最強の超能力
「いらっしゃいませー!」
俺は今、ファミレスにいる。そして目の前にあからさまにそっち系の人だなという格好をした、ゴツい強面なお兄さん達がこっちを睨んでいる。
そしてしばらく睨まれているとガタッと一人が立ち上がりこっちに来た。ちょー怖い。
「おいにいちゃん、最近噂のthe breaker って知らねぇか?」
僕ですよーなどと言えるはずもなく
「いや、知らないっす。」
と答えた。すると俺の額の少し手前に拳銃を突きつけて来た。
「お前がthe breaker ってことは知ってんだよ、クソガキ。こっちはこの前お前にやられてんだ。仕返しは10ばごはぁっ!」
おもっきり殴った。といっても、ただ殴っただけ。それなのに、強面なお兄さんは店内の隅から反対の隅までぶっ飛んだ。
「ヤロォッ…ぶっ殺せ!」
すると殴られていない強面なお兄さん達が拳銃をこちらに向け撃ってきた。だが俺に触れる前に銃弾は消えてなくなる。
「俺の能力分かって来てんだよな?じゃあ、銃弾が当たらない事ぐらい分かってるよなぁ!」
そう言い強面なお兄さん達に向かって能力を発動させた。すると店内が崩れ始め、強面なお兄さん達がビビって逃げ始めたので能力を解除した。
「ふぅー…帰ろ。」
ファミレスの定員が怖がってこちらを見てきたので俺は何も頼まずにそのファミレスをあとにした。
「はぁ、なんで転生なんかしたんだ?ふざけんなよ…」
悪態つきながら家に帰っていると後ろに気配を感じ、振り向くとそこにはいかにも悪者ですと言わんばかりの黒いマントをつけた人間が近づいてきた。まあ、目星はついているので
「よぉ、なんか用か?」
「用…だと?……ふざけんじゃねえよクソやろうがっ!てめぇがさっき破壊したファミレス誰が直すと思ってる!?俺なんだよクソがっ!今すぐ俺に謝れ!」
「うっさいうっさい。唾ちょー飛んでるから。つか誰のお陰で今お前が生きてるか知ってる?俺だよ。分かったら帰れ。眠い。」
こいつは俺の仕事仲間。名前はコウ。見た目はちょーチャラいがビビり。コウとの出会いは俺が街を歩いていたらこいつの頭上に鉄球が落ちていたので助けたらスカウトされた。一応上司らしいが、上司らしい一面が何もないので敬語も使う必要が無いのでこの態度だ。
「おまえっ…!クソっ…気を付けてな。」
と、言う風に男なのにちょっとしたツンデレ。ホントに気持ちが悪いが、まあ仕事に誘ってくれたので我慢しているのだ。
「おーう、がんばれー」
コウと別れ、やっと家についた。軽くシャワーを浴び、深い眠りについた。
…………
「ふわぁー…朝か…。歯磨きして…ん?」
窓に何かいる。だか、そんなはずはないと目をこすってもう一度見たがやはり何かいる。ベランダでゴソゴソしている。怖いがベランダのドアを開けてみた。するとそこには
「…は?」
「ガウッ!?」
小さいドラゴンがいた。こちらに気づいたのか睨み付けてきた。心なしか口から少し炎がちらついている。
「…ドラゴンさん?何故うちのベランダにいるんですか?」
「ガウッ…ガウガウ!」
「日本語喋れ」
「ガウッ!?…グッ…グガッ!」
「成る程な。お腹がすいたんだな。」
「ガウガウ!ガウッガ!」
「もうなに言ってるかわかんねぇよ。帰れ。」
ガラガラと音をたてて窓を閉め、歯磨きをし始めた。窓がドンドンいってるが気にしない。
「さて、今日は仕事だな。10時に南地区工業地帯魚公園に集合らしいが…魚公園てなんだ?ま、もう9時だしいくか。」
今俺が住んでいるのは南地区住宅街。工業地帯までは約30分って所だ。余裕をもって行ける。
「あ、メシ食ってねえ。コンビニでもよるか。」
そう言いマンションから出て、行きしなにあるコンビニに寄った。
「いらっしゃいませー」
なんとも気力の無いいらっしゃいませが聞こえ、店内に入ってすぐさまパンコーナーにいくと、いつも通りにチョコの入ったもちもちのパンを手に取り、会計を済まして工業地帯に向かった。
