サラッと爆弾発言しましたよ?
「リュディヴィーヌ様」
「はい、何かしら、ゴーリュン?」
「来週辺り、私とマーリックが護衛しますから、一緒に近くの森に散歩に行きませんか?」
「ええ、もちろん、喜んで。」
マーリックは、ゴーリュンと一緒に、騎士団や警備部隊、冒険者ギルド、商業ギルドなどに、ご挨拶に行ったそうです。
ジェルヴェール辺境伯閣下となった第一王女と次期騎士団長という女領主夫妻に養子入りした騎士見習いの少年だ、という形で。
それから、このおふたりは、本当の父子並みに仲良しになりまして、一緒に、朝の鍛錬をする姿を、よく見るようになりました。
ゴーリュンいわく、マーリックは、成長期中、伸び代がある為に鍛えるのが楽しいそうです。
いずれは、双剣の使い方も教えるそう。
「あと、今夜から
一緒の部屋になりますね?」
「え、ええ、そうね?」
「宜しくお願いいたしますね?」
「え、ええ、宜しくお願い致しますね。」
そうなんです、今まで、離れた部屋でしたが、