葡萄ー迷い込んだモノ
やっと書き上がった…おまたせいたしました、やっとゲストが出てくる感じになった…次回はもっと出せるとは思いますが…遅くなると思います。
今回は、長いですよ。ゆっくりしていってくださいな。
「…どうしてこうなった。」
さっきまで木の上で途方に暮れていたのに、いつの間にか白く広い部屋のベットの上に座り、翼の負傷した関節にはガッチリと動かせないほどに包帯で固定されている。
此処がどこかは分かっている、此処はある知り合いの家の治療室だ…。
とりあえず僕は記憶を辿ってみることにした…。
【時は数時間前に遡る。】
僕の名前はFlancirno-Delphox。
僕は今、以前旅を共にしたある仲間の一人を訪ねようと次元を超えて来たところだ。
どうやって、どうして次元を超えてきたのかって?まあ方法はともかく、その仲間が別次元の世界から来たと言っていたから、僕も超えてきたまでのことさ。ただ…。
「…此処なのか?何も無いじゃないか…。」
その世界は塗りつぶされたかと思うほど真っ白で何も無かった。元々どこにあるのか宛も無かったものだから、少し歩いてみることにした。
すると目の前に周りの景色と同化していそうな真っ白な扉が見えてきた。僕はその目の前で歩みを止めて、少しその扉を眺めてみた。そして開けようと手を伸ばしたその時、
「「ソノオクガキニナルノ?」」
「誰だ!?…っ!!」
突然聞こえた声の主は後ろに居た…しかしその姿をしっかりと視認する前にそいつは、僕を扉の方へ突き飛ばした。その姿は黒髪の女性…いや身長的には少女だったか。
そしてその反動で扉が開いてしまったらしく、そのまま扉の奥へ迷い込んでしまった…。
【そして数十分前。】
「…Delphoxか?」
そう言うとSakumi|(以後Sと省略する)は付けていた紫色の石のような仮面を下から親指でぐいっとめくり、首に掛けていたネックを上げて口元を隠した。その手には赤いマフラーを持っている、使っている様子はない。
「Sか…あ、この枝を取っ払ってくれないか…翼が…。」
「よく服が引っかからずに翼だけ…大丈夫かこれ、関節がありえない方向に曲がっているんだが。…これ使え。」
そう言ってSは持っていた赤いマフラーをDelphoxの顔めがけて渡した。
「っ…顔にすること無いじゃないか…。」
「あ。すまん…ほれ、これで動けるか?」
二人は木の下に降りた。地面に足をつけると雪はくるぶしの深さまで積もっていることが分かる。
「な、なあ…この世界は…」
一息つくとDelphoxはそうSに問いかけようとした。
「お察しの通り、この世界が私の故郷だ。ようこそ、R.Wへ、歓迎する。このまま私の家まで来るか?」
「…行く宛もないし、とりあえずお邪魔しようかな。」
「そうか、じゃあ…!」
Sは何かを言おうとしたが留まり、後ろをじっと睨みつけた、そして。
「お前は木の上に隠れていろ、少し急用だ。」
「え、ああ…わかった。」
Delphoxがしっかりと隠れたことを確かめると、先程の仮面を付けてSは睨んでいた方向にこう叫んだ。
「無断でこの森に入る不届き者め!また私に挑みに来たか!?良いだろう、相手にしてやる…潰されたいやつから出てこい!そこに居ることは分かっているぞ!」
その声に答えるかのように、草陰からぞろぞろと人が出てきた。おそらく十数人は居るだろう、あっという間に彼女を取り囲んでしまった。その手には銃やら刃物やらが握られている。
「ほう…今度は数で攻めたか、あいつも懲りないものだ…じゃあこうしよう、私は此処で「移動しない」から全員で全力でかかってこい。」
「(無茶だ!…大丈夫なのか…?)」
