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メカな彼女とノーマルな僕  作者: 日陰 四隅
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エピローグ

 彩月さん達がいなくなって一週間ほどたった。


 相変らず市内には自衛隊が常駐しており、瓦礫と化した校舎の撤去に当たっていた。


 日本はアメリカに対して国会で非難決議を合意。正式に非難声明を発表。


 アメリカ政府は今回の件を現場の独断と発表。現場責任者の解任と謝罪をした。ただ、同盟国を守ることとしていたしかないことではあったが、今後このようなことがないように日本と協力姿勢を維持していきたいと声明をだした。


 一方で街への報道といえばぴたっとやんだ。当初は政府の責任だとか、アメリカの狂気だとか散々マスコミは報道してたし、いたるところでカメラを向けられもしたが、今ではぱたりとやんでいる。どこからか圧力でもかかったのだろうか。


 僕等の学校は一時的に休校状態。幸いテストも終わり夏休みを迎える直前であったのでカリキュラム的には問題はない。ただ、部活動のほうは全滅で最後の夏を控えた三年生は抜け殻のようだった。


 学校については再建の目処は立っていない。学校にしたって新しく建てる費用なんて市にあるわけなく、国が支出するような発表もない。普通の生活が戻ってくるまでには長い時間がかかりそうだ。


 僕はといえば胸にぽっかり穴が開いたよう。すっかり抜け殻のようだ。


 人生に張り合いがないというか、あ、いやここ最近はずっと引きこもりっぱなしだったけれど。


 しばらくは父さん母さんも事件の影響だとか言ってほっといてくれたけど、そのうちに母さんがうじうじするなと部屋から僕の事を放り出した。


 ついでに、家からも追い出し勝手にどっかいってしまう始末。扉という扉、窓という窓は閉め切られ、着の身着のまま外に出された僕はどうすればいいんだろう、という始末で仕方なく街に出てみた。何せ住んでいる場所じゃ何も無さ過ぎる。


 偶々自転車に鍵が付けっぱなしだったのでそのまま乗り込み。


 目的地も無く、あてもなく街を巡った。


 学校の通学路。


 校庭が山の上にある高校。


 祭りの開かれる川沿い。


 崩れて何も無くなった僕等の学校。


 気付けば彩月さんの後を追っている。なんだか未練がましい。


 未練がましい男なんてあんまりいいものではないけれど、当面こんな状況が続きそうだ。


 あの時、彼女が言ってしまうといった時。僕は引きとめればよかったのだろうか。


 答えの出ない後悔に歩みは始まりの場所へと辿り着いた。


 彼女と初めて出会った場所。


 桜の木が立ち並ぶ、小川の通り。


 彼女がいる事を期待しながらここに辿り着き、そう思う自分が女々しいなと思っていると、そこにいた 見慣れた姿の人物がいた。


 そういえばあの人もこの場所が最初の出会いだったなぁと思い出し、一体全体何をしているのかと聞きたくなるけど、聞いたところで特に何もしていないんだろうなぁ、と思う。


 橋の向こう。車止めに寄りかかるように座る白衣の人物。忘れもしない折り返した長い髪。


 間違いなくハーヴェイさんだった。







 一言。死にたい。




「あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛、なんて事をしてくれたのハーヴェイ貴方は!」


 桜の木に寄りかかって蹲り、頭を押さえながら私は叫ぶ。


 自分で思うのもなんだけど、ロボットが自殺したいって凄いことじゃない?


「なんかすんごい心外な事を言われている気がするけど、これ望んだのお前だよ?」


 隣の男はどうすりゃいいのよ、と言いたげであった。


「今更彼にどの面下げてあえばいいのよ」


 頭を押さえたまま、地面を見ながらハーヴェイにあたる。


 もう二度と会わないと決めて、悔いが残らないような別れ方をしようと思って実行して。


 けど、あの後もう二度と会えないと思ったら物凄く悲しくなって、思わずこの男にあんな事を口走ったらアレよアレよという間に何とかなって。


 そうしたら、自分のしでかした事が急に物凄く恥ずかしく感じて。一晩中ひたすら悶え、転がって。


 いや、また彼と会える事は嬉しいんだけど、けど別れ方が別れ方だったからどういう顔して会えばいいのか分からなくて。


 そして、迷った挙句にここに来て今に至ってる。


「いや、普通にしてればいいんじゃないかな」


 さも当然のようにこの男は言う。あんまり気にしてなかったけど確かにこの男嫌われる性格している。

 大体、普通にしていればいいってどういうことよ。


「貴方ほど厚顔無恥でもないのよ、私は!」


 酷い話だ、不満そうに言った。


「こんなことなら感情なんてなければよかったのに!」


 辛い。これは辛い。悲しいのも辛かったけれど、こっちはこっちで別の意味で辛い。主に羞恥心で。


 顔から火が出るとはこういうことだったのね。大げさな解釈だと思ったけれど、体験して分かった。足りない。羞恥心で頭が吹き飛びそう。


「そういいなさんな。どうせ少年はそういうのを気にしないよ、後はお前次第じゃないか」


「どうせって何よ、どうせって」


 恨めしそうにハーヴェイを睨むと、奴は面白そうににやついた。よし、ぶっ飛ばす。


「ま、後は覚悟だけだ。私はあんまりそういうのは信じていなかったけど、どうやら運命って言うのは本当にあるらしいし」


「それってどういう……」


 そういって振り返ったところである人物を発見する。


 橋の向こう。対岸で自転車に跨るすっとぼけた顔した男の子の姿があった。


 気まずい。非常に気まずい。


 何だってこんな間の悪いタイミングでいるのか意味が分からない。


 安心したように微笑んだ後、その全てを悟ったような笑みを浮かべるの止めなさい。


 そして、ハーヴェイはハーヴェイで場の雰囲気とか気にしないのに、気を使ってどこか行くの止めなさい。


 ハーヴェイがどこかに行った後、橋向こうの彼は自転車を止めてやってきた。


 変わらない様子の彼をみて、笑みを溢す私が情けない。


 彼と私が始めてあった場所で、彼は笑って私に手を差し出す。


 差し出された手をはにかんだ私は取った。



 

 さて、まずは何を話そうかしら。

終わったよ。

とりあえず終了。

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