39 冒険道中
窓を開け心地よい光と風が目覚めさせる。
「よし、行くか!」
俺は自身を鼓舞してティナを起こし宿屋を出る。
「おー待ってたぜ!準備は万端だな?」
「ああ、よろしくなザドン」
「まだ眠いよー、朝御飯食べてないしー」
「少し遠くまで行くんだ、途中で弁当を食べよう」
「わーい!エルのお弁当好きー!」
俺たち三人はアルドラク帝国を出立し、不死王リッチー討伐のクエストをスタートした。
「そう言えばザドン、目的地の『遊園地』ってのはどんなものなんだ?」
「元々こっち側の世界での遊興施設らしいな!ギルドの奴に聞いただけだから詳しくは分からないがな!」
「そうだよな、俺たち全員向こうから来たもんな」
世界が融合してからもう何年も経っているが、いまだに全貌を把握しているものなど一人もいないだろう。
と言うより今後も現れないのではとすら思う。
元々あった地球という世界に住んでいた人々は『こっち』であり、地球に転生した世界が『あっち』や『向こう』なんて表現されている。
もっとまともな呼び方は無かったのだろうか。
帝国を出て数時間程歩いたところでザドンが足を止めた。
「少し早いが休憩がてら朝飯にしよう!」
「待ってましたー!私待ってましたー!」
「何で同じ事を二度も?」
「それほどずっと待ってたの!ザドンの判断が遅すぎるのよ」
ティナの頬を少し膨らましながら言った。
俺は丁度良い石の上に弁当を広げた。
「やったー!サンドイッチだー!」
「サスケに作り方聞いたんだ、結構自信あるから食べてみてよ」
「いっただきまーす!」モグモグ
「………美味しーい!!!」
「ザドンも食べるか?」
「ああ頂こう!しかしちょっと体を動かしてからな」
ザドンの目線の先にはディーパ(様々な形をした大きめのスライム)が複数体いた。
「お前らはそのままでいい、準備体操してくるぜ」
ザドンはそう言うとストレージから体格と同等以上のハンマーを取り出した。
ドォォーーーンッ!
ザドンの一撃で大地が揺れる。
戦闘は一瞬で終わった。
「ちよっとー筋肉バカ!サンドイッチ落としちゃったじゃない!」
「ガハハ、すまんすまん!」
「まだまだたくさんあるから怒るなよティナ」
俺たちはサンドイッチを食べ終え再び歩き始める。
ザッシュッ!ドカッ!ドォーーーン!
「……………ハァハァ」
「ティナ!そっち行ったぞ!」
「………………………………」
ガーゴイルが座り込んだティナに襲いかかる。
しかし、ティナのすぐ手前の地面から大量の槍が飛び出しガーゴイルの体を貫く。
「あいつ、疲れたからってトラップ仕掛けて休憩してやがる」
「ガハハ、お前も休んでていいぞ」
「俺がそんな事するわけないだろっ!」
「おぉーーー『外領瞬技斬』!」
エルの技で周辺ガーゴイル数体が同時に倒れた。
「やるなーエル!俺も負けられん!『凱旋雷鈍覇』」
ザドンのハンマーが雷を帯出し空気がピリつく。
「おいザドンそれの技はやめ……
ドォギャァーーーーンッ!!
ザドンは強力な雷撃で周辺のガーゴイルを一掃した。
それと近くにいた俺とティナも……。
「やっと痺れが取れてきたな」
「私はまだ動けないーバカ!」
「すまんすまん、テンション上がってもうた」
笑顔で頭を欠くザドン。
それをひたすらに罵るティナ。
(大丈夫かーこのパーティー……)
「この山いつまで続くのー?」
「これを越えればあと少しだ!」
「さっきからずっとそれじゃんー」
ザドンの話では目的地に行くには山を一つ越えなくてはならないそうだ。
今いる場所は距離で言うと半分位だろう。
「ザドン、今日はこの辺で夜営しよう」
「そうだなエル、大分暗くなってきたしな」
「あーーーーーー!」
「なんだティナ?魔物か?」
「枕持ってくるの忘れたーーー!」
山に射し込む月明かりは、人の手が加えられていない分見てるだけで心が休まる。
「なあザドン、俺たち冒険者はこのままでいいのかな?」
「どういう意味だ?悩みごとか?」
「………いや何でもない」
そよ風で草木が揺れる際に、その影と一緒に踊っているようだ。
「いましたよ。3人組パーティーね。」
「あの子は………面白い事になりそうだなー」
「女の子は私。ミルアは大柄な方。それでいいのですね?」
「ああ、タイミングが良かったなー」
「えーミルアもあの女の子がいい!」
「我慢しろ、それに今一番レベル高いのミルアのターゲットだぞー」
「え、まじ?ラッキー!」
「予定通り夜が明けたら行動しましょう。」
望みなしと思われることもあえて行えば
成ることしばしばあり。