そう言われるやいなやその者達は全員で攻撃を開始した、激しい金属音と銃声が鳴り響いたが、数分するとピッタリと音も動きも止まっていた。一箇所に集まって身動きがとれないようである。
「誰が防御しないなどと言った?一手、一手が弱すぎる、銃も反発が小さく扱いやすいものだろう?いくら人数がいたってなぁ…!!」
「質が悪ければ同じなんだよ!!!」
そう叫んで全員ふっとばされてしまった、内側から少し切り傷を数か所付けたSが歩いてくる。
「…話にならん。殺さないでおいてやるから、家族の元へ消え失せろ。」
そう言ってSはそのまま少し奥へ歩き出した。
「…もう良いぞ、降りてこい。家に案内する。」
「いくらなんでも無茶しすぎだ、あの人数で動かないだなんて…。」
降りてきたDelphoxがそう咎めた。Sは付けていた仮面をまた同じように外すと、
「…本気でやったらいくらなんでも無慈悲すぎる、あの人達も家族が居るだろう…あの強さでは殺す価値もない。」
「そ、そうか…。」
しばらく歩くと開けた場所に出た。相変わらず雪が積もっているが、中央に大きな樹がそびえ立っている。
「此処だ。」
「此処…か?…!」
そのままSはその大きな樹の中に消えていってしまった。Delphoxも慌てて追いかける、樹の幹にあたる感覚はなく、次に見えたのは一般的な玄関だった。
しかしそこにSの姿はない、代わりに身長の低い白衣の男の子がその大きな青い目でこちらを見ている。
「姉さんが言っていた翼を怪我した友達ってお兄さんのことぉ?はじめましてぇ、まずは俺についてきてぇ。」
その男の子はDelphoxをそのまま治療室|(正確には研究室と書かれていた)に連れて行った。
「そこのベットに座っててぇ、すぐに準備してくるよぉ。」
そう言うと奥から包帯やお茶の入ったカップをお盆に乗せて歩いてきた。
「えっと、君の名前は…。」
「あ、そうだねぇ、自己紹介を忘れていたねぇ。」
お盆を近くの机において少し整理すると、椅子に座り向き直した。
「僕の名前はAnswer the question。お兄さんは俺の姉さんの友達なんだよねぇ?俺は姉さんの兄弟の末っ子、此処で主治医しているよぉ。」
「僕はFlancirno-Delphox…っ…いてて…。」
「あぁ~、思いっきりやっちゃったねぇ…包帯で固定するねぇ、しばらくは飛ばないようにぃ。」
「わ、わかった…。Sは?」
「姉さんは体調悪いのに出かけて更に悪化したからぁ、今は強制的に休ませてるよぉ…ほんっとすぐ無理しちゃうんだからぁ…。」
【一方その頃】
Killer(以後Kと略称する)は電話を掛けていた。
「…もしもし。Kです…瑠那さんはいらっしゃいますか…。」
すると電話越しに話し声が聞こえてくる。
「ボス!K様からお電話です、つなげますか!」
「…ちょっと貸せ!…K!Sは!?」
「見つかった、だから今連絡しようと思って…今は休んでいる。」
「今そちらに向かう!月華!行くぞ!」
「母さん!?短刀!短刀忘れてる!」
そのまま電話はガチャンっと乱暴に切られてしまった。Kは静かに受話器を戻し、廊下の奥へ消えていった。
【もう一方、森のどこか】
閑静な森の中に突然大きな赤い魔法陣が浮かび上がった。黒い霧が上がったと思うと、中から黄色の鬼のような角を2本生やした赤いマントと禍々しい衣装を着た何者かが出てきた。
「此処が地上か…さてどんなところか…。」
【そのものが一体何者であるかは次にお話しよう。】
TO Be CONTINUE...
此処まで読んでくださり有難う御座います…!中途半端ですが此処で切らせて下さい私の気力が持たない。
次回は沢山新キャラが出て来るし、挿絵も試しに入れようと思います。
ではまたこの世界でお会いいたしましょう。