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43 残留する友心

「結局エンに助けられたな、ありがとう」

「油断さえしなければエル一人でなんとかなったよー」

「そうだな、エンがいるからって気が抜けてたよ」


 エンがリッチーに止めをさして一息つく。


「そう言えばエン、リッチーに用って何なんだ?」

「こいつは魔王の下僕だ、ただの可能性の一つだよ」

「可能性?」

「いや、なんでもないよー」


 どこかエンの笑顔が儚く消えそうに感じた。


「さあ帰ろうエル!」


 俺達は『遊園地』を出て帝国に帰ることにした。

 帰り道は魔物やモンスターに遭遇することはなかった。

 俺は帰り道に、有りとあらゆる質問をエンにぶつけたがのらりくらりはぐらかされるだけだった。




「エルーーー!」


 ギルドの前でティナが待っていた。


「ティナ!無事だったか?」

「全然へーきだよ!それよりエルは?リッチーと戦ったんでしょ?大丈夫?」

「俺も平気だよ、エンが付いてくれてたし」


 ティナが俺の手の先に目線を変える。


「あっ!お兄さん!ハルちゃんから聞いてたけど本当に強いんだね」

「久しぶりティナちゃん、ところでハルはどこに行ったかなー?」

「ハルちゃんなら宿に先に戻るって言ってたよ」

「そうかありがと、じゃあ俺はこれでー」


 エンがこの場を立ち去ろうとするが引き留める。


「飯奢るって言ったろエン!そのくらい付き合えよ」

「そうだよー、ザドンとミルアちゃんも呼んでくるー」

「…………あっ!……やれやれ」



 太陽が狭苦しそうに建物の隙間に潜っていく。

 王都が活気付く合図であり日常だ。


「えー、ミルアちゃんにボロ負けだったのー?」クス

「ちっ違う!俺は女に本気は出さないんだ!」


 ザドンがティナに煽られ顔を赤くしている。


「あらー、『ここからは本気だ』なんて言ってた気がしたんだけどなー」

「本当?ミルアちゃん!ベテラン冒険者の顔が立たないな」


「「アハハハハ」」


 卓には俺とティナにザドン、それにエンにミルアが座っている。

 会ったことないがハルと言う人は来なかった。


「それでエン、今何レベルなんだよ?教えてくれよ」

「またそれか、大したものじゃないってー」

「大したものじゃない奴が、あの憎き魔人を撃退出来るわけがないだろー?」


 ドンッ!


 ミルアがグラスをテーブルに叩きつけ、その場を勢い良く立った。


「おいミルア!」

「………………すみません」


 エンの一言でミルアは席に座った。


「ごめんエン、俺何か変なこと言ったよな?」

「気にするなエル、ちょっと酔っているみたいだこいつ」

「……………………そうか」


 その少し経った後、エンとミルアは会計を済まし帰っていった。


「なにいったのーエル?ちつれいなことしたんでしょー?」

「分からない、てか酒臭いぞティナ」

「うるちゃいわねー、まだまだのむぞー」


(『魔人』と言った直後だ、あの人たちは何か関係があったのか?)


 考えても答えは出てこない。

 確かにまだ出会ってから浅いというのに、馴れ馴れし過ぎたと反省している。



「ザドン、俺も今日は帰るよティナをよろしくな」

「おいこの酔っぱらい置いてくなよ!ちゃんと連れて帰れパーティーだろ?」

「そうだーそうだーつれてかえれー」

「じゃあティナ帰るぞ!」

「やだーまだまだのむぞー」


 コツンッ!


 俺はティナを背負い宿屋に向かった。

 後日にちゃんと謝ろうと思った。




 ◇◇◇◇◇◇◇◇




「お帰りなさいエン。」


 部屋の窓際にハルが腰掛けていた。


「ただいまハル、どうだった?」

「ティナちゃん。あの子は大丈夫ですよ。心に穢れが少しもない良い子です。」ニコ

「心に闇を持つ者が神獣を従えると悲劇が起きるからな、それなら良かったー」

「それより驚きました。エンがあの子と同行するなんて。」

「真っ直ぐな目が気に入っちゃたんだよねー」


 上着を脱ぎ椅子に座る。

 ミルアはそのままベッドに飛び込んだ。


「でもミルアさっきの男の子ムカつくー!」

「さっきの男の子?」

「エルくんのことだ、トゲの付いた言葉にちょっと引っ掛かっただけだよ」

「魔人の事何も知らないくせにー!」

「落ち着けミルア悪気があった訳じゃない、ただ知らないだけなんだから」

「むぅーー!」


 ミルアは顔をベッドに埋めている。


「それでもう一つの方はハル?」


「大した情報はありませんでした。ただ少し気になることが……。」


「気になること?」


「はい。確証は得ていませんがおそらくあの貴族の影がこの帝国にも。」


「…………ガルシア・バンドータフ」


「情報を集めてみます。」


「頼むハル、もう少し帝国に留まる事になりそうだなー」


 この一連の騒動は全てエンの策略だった。

 ストラード卿の力で上手く正体を隠しながら、不死王リッチー討伐の依頼を出す。


 その依頼をAランク冒険者限定に指定して上手く誘い出し、ティナの人柄を把握する。


 これが今回の一番の目的であった。

 リッチーはあくまでおまけであり、魔王の情報が入れば儲けもの位の考えだった。


 しかし、エンにも誤算がなかった訳ではない。


「少し仲良くしすぎたなー、久しぶりに他人と行動して楽しくなっちゃったなー」

「2年前にミルアと出会って以来ですものね。人とちゃんと接したのは。」

「そうだな、気を引き閉め直そう!」

「今更普通の生活なんて戻れませんからね。」


「ああ、あいつをぶん殴って正気に戻さないとだからな!」



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