…………
「おっ早いな勝士。聞いたぜ、昨日ファミレスぶっ壊したらしいな。ははっ、マジ笑えるわ。」
「尾びれ付きすぎだろ。ぶっ壊してねえよ。ちょっと削れただけだ。つか全然笑えねえよ。」
気軽に話しかけてきたのはコウと同じ仕事仲間のジン。こいつも上司らしいが…というより俺以外全員上司なのだが全員にタメ口だ。
「ふーん…ボスは今日来れないらしいから、適当に話済ませるか。ちょうどコウも来たみたいだし。」
「よぉ、二人とも。今日の仕事はただひとつ。ある人物の殺害だ。」
「よっしゃ!やっと来た!」
「本当、人殺すの好きだな、ジンは。」
「あの人間の死ぬ瞬間がサイコーにおもしれえからな!今日は俺に任せろ!」
「待て。相手はこの日本の最重要指名手配犯の君長 誠也だ。ジン一人では危険だ。」
「君長…誠也?東京の4割を破壊した?なんで今頃?」
「なにやらとんでもない計画をたてているらしい。」
「ふーん…つか相手の能力は?」
「State change …状態変化…さらにパイロキネシスだ。」
「状態変化っ…!?しかもパイロキネシスの2つ持ち!?…強いな…。」
状態変化は多分純粋に個体を液体にとかそんなとこだろう。それにプラスパイロキネシスだ。液体を上に移動させて個体にしたりすれば敵を潰せるし、空気とかも使える。言わば最強。
「だから今回は隠密作業だ。」
「まあ相手が最重要指名手配犯じゃねえ…しゃあないか。じゃ、コウは武器の製造よろしく。」
「ああ。今回は相手が相手だ。アンチマテリアルライフルを作る。反動で肩吹っ飛ぶかも知れねえが気を付けてくれ。」
「マジかよ…そんなにマジってことは報酬がやべぇのか?」
「ああ。今俺達が最も必要としているのがアジトだ。そのアジトをくれるんだとよ。」
「それは助かる。今までは離れてていろいろと面倒だったからな。」
「よし、行くぞ。場所は北北地区の学園街だ。」
「はぁっ!?北北地区っつったら金持ちが集まる場所じゃねえか!」
「そこのゴーストタワーにいるらしい。とりあえず行くぞ!もう車が来てる。」
そして俺達は【上】が用意した車に乗り、目的地の北北地区に向かった。
…………
北北地区につき、ゴーストタワーから2キロほど離れた高速道路を今移動している。
「すげぇ!ここ東京のなかでもやっぱ一番綺麗だな!俺がすんでる西西地区とは大違い!」
「ちょ、ジンテンション高い。」
「むぅ…ま、いいか。これからはアジトで生活だからな。」
「相手は最重要指名手配犯だぞ?必ず成功するとは言えない。むしろ成功するほうが確率的に低い。」
「まぁ、大丈夫だろ。こっちには超大型新人の勝士がいる。負けるわけ…伏せろ!」
激しい揺れに、とんでもない轟音が響き、車体が傾く。そしてそのまま転倒し、高速道路の、コンクリートでできレールをぶち破り、下の高速道路に落ちた。上と下の距離があまり長くなかったので、衝撃は大きかったがそこまでだった。
「いってぇ…みんな無事か?」
「俺っちは大丈夫。でもコウは…」
「大丈夫だ。かなり焦ったが、まぁなんとかだな。」
「頭から落ちたから運転手は死んだな。よし、じゃあ車通ったら奪って行くか。」
「ああ…?車全然通んねえけど…整備中か?」
「そのようだ。ここからゴーストタワーまで約1.5キロぐらいだ。とりあえずもう一度上に行くぞ。あそこに整備用のはしごがある。」
「よっしゃ!じゃあ俺っちはダッシュでいくから。」
そう言ってジンはとんでもないスピードで走ってジャンプして上の高速道路に飛び乗った。ここから上までは5メートル程。なのにジャンプで上に行けたのはジンの超能力、身体強化が関係する。ジンのスキルレベルはオーバー。つまり測定不能だ。つまりちょー強い。ジンが言うには「大気圏まで飛べる気がする。」らしい。ホントかウソかは本人しか分からない。
「おい!ジン!…クソっ!勝士、俺達はゴーストタワーから800メートルほど離れた場所まで移動するぞ。」
