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初作品です。どうか温かい目で見守って下さい。

 



 遥か昔、大きな戦争があった。

 その戦争は人と人が争う戦争ではない。

 それは、神と悪魔の戦争。

 勝ったものはこの世の支配者となる、世界をかけた大戦争。


 最初は、神の軍勢が優勢だった。

 神は個々が恐ろしく力が強い上に、思いのままに生き物を創造することが出来る能力を持っていた。

 神はその力を使って様々な生き物を創造した。


 哺乳類や魚類、恐竜や植物。

 エルフやドワーフや天使、そして人間。


 神は創造した生き物を使い、悪魔を追い詰めた。

 悪魔は次々と打倒され、どんどんその数を減らしていった。

 もはや勝敗は誰の目から見ても明らかだった。


 しかし、幸か不幸か、悪魔側は絶体絶命となったことによって奇跡を起こした。

 限界まで追い詰められた悪魔たちは、死にもの狂いで種を強化する実験を行った。

 悪魔の血を大量に取り込んだり、偶然にも捕らえることの出来た木っ端の神の体を食べたりもした。

 彼らは朝から晩まで実験を繰り返した。悪魔や神の命をふんだんに使った狂気の実験を。

 その結果、彼らの祈願、悪魔のさらに上位の存在。神さえも凌駕する存在。


 邪神が生誕した。


 邪神の力は圧倒的だった。

 まず彼は、神が作りだした生物の軍隊を滅ぼすため、魔族と魔物を作り上げた。

 彼らは瞬く間に戦場を駆け巡り、神のしもべ達を殲滅していった。

 戦況は一気に悪魔側に傾いた。


 だが彼はそれだけでは終わらなかった。

 彼は次に、悪魔たちに自分の血を与えた。

 彼の血を得た悪魔たちは、神をも上回る力を得た。

 悪魔たちはその力を持って神を殲滅していった。


 その結果、悪魔たちは戦争に勝利した。


 神側の圧倒的な状況から一転、邪神が生まれたことによって悪魔側が勝利をもぎ取ったのだ。

 邪神は自分の名を『タルタロス』とし、悪魔たちの王として君臨するようになった。


 戦争に勝った悪魔たちは、まず初めに神を皆殺しにした。

 抵抗するものや力の弱い神。全て関係なく虐殺した。


 次に彼らは神が生み出した生き物たちを服従させた。

 彼らは殺さず使役することにしたのだ。動物から植物に至るまで全てを自らの下に置いた。


 そこから数万年は悪魔たちの天下だった。

 彼らに逆らうものは誰一人としていなかった。逆らえば殺されるからである。

 まさに彼らは世界の覇者だったといえるだろう。


 しかし、永遠に続く支配などありえない。

 彼らの支配にもやはり終わりが存在した。


 きっかけはとある人間の男女だった。

 彼らは別に特別でもなんでもない普通の男女だった。悪魔に支配され、労働を余儀なくされる普通の二人。


 彼らは子供を産んだ。

 至って普通の女の子だった。

 そのため、悪魔たちも特に警戒することなく、彼らを野放しにした。


 その判断のミスが、彼らの支配にヒビを入れた。


 産まれた彼女は天才だった。

 常識に囚われず、子供ながらに様々なことを発明した。

 そして彼女は自らの中に流れる『魔力』を発見した。

 体の中に流れる膨大な力の源。

 彼女はそれを見つけたのだ。


 この発見が、悪魔の支配を終らす決定的な決め手となった。


 彼女は体の内に流れるこの膨大な力を何かに使うことが出来ないか考えた。

 生活を楽にするような何か? 悪魔様たちにもっと貢献できるような何か?

 彼女が考えたものはそのどちらとも違った。

 彼女は魔力を『兵器』として利用できないか考えた。


『魔法』が誕生した。


 彼女は様々な魔法を開発した。

 その威力は、軽く世界を滅ぼせるまでに達した。

 それでも彼女は研究をやめなかった。

 人類を不当な扱いから救うため? 違う。


 ただ、作りたかったからである。


 彼女はその知恵を人類に授けた。

 彼らはその力を使って悪魔たちに反逆を起こした。


 彼女が開発した『魔法』の力は絶大だった。

 その力はかつて自分たちを作り上げた神の力をやすやすと超えることが出来るほどの力だった。

 彼らの反逆は驚くほど順調に進んだ。

 悪魔など敵ではなかった。

 かつて邪神の血を授かった悪魔でさえ倒すことが出来た。

 しかし、彼らの反逆は止められた。


 悪魔たちの王、悪魔たちを勝利に導いた邪神『タルタロス』によって。


 彼の力は圧倒的だった。

 いくら人類が魔法という力を得たとしても、彼からしたら蚊が蠅に替わったようなもの。

 いくら挑もうと、彼に敵うものはいなかった。


 人類は敗北の危機に陥った。

 そんな時、彼らは自分達に力を授けてくれたあの少女を思い出した。


 彼らは彼女にすがった。

 この人ならあるいは、そんな気持ちがあったのだろう。

 魔法の研究にしか興味のなかった彼女でも、人類全員からの必死の説得により、重い腰を上げ反逆戦に参加した。


 この時、まだ齢16歳の少女である。


 彼女は瞬く間に悪魔を一掃し、タルタロスの元へたどり着いた。

 そして彼女とタルタロスの3日3晩にわたる戦いが始まった。


 その戦いぶりは、まさに地球の終わりだった。

 戦闘の余波で天は裂け、海は割れ、大地は崩壊していった。

 人類は、そして残った数少ない悪魔は、自らの長の勝利を願う他なかった。


 永遠にも思えるほどの長い戦いの末、最後まで立っていたのは少女だった。

 タルタロスは破れたのである。20歳にも満たない少女に。

 その時から悪魔の数百年にもわたる支配は終わりを告げた。


 そして人類は残った悪魔を魔法で作り出した地下深くの監獄『地獄』に封印し、タルタロスが作りだした魔族、魔物は辺境の地に追いやることに成功した。


 そこから、人類の栄光の歴史は始まったのである。


 その人類の栄光が始まるきっかけ。

 魔法を開発した少女。

 彼女の名前はアストラッテ・エクスガイア。開闢の魔導士にして現代にまで使われている魔法の原点を作り上げた偉大なる魔法の祖である。





『始祖暦の歴史』より抜粋

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