


「ありがとうジェリカ様!」



『ワカバ』一族はジェリカが王位に就く一代前の王に反旗を翻した。

 酷い扱いを受けていた多種の亜人も含め、反乱は小さくなかった。

 しかし帝国との力の差は歴然としていて結果は全滅の道を辿ることになった。


 狸の亜人と人間のハーフそれがミルアだ。

 ミルアは滅びたと思われたワカバ一族の末裔であった。


「我祖父の傍若無人さは王家の血を継ぐ者として恥ずべき事だ、本当にすまない」


「そんな帝国の在り方を変えてくれたのはジェリカ様です!王家の血を継ぐにも関わらず、己の力で民衆の指示を得て亜人差別をゼロにしてくれました!」


 ミルアの目から涙が溢れる。


「ミルアの一族は滅ぼされましたが、元々仕掛けたのはワカバです!争いは両方悪いです!」


「ミルアがジェリカ様にどうしても伝えたかった事は、ミルアの大好きな亜人と人間が仲良く暮らせる国を作ってくれてありがとうってことです!」


 泣き顔を吹き飛ばす様な笑顔で強く言い放った。


「約束しようミルア、我は今後永遠に亜人と人間が争いのない帝国を築くいていくと」

「はい!信じています!」


 俺達は各自思いを伝え有意義な時間を過ごせた。

 王女とも親密になれたと思う。

 長いこと話し込んだせいで外も大分日が落ちてきた。

 晩御飯も御馳走になり挨拶を済ませ城を出る頃には完全に夜になっていた。



「あー楽しかったな、また遊びに来ようよ!」

「そうですね。何時でも来て良いと言って下さりましたね。」

「そうは言っても一国の王女だぞ、友達じゃないんだからー」

「何言ってるのエン!ジェリカ様はもうミルアの友達だよ、そう言ってくれたもん」

「フフ。あんなにも全ての言葉に偽りが無いなんて中々いませんね。」


 王城から送迎を断り歩いて帰る俺達。

 夜風が涼しく綺麗な満月が自分を誇張している。


 王都の宿屋に帰る途中怪しい気配を感じた。


「エン。」

「ああ気付いてる、8人いや9人か!」

「じゃあいつものでいいよね?ミルアが囮やるよー」

「気を付けて。全体的に気配の消し方から見て素人じゃないわ。」

「りょーかい!」


 雑木林の砂利道をミルアが走り出した。

 それに合わせ敵が動き出すのを俺とハルは集中して気を張った。

 俺は見事ミルアに食い付いた敵の位置を把握して指示を出す。


「ミルア完了だ!」


 エンの合図でミルアはいきなり姿を消した。

 敵にはそう見えただろう、実際には変身のスキルで『空気』に化けているだけだが。

 ミルアの変身の凄いところは実体の無いものでも可能な所だ。


「ハルは右側3人、俺は残りだ」

「はい。」


 二人は同時に左右に高速でバラけ位置を把握した敵の場所に向かう。


 ウギャーッ!

 グボッ!

 アァーーーッ!


 次々と悲鳴が上がりその数は8つで止まった。


「誰の命令だ?」


 敵の一人を縛り上げエンが問いただす。


「口は割らない、殺せ」

「命は大切にしろよー、言えば解放するってー」

「…………どっち道殺される意味がない」

「そんだけの大物か?情報ありがとー」


(王城からの刺客?いやあの王女がやるとは思えない、となると絞れるかな)


「エン。どうですか?」

「ちゃんとしゃべったー?」


 ハルとミルアが側に来て言った。

 俺はハルを見た敵の瞳孔が開いたのを見逃さなかった。


「喋らないけど誰の差し金かは分かったよー」

「さすがですね。どなたですか?」


 俺達が話していると敵は一瞬の隙をついて煙玉を使用した。

 辺り一面黒い煙に包まれ視界がふさがれた。


「今だー!冒険者ー!!!」


 煙の中で敵が大声で叫んだ。

 その直後大きな魔力を感じた。


「エン。ミルア。極大級がくるわ。」

「ミルアもうスキルで空っぽだからエン守って」

「くっついてろよー、その前に煙邪魔だなー」


 エンが大きく開いた掌を左右に振るとその風圧で煙が消え去った。

 視界が復活したことで分かったことは少し先の道に二人組がいる事。

 そしてその二人組がこちらに魔法を放とうとしている事だ。


聖なる巨人の投擲(ホーリジャベリンスロ)


 巨大な眩い光の槍が勢い良く飛んできた。


「あぶなーい!避けてー!」


 その直後に聞こえた叫び声には聞き覚えがあった。



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