「りょーかいだ。」
運んでくれた運転手の亡骸を放置し、俺達は目的地へと向かった。
…………
「では勝士、ライフルをつかってゴーストタワーを見てくれ。」
「分かった。」
俺達はゴーストタワーから約800メートルほど離れたマンションの屋上にいる。そこから君長誠也を狙撃するつもりだ。
「おっ…もしかしてアイツか?屋上にいる。それに…はぁっ!?あれ…ボス!?」
「嘘だろっ!?ちょっと待て…いま双眼鏡作るから。」
双眼鏡を作る。それはコウの超能力、クリエイター(創造)があるからこそできる。
クリエイターは作り方を知っているものならなんでも作れる。ただし、材料がいる。
双眼鏡ならプラスチックとガラス。するとどんな形のふでプラスチックでも双眼鏡の形になり、ガラスはレンズになる。
つまり作り方を知っていて材料があれば戦車だって作れるのだ。スキルレベルはS。
今更ながら、スキルレベルはE.D.C,B.A.S.オーバーに分けられる。
「よし、できた。どれどれ…マジかよ…クソっ!どうなってる!何故ボスが敵の君長誠也と話してる!?」
「ん…?ボスがこっちにてを向け…岩っ!?おい!岩投げてきたぞ!しかもボスが!」
「こっちに気付いてるっ…?てかまずあの岩どうにかしろ!」
「ああもう!ぶっ潰せ!」
そう叫んで手を岩に向けると岩が跡形もなく消滅した。
「相変わらずエグいな。その能力。」
「それよりもボスだ。敵と話すどころか攻撃してきたんだ。理由を聞かねえとなぁ!」
そう言ってライフルを置いてマンションから飛び降りた。
「はぁっ!?お前ざけんなぁ!クソっ!どいつもこいつも…もう知らん!」
そうしてコウは拗ねて寝始めた。
…………
「いってぇ…足ピリピリする…」
さっきいたマンションは10階。15メートルを越える高さだ。その一番上から飛び降りても死なない、それどころか骨も折れないのは超能力と一緒にゲットした副産物。普通の状態でスキルレベルBのものが全力で身体強化するぐらいの身体能力がある。
「さぁーて、ボスと話にいきますか。」
その瞬間上から岩やら鉄筋やらが次々に落ちてきた。だが当たらない。全力で走っているからだ。その早さは最高で50メートル1.2秒。当たるわけがない。だが、相手も考えている。俺の100メートル程先に鉄筋を壁みたいに敷き詰めた。だが止まらない。その必要が無いからだ。
「消し飛べ。」
そう言った瞬間目の前にあった鉄筋が全て消えた。もちろん、俺の能力だ。ほんと、便利だな。
「このまま突っ切るぜ!」
もうめんどくさいので能力全開で走りまくった。1分ぐらいで800メートル離れたゴーストタワーについた。
「さぁて…消しとばせ!」
上まで行くのもめんどくさいのでタワーの下から消し飛ばした。
すると上から人影が2つ見えた。ボスと君長誠也だろう。二人は攻撃しないまま地面に着地した。
何故二人が普通に着地したのかはさっしのとおり、能力だ。君長誠也は状態変化とはパイロキネシス
おそらくパイロキネシスでどうにかしたのだろう。
次に、実はボスもパイロキネシスの保持者だ。レベルはオーバー。最高パイロキネシス系の能力ならすべて使える。まさに日本が誇る裏組織のボスといったところだ。ちなみにボスはちっちゃい。身長155cmぐらいだ。ホントに子供みたいだが年齢は19。コウやジンと同じだ。あと、俺は17。
「さて、君が最上勝士君でいいね?」
「ボス、なんで敵と話してた?つかなんで攻撃してきた?」
「ふむ…なるほど。君は私無視していると認識していいんだね?」
「なぁ、ボス。なんでだよ」
「すまないが無視するのを止め「ボス!」……てめぇについてるその耳は飾りかごらぁ!試験なんかもういい!死ね!」
豹変。なんで怒ってるかは分からないが、叫びながらパイロキネシスで鉄筋を投げ付けてきた。とりあえず殺すと言ってきたのでこっちも殺すことにした。
