彼女と僕と(18)
「アレ、あいつらどうする気な訳?」
元は校舎だった、今は瓦礫と化したコンクリートの山。その上を歩く正悟は空を見上げていった。
「東と彩ちゃん? 逃げるつもり、じゃなさそうだよなぁ、アレ」
後ろを歩いていた三九二も空を見上げて言った。
「どうもこうも、アレは鬱陶しいから叩くつもりでしょあの飛行機。そして、少年はついていっただけ、かな」
空を見向きもせずに肩を竦めるハーヴェイ。
何かの冗談かと振り返ってみれば、本当に二人揃って空を駆け上がっていく姿を目撃しJは呆れた表情をして、
「いかれている。もはや俺には付いて行けない」
なんて吐き捨てた。
「それはどっちだ、アレのほう、それとも少年の方?」
「両方だ。邪魔だからとプレデターを落とそうとするお前が作ったものも、それに態々ついてこうとする餓鬼の方もだ」
それだけ言うと、酷く疲れたように歩き出すJ。
「アレならどっか安全な場所において直ぐに迎撃する、なんて出来そうな気もするけれどね。少年も言ったんだろう、一緒に行こうとか」
「……本気、って、本気か」
そういって頭を押さえる三九二。
「まぁ、正気じゃねーわな」
聞いた正悟は肩を竦めた。
そして一行は歩き出す。空を駆け上がった彼等の事を心配するものは誰一人としていなかった。
どうせ、結果なんて見ずとも分かりきった話だった。