16 再来のダンジョン
宙に浮く扉、ダンジョンゲートをくぐった俺たちの視界に入ったものは、一面黒で囲まれた不思議な雰囲気の狭い部屋だった。
その中心に違和感だらけの知っているものがある。
「あれはエレベーターだな………」
すでにケイジが『逆三角』、下へのボタンを連打していた。
「エン。また完全攻略型みたいですね。」ジー
「ダンジョンは全部そうなんじゃないのかなー」アセ
「それにあの機械なんでしょうか?」
「あれは大丈夫、……自動移動装置だよー」
ピポンッ!
音が聞こえるとランプが赤く発光し、エレベーターの扉が開いた。
三人が乗り込むとケイジが開ボタンを連打しているため進まない。
「ケイジ違う方押してくれー」
シュー……
扉が閉まりエレベーターが動き出した。
中は開と閉のボタンしかないこと以外は何も変わらないだろう。
ハルは少し動き出したエレベーターに怯えていて可愛かった。
ピポンッ!
エレベーターが止まり音がなると頭上部分に『1』と表示された。その直後に扉が開いた。
外に出てみると薄暗い細い通路のような場所で、奥の方が光が差し込み明るくなっている。
光の方に歩を進めると
「スタジアムかー?いや闘技場だなー」
ただっ広い観客のいない闘技場に出てきた。
「おいなんか来るぞ!」
反対側の通路は鉄の檻で閉められていたのだが檻がゆっくりと地面に潜っていく。
その通路から丸くて柔らかそうなポヨポヨが転がってきた。
「あれはスライムね。」
「倒せってことなのかなー?」
エンとハルが話しているとケイジがスライムに突っ込んでいった。
「こんな枕が欲しかったんだよ!」
持ち上げ後頭部にフィットする角度を探している。しかし、スライムは破裂した。
「あまり近寄らないでください。」
「やばい頭がねばねばする!何とかしろ小娘!」
「ウォーターショット。」
ケイジに水の魔法を放つハル。
「サンキュー!スッキリしたぜ!」
「……本当は攻撃魔法なのですけれどね。」
ピポンッ!
エレベーターから音がなり、戻って見ると扉が開いていた。
「なんだよこの天空闘技場システムはー」
◇◇◇◇◇◇◇
1000年に1度『魔王』が誕生するお話は田舎の村の子供でも知っている程有名だ。
勇者にまつわる言い伝えでは、期が熟した時生まれながら胸に聖痕が宿る赤子が現れるとある。その聖痕こそが勇者の証であると。
勇者が生まれると言うことは同時に『魔王』が誕生した事に繋がる。
とある村で生まれた聖痕の赤子は、物心がついた頃には魔王討伐しか選択肢が無いことを理解していた。
15才で旅を始め、幾度の壁を乗り越えてきた。
壮絶な戦い、苦汁を飲み成長し進んできた。
そんな勇者は、長い長い旅の終着点まであと少しのところまできていた。
愛する人を守る為、子供達の笑顔を守る為、世界を守る為の戦い火蓋が切られていた。
勇者と対面する『魔王』
「………この一撃で決める」
一瞬の内に天秤は勇者に傾いた。
「終わりにしよう魔王。じゃあな」
倒れている魔王に剣を降りあげる勇者。
しかし、その瞬間魔王の雰囲気が変わった。
その魂は悪意に支配され、罪に苦悩し、己の姿に絶望し、現実を憎悪する。そんな魂のフラストレーションが悪の権化を進化させた。
「……勇者よ 続きを始めよう」
明らかに今までと違う。その圧倒的な存在に逃げたくなる足を押さえつけるのに必死だった。
「……フッ。俺の努力は無駄になったな」
絶望に世界を諦めた勇者はゆっくり目を閉じた。
時間が進まない。この一瞬が10分にも1時間にも1年にも感じるほどに遅い。
攻撃が来ない事に疑問を抱いた勇者は目を開けた。
「……何が起こったんだ?ここはどこだ?」
先程見ていた魔王城とはうってかわり、目の前には田畑が広がっていた。
「兄ちゃんカッコいい服だなー!」
坊主頭の少年が近寄りながら話しかけてきた。
「さっきの空見たか兄ちゃん?」
「さっきの空……?」
「凄かったんだぜ!ちょーデカイ家とかが落ちてきただろ!」
「何がなんだか分からない……」
緊張の糸が切れた勇者はその場で意識を失った。
目が覚めると民家のベッドにいた。
見たことのない人のポスターや可笑しな形をした机に新鮮さを感じていた。
「おー起きたか兄ちゃん!」
さっきの少年だった。
「兄ちゃん3日も寝てたぞ!」
「君がここに運んでくれたのか?」
「君じゃない僕はジンだ。兄ちゃんを運んだのはじーちゃんだよ」
「そうかジン。ありがとう、俺はカイルだ」
ジンとおじいさんにお礼をして家を出た。
「話を聞いて少し分かったけど………これからどうすればいいんだ俺は……」
勇者は見知らぬ土地、見知らぬ道を目的無く歩き始めた。
-スライム LV1-
HP :10
MP :0
ATK:15
DEF:5
LUK:1
δ とても柔らかい。針を刺せばすぐに破裂する。
体液はネバネバしているが無臭だ。




