くちか
掲載日:2015/01/15
ただ、空を見ていただけだった。
ただ、風を感じていただけだった。
生を受けたときから、ただ生きる。
栄養を摂取して、ただ生きる。
水を摂取して、ただ生きる。
光が有れば酸素を吐き出し、光が消えれば酸素は吐かない。
輪廻の如く巡る季節は、この肌で、全身で感じ取る。
綺麗だと褒められても、動じない。
嫌悪を向けられても、動じない。
ただ密かに、其処に在るだけだった。
それなのに、あなたは私を傷つけた。
綺麗だ、と。
見惚れるような笑みを向けながら。
プツリと、途切れた。
命を繋ぐのは、ただの水。
欲しいだけの光が届かない。
空も見えない。
風も無い。
新たな命が生み出せない。
開くはずだった命も、閉じたまま。
感覚を麻痺させるかのように、末端から朽ちていく。
もう、あなたは見向きもしない。
綺麗だ、と言ってくれたのに。
向けてくれた笑顔も、ただの一度だけ。
残酷だ。
ただ生かされるだけの、この命。
あなたが再び目を向けてくれるのは、私が一番醜い姿になったとき。
水が腐った瓶の中から、私はあなたを恨みます。
仲間内でのお題作品です。
今回のお題は『花』でした。