「うっせえ!てめぇが死ね!」
迫ってくる鉄筋全部破壊して君長の方へ走った。
するとパイロキネシスで空中に移動し、なにか語り始めた。
「お前のその破壊能力は対象に意識を向けなければならないということはさっき分かった。ではその意識が追い付かないほどの圧倒的質量、数の暴力を見せてやる!」
「はっ!数の暴力だと?そんなもんお前まとめて消し飛ばしてやる!」
「じゃあこれ全部防いでみろ!」
そう叫び、君長誠也が能力を発動させた。回りにあるビルを状態変化し液体化。それを5メートルに20個ほどに分け、固体化。それを上から落としてきた。この作業をわずか3秒で済ます。さすが、最重要指名手配犯だ。だが、
「その程度の数で俺を封じたつもりなら、その甘い考え捨ててさっさと死んだ方がいいぞ!」
全て破壊し消滅させる。だが、こんな程度で終わるはずもなく、
「では次は100個だ!」
先程と同じように、5メートル程度で100個に分け、次は四方八方からコンクリートの塊を投げ付けてきた。だがこれも
「逃げ場なし、か。…ガアアアアア!!」
咆哮。それは衝撃波のようになり、周りのものを全て破壊していく。君長誠也はコンクリートを何層にもあわせ、30メートルほどの分厚いコンクリートを作り、咆哮が終わるまで耐えた。
「はぁ…はぁ…よし。ん?」
上から風を切る音がした。上を見ると、非情に尖った長さ4メートル、太さ最高2メートルのコンクリートが落ちてきている。これは…避けれない。ミスった…と目を閉じると
「死なせるかぁ!」
バゴンッ!と音をたて、何者かが蹴りでコンクリートを破壊。だが破壊したのは尖った部分から1メートルだけ。
「これならっ!」
一番下から順に破壊していくが、後1メートル程でもう目の前まで来ている。間に合わないと思ったが、俺は一つ忘れていた。俺のピンチを救ってくれる仲間は一人じゃない。
ダァン!と聞こえた瞬間目の前のコンクリートが粉砕された。
「ははっ…ありがてぇ…ほんと、ツンデレだな、コウ。ジンもありがとな。ホントに助かった。」
「なにいってんだ。俺達はチームゼロのメンバー。仲間だろ?それより…」
パチパチと拍手をしながらこちらに歩み寄ってくる君長誠也と途中どこに逃げたのか分からなかったボス。
「いやー、素晴らしい。私の超王道コンボが破られるとは。勝士君の能力は本当に素晴らしい。しかも仲間との連携も取れているし仲間意識がしっかりとある。
試験は合格だ。」
「すまないな、三人とも。騙すつもりは無かったんだが、言ってしまうとやる気が削がれるだろ?」
「そうゆうことかよボス。マジで勝士死にかけたぜ?
」
「いや、俺にはお前たちが絶対にやりとげるという絶対的自信があったからな。なにも手は出さなかったんだ。」
「ふぅ…マジで焦ったけど、こっちに来てこんなスリル味わうの初めてだったわ。結構楽しかったし。で、合格だったら何なんだ?」
「国からの本当の支給と本当の依頼が始まるんだよ。ちなみに私、君長誠也もチームゼロのメンバーになることになったからね。よろしく。」
そう言って君長誠也は俺に近寄ってきて手をさしのべてきた。それに俺も答え、手を握った。
「ああ。まぁ国が決めたんなら、俺はそれに従うだけだ。よろしくな。」
「ジン君もよろしく。」
「おう、よろしくな。」
「よし、挨拶もすんだな。では国から支給された俺達のアジト、ゼダンに向かうぞ。見ておきたいだろう?車も用意してある。」
「マジでぇ!?いくいく!」
ジンがちょーテンション上がってきたがそれん無視して俺達、新生チームゼロは、アジトのゼダンに向かうため車に乗った。
(あれ…?なんか忘れてるような…ま、いいか。)
そして車はゼダンに向け出発した。
……………
先程の戦闘から300メートル離れた場所
「はぁっ、はぁっ。クッソぉ…クソクソクソクソ!なんで俺を置いていくんだよぉぉぉ!」
通行人がビックリしているのを無視してコウは叫び続けた。