アジアンタムーかくれんぼ
はいはい、出来ましたよぉ。
【戦闘終了後数分後ー】
「…いねえな。」
「居ないねぇ、何処行ったんだろ。」
S、ルナは賞金稼ぎの3分の1を退治した後、残りを探していたが…、どうやら諦めて消えたらしい。見えるのは実った宝石と下に広がる雪景色だけである。
「…帰るか、今日の『狩り』は終わりだ。」
「ちぇー…物足りねぇの。」
「まぁ、また今度懲りずに来るだろう。」
【アジトー1階・リビング】
「なー、俺お腹すいたぁ。」
アジトに帰り、ソファーに倒れ込んだかと思ったらルナは唐突にこう言った。Sはやれやれといった表情で冷蔵庫からトマトを取り出してきた。
「…トマト食うか?」
「!…食うっ。」
トマトという言葉を聞いた途端、ルナの耳はぴーんと立ちばっと起き上がってSからトマトを受け取った。爪が実に食い込み、中から果汁が指を伝ってこぼれていく。
「あー…おいおい、こぼれてるぞ。」
美味しそうに頬張るルナの横から、Sがズボンのポケットに入れていたハンカチで拭い取った。シャツではなかったから大事には至らなかったが、洗わないと少しシミが残りそうだ。
「…後でちゃんと洗えよ。」
「ん?わかったー…ごちそうさまぁ!」
そんな心配をしているといつの間にか完食していたようだ、ルナは無邪気な笑顔でそう言ってきた。とてもさっき戦闘をしていたモノとは思えない。
「はいはい、お粗末さまでした…。」
Sは元のポケットにハンカチを雑に戻しながら、ぐてーっとソファーの背もたれに寄りかかった。ルナも同じくくつろいでいる。これが日課のようだ。
【一方-5階から降りてきた男子共は…。】
「…階段狭い…。」
3人は階段で一階ずつ降りていく算段だったようだが、何故か階段の幅が人一人分通れるくらいにしか幅がなく、男性の肩幅では通りにくく感じるようだ。
更に、ディフとフィヨは翼が思いの外肩幅より広いため、限界まで閉じてもどこかしらで翼が壁に突っかかってしまう。パウロスは問題が無いようだ、先頭をさっさと降りていってしまった。
「…おーい、まだかぁ。」
「す、少し待ってくれ…通りにくいったらありゃしないんだ…。」
【アジトー4階フロア】
「…5階よりかは扉が多いぞ。」
やっとの思いで階段を降りきると、森で見たあの宝石の明かりがフロアを照らしていた。明かりは桃色で可愛らしい雰囲気だ。
「住居スペース…?あの兄弟以外に誰か住んででも居るのか…。」
パウロスはそう言いながら左から回っていこうと進もうとした、しかし
「…待ってくれ、こっちから何か聞こえる…子供?」
ディフがパウロスの半袖の裾を掴み呼び止めた、そして反対側の扉を指差していた。
「子供…?Sはあの若さで子孫を持っているのか?」
「…いや無理だろう、まず相手が出来ないだろうな。」
「流石に失礼じゃないかい…?」
3人はそう話しながらもその扉の前に近寄っていった。微かに声が聞こえてくる。フィヨが扉を開けようとしたが…。
「…どうした?開けないのか?」
フィヨはドアノブを握ろうとしている寸前で止まって、いや硬直していた。
「…。」
フィヨは黙ったまま手を降ろした、2人は不思議そうに覗き込んでいる。
「…どうしたんだよ。」
「…ケルベロスの様な雰囲気を感じ取った、此処の子供は普通の子じゃない…。」
「え、なんだよ、開けようぜ。」
パウロスはそんな話を聞きながらも容易に扉を開けた、隙間から可愛らしい子ども部屋が見えてくる。奥にベッド…いや大きなカゴが2つ、その周りに本やらクレヨンやらぬいぐるみが散乱しているが…子供の姿が見えない。少々薄暗いせいか、あるいは寝ているのか…。
「可笑しいな、さっきまで声がここから…。」
「本当に此処の部屋かr…!?」
その部屋に足を踏み入れキョロキョロと見回していると、ディフの尻尾に何か…手が触れたような感触があった。
「ど、どうしたんだ?」
「…やっぱり何か居るよ此処…!」
「何かって…子供じゃn…。」
フィヨがそう言いながら目の前、もとい下を見ると…。
ー自分の赤いマントを興味津津にいじる子犬の獣人と、それを後ろから怖怖と見ている子猫の獣人が居た。
【女子の部屋には入らないのに子供の部屋に入った男子共…ピンチ?いやいや、それは次回のお楽しみ。】
おはこんばんにちは、CODE393です。
女子編あまりやることが無かった事案…しかし男子パートが長いこと長いこと…。女子の様子をちょこちょこ入れながら男子中心ですかね、これから…。
最後の子供は一体…?と思った人は次回もどうぞ。
では、次回もこの世界でお会いいたしましょう♪