オダマキー人ならざるものの執事
あの鏡の間でみた奥の奥の黒いものの中に一瞬だけ「人の眼」が見えた。その者が誰だったのか、その後どうなったのか彼は知らない、記憶に無いだろう。
パウロスが気が付いた時には、鏡の間に入る前の扉の前で倒れていた。もう一度入ってあの者が何者なのか確かめたかったが、もう入らないようにしようと決めた。
ー「…あれは何だったんだろう…。」
「…どうかしたのぉ?」
「ん?あ、いや…なんでもない。」
「パウにぃ、皆行っちゃうよぉ。」
そう言われて前を見れば他のメンバーが次の食堂から廊下に戻ろうと扉を開きかかっていた。
「あ、ごめんな、行こうぜ。」
いつの間にか手を繋いで歩いていたがまぁ良いだろう。
【Night王国城ー正面廊下】
廊下は先程見た時となんら変わりはない。少し玄関の方を見れば悲惨なのも変わりはない。
結構奥から何かの板が倒れる音が聞こえてくるが数枚の壁があるらしい、微かにしか聞こえなかったが
ー…グアァァオォォォッ!!
その声だけははっきりと聞こえた、特にルナには煩かったようで聞こえなくなった後も身体が硬直していた。
「…何故此処に龍が…?」
「でもこの国には一匹も居ないっていう話じゃなかったのぉ!?」
「龍?」
その声は動物の吠える声にそっくりだったがそれだけでは龍とは断定できなかった。経験なのかとも考えたがAの辻褄が合わない。
その声の主が本当に龍であるのかと言うのは、奥に進まなければわからないだろう。あの2人を追うためにも急がなければ。
「…進みましょう、用心して。」
「あ、あぁ…。」
廊下には灯りは灯っていない。先程の食堂が明るかった為か、宝石のランプをAが持ってきていなければ暗闇の中を進む事になっていただろう。
相変わらず数本の大きな引っかき傷とヒビが後を経たない、刃物を引きずったような後は生々しく、ヒビもまだ新しい。
曲がる度に少しずつ広くなる廊下を進んでいくと広間に出た。ヒビも引っかき傷も無いまだ戦闘も無かったように綺麗な広間だ。シャンデリアが一段と綺羅びやかに飾られているが、灯りは灯っていない。
「この奥に進m」
「…お待ちなさい。」
Kが進もうとした時にすっと耳元で誰かが囁いた。今まで一緒に行動してきたメンバーの誰のものでもない低い声で。
「あぁ…あぁ、兄貴ぃ…!」
首筋になにかひんやりとしたものが当たる、Kには反射的にそれが『何か』わかった。剣を突きつけられて動けば掻っ切るように添えられている。Kに焦った様子はなく、回避しようという様子もない。周りもメンバーも驚愕するが攻撃すれば当たる前にKが斬られてしまうかもしれない、迂闊に動けなかった。
いつの間にか…シャンデリアと壁の灯りが静かに青く灯っている。
「貴方ならわかるでしょう、動けばどうなるか…。」
「ええ、経験上はっきりと…なっ!」
Kー回避(フェイントカウンター使用)…成功
Kが剣を突きつけられているその剣の主、その青い髪の青年にそう答えたと同時に首の皮が斬れることお構いなしに横に逃げた。もう少し強く刃を押さえつけていたならば皮膚が斬れる程度では済まなかっただろう。横に逃れたとその時、ズボンポケットから鍵(?)を取り出して差し込む先を青年に向けた。
「なんですと…。」
「あいてて…姉貴よりかはマシか…。」
よく見ればその鍵は先端に穴が空いており、銃のような引き金にアンロックされている安全装置が見える、ルナにはそれが鍵の形をした銃であることがすぐわかった。
「…その鍵…銃なのか!」
「貴方もそこから動けばどうなるか…理解してますよね?」
戦闘に入る前にこれはKがが優勢だと皆思うだろう…青年の次の行動を見なければ。
青年は少しぎょっと驚いた様子を見せたがすぐその場で冷静な表情に戻っていた、そして次の瞬間幻覚のようにふっと消えてしまった。
「…!」
ー敵感知(Kは成功率にマイナス)
Kー失敗 フィヨー成功 ルナー成功 パウロスー失敗 Aー失敗
まるで『瞬間移動』だ。一瞬でその場から消えてしまった…Kの後ろに居る。最初に気が付いたフィヨが叫ぶ。
「K!後ろに居るぞ!」
「ッ!?」
青年が剣を振り上げる。今度は一点に。刺す様な構えだ。Kの背後から、まるで心臓を狙うように…。
【回避出来なかったらこりゃ終わりかなぁ…こいつらは死なない保証なんて一切ないから、死ぬときは死ぬ、それがこの世界さ…。】
おはこんばんにちは、CODE393です、テスト期間中ですが更新しました。
ぱうさんの回想が終わって、次次回には次の戦闘に入れそうですね、いつ追いつくんでしょうか…()手遅れなんですけどね。
次回はいよいよあのチート組(呼び方固定)がボスの所へたどり着きます、知ってる人ぞ知るボスの姿、是非戦闘をご覧あれ。
ではまたこの世界でお会いいたしましょう。