ホワイトゼラニウムーBLACK Heart
今回は違う場面を。
一方その頃。
【原視世界ー黒】
「あー危なかった。また仕事が増えるところだったよ…。」
S達が居る世界、そしてあの白い世界の更に上…その世界で一人の少女が座って背伸びをしながらそうぼやいた。
「全く、他世界の魂なんて喰いたくねえし…戻すのも面倒なんだからよぉ…。」
よいしょっと飛び起き、その少女は大きくあくびをした。
その黒髪少女は近くに置いてあった「我々の世界で漫画家が被っているような緑の帽子」を被った。その頭には大きく立派な青薔薇が見える、本物か偽物かはさておき。その薔薇と同色の服…まるで我々の世界の作業服である服装をし、白く頑丈そうな靴を履いている。
「はーぁ…しかしよーく寝た…今は何時だ…?」
少女は袖を少し捲くって、アナログ腕時計の文字盤を読んでいる…しかし我々から見ると、数字ではなくただの記号だ。
「ん…やべっ、寝すぎたぁ…向こうで徹夜続きだったもんな、そりゃそうか…。」
少女がぼやいている…しかしその少女が寝ていた場所は黒く、何もないし、周りには何も置かれていない。黒い視界が広がるばかりである。
ーいやぁ、しかし参ったなぁ…。
あの男子3人は放置しておくと何するかわからないな…そのうちの一人は絶大な力を持っているだろうな、予想だけど…。
ーあの悪魔っぽいやつもそうか、どんな能力かわからないから下手に手出し出来ない…あの2人は厄介だな…。
ーとなるとあの片目の人間か…?いやどうだろうな…彼奴は彼奴で『俺』にとっては面倒な能力だった気がするぞ…あぁ、そうだ、彼奴は怒らせるとやばいんだっけ…。
ー狼女は…どうだろうな、彼奴は能力とかは無かったと思うが…ウイルスは厄介だ、『僕』でもやられてしまうかもしれないな。
ーSは…やめておくか。近づいたら近づいたで何しでかすかわからないし…それに。
ー「…どうあがいても、もうすぐ消えるしね…あっはっはっは…!」
一人ブツブツその場でつぶやいていたかと思うと、いきなり笑いだした。しかしその笑いに正気は見られない。
「またあの時と同じく…全部消えるんだろうなぁ…あぁ、虚しいものだ…。」
そう言って、少女は手の平を上に向けて顔の横に持ってきたかと思うと、大きな鎌…いや『宝石に飾られた不思議な刃の形をした鎌』が瞬時に現れた。それと同時に、頭の青薔薇もほんのり光を放ち始めた。
無言で数振り振ったかと思うと、その鎌を消してしまった。
「…よーしいつもの通りだね…またEarthに落ちぶれた魂が残ってるなぁ…。」
黒い空間に白い光が下から見えたかと思えば、その少女はそこを見下ろし、ため息混じりにそうつぶやいた。
「あーあー…まーた無残にやったねぇ…本当に…人間は利己主義で愚かだなぁ…。まだ間違いに気が付かないんだから…。」
覗き込んだままそうつぶやき、立ち上がった。
「また失敗かなぁ…次に期待するかな…いや…。」
「このままでもいいか、面白そうだ。」
【そう言ってその少女はその場から消えてしまった…残ったのは何もない黒い空間だけであった。】
おはこんばんにちは、CODE393です。
今回は場面を変えたお話…と言っても書きたくなったという気まぐれですが。なんか色々話してるけど、信じるか信じないかはアナタ次第。さぁ、どっちを信じますか?
ではまた今度はこの世界の下界でお会いいたしましょう…。