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33 神秘の守り神

「半分も力を出さずに撤退か?」


「…………………………………」


「屈辱に満ちた怒り、憎しみを忘れたのか?」


「…………………………………」


「まあお主の好きに世界を壊せば良い」


「…………………………………」


「最恐の看板を持つ魔人よ」


「……………………………エル」






 ◇◇◇◇◇◇◇






 清んだ空気の青々しい草原で身体を伸ばす。

 ぽかぽかの天気と気温で動き回りたくなる。


「あーーーーーーーーー」

「おいティナ、どれだけ休憩するんだよ」

「えーーーーーーーーー」


 ティナは草原で寝転がりゴロゴロしている。


「今日はもう良いんじゃないかなー?」

「お前が依頼持ってきたんだろ、相談もなく初めてのAランクの仕事だーって」

「そんなこと言ったって、こんな良い場所でこんな天気だよ?」

「気持ちは分かるが仕事はちゃんとやるぞ」

「はーーーい!」


 重い腰を上げて動き出す。

 今回の依頼は、俺達がAランク冒険者になった事を聞き付けた貴族からだ。

 内容は採取クエストといったところだ。



「それにしても何でこの依頼受けたんだ?」

「報酬に情報があったの、何のだと思うー?」

「情報………それってまさか!?」

「そう!あの旅人達の情報だよ!」ニコ

「でかしたティナ!でも何で先に言わないんだよ」

「へへ、エルを驚かせようと思ってね」



 ティナ曰く、今回の報酬に旅人達の情報が含まれているらしい。

 ここ数日帝都中で嗅ぎ回っていたが、収穫ゼロだった為とても嬉しい。

 裏でティナが頑張ってくれてたのだろう。



「けどあれだけ調べて何一つ分からなかったのに依頼者は何者なんだ?」

「それがね、帝国の人ではないらしいの」

「……ってことは依頼委託か」

「そーゆーこと!」



 帝国外部の人が帝国ギルドに依頼する場合、貴族等の有権者を通して依頼することがある。

 直接ギルドで依頼出来ないこともないが、身元がはっきりしてない為信頼度が低くなる。


 この依頼、有力な情報が得られそうな気がする。


「見てーエル!あれだね採取場所」

「ああ、間違いないよ今回の依頼シャイニングマスカットが自生する『神社』だ」


 目の前に映ったのは草原にポツンと佇む大きめの鳥居だった。


「なにこれー?真っ赤っかだねー」ニコ


 ティナが赤い鳥居の前ではしゃぐ。


「これは神聖な場所への結界、その入り口なんだよ」

「神様いるのー?レベルいくつぐらいだろー」

「あくまで前の世界での話だよ、んーそうだなー言い伝えみたいなものかな」

「へー、けど雰囲気私好きだなー」

「本当はこんな草原にある様なものではないらしいけどね」



 俺達は鳥居を潜り、石畳を歩き本殿に向かう。

 今さらだが、神社に自生するマスカットってどういうことなんだよ。



「………!エルこの鈴はなにー?」

「確か鈴の音色には魔除けの力があり、参拝者を祓い清めてくれるっだったかな?」

「おりゃっ!」


 カランカランッ!


 急にティナが勢い良く鈴を鳴らし始めた。

 まるで初めて来た小学生が力任せに振り回すそれと同じだ。


「……一応作法があるんだけど、まあいっか」


 鈴を鳴らす事により、神様と繋がり神霊の発動を願うという役割もある。

 昔そんな話を聞いた事があった気がする。


「おりゃっ!おりゃっ!おりゃっー!」

「………ティナ!ストップ!何か感じる」


 突如背後の一角にオーブの様な物が集合し始めた。

 肉眼で確認出来る程にエネルギーが密集されたオーブだ。

 次第に大きくなり、その場所に犬形の石像が現れた。


「あれはゴーレムかな?」

「だろうな、狛犬とは神社らしいな」

「狛犬?石だし随分ブサイクなワンちゃんだね」

「あのなー、狛犬は一応守り神だぞ」


 "祈り方も知らぬ人族よ、直ちに聖域から出ていけ"


 現れた狛犬が俺達に言い放つ。

 ちょっとだけ確かにと思ってしまった。


「ワンちゃんマスカット知らない?」

「俺達は聖域を犯すつもりなど無い、ここに自生すると言うマスカットが欲しいだけなんだ」


 "欲深き罪人よ、裁きを"


 狛犬の姿が石から本物の獅子に変わった。

 明らかに此方に殺意を向けている。


「話は通じないな、やるぞティナ」

「うん、けどこのワンちゃん……レベル0よ」

「もしかして初めての戦闘かもな、いくらレベル0でも気を抜くなよ」

「りょーかい!」


風の刄(ウィンドウアロー)


 ティナが風属性中級魔法で先に仕掛けた。

 空気を切り裂き、衝撃波が狛犬を襲う。

 しかし、手応えを感じない。

 ダメージも受けていない様子だった。


 "哀れな罪人よ、懺悔せよ"


 狛犬が動き出した。

 残像がその場に残るほど速い。


「ティナ防壁魔法だ!」

土防壁(アースガルガンド)


 地面がドーム状に俺達を囲う。

 この魔法は180度の広範囲防壁魔法だ。


「あの狛犬何かおかしいな」

「うん、手応えを感じなかった」

「それにあの動きは速すぎる、高レベルモンスター並みのスピードだ」

「どうするエル?」

「殺意は凄かったが俺にはあいつが敵に思えないんだ」


 "直ちに立ち去れ侵入者よ"


 防壁の外で狛犬が語りかける。


「1つ聞かせてくれ狛犬、シャイニングマスカットとは何だ?」


 "聖域の宝珠を狙う盗人に話すことはない"


(なるほどな、話すことはないって割には教えてくれてるけどな)


「ティナ確認だが依頼人がブツは果物と言ったのか?」

「えっ?言ってなかったかも、けどマスカットって言われたらそれしかないでしょ」

「……りょーかいだ、今回の目的はティナの考えてるマスカットではないよ多分」

「えー、摘まみ食い作戦がー……」


 てっきり果物だとばかり思っていたが違うみたいだな。

 そもそもティナが勝手に勘違いしてただけだったが。

 おそらく宝珠というのは………。




狛犬 LV0-


HP :???

MP :???

ATK:???

DEF:???

LUK:???


神社の守り神。姿は獅子よりの犬であり、ティナ曰くブサイクワンちゃんである。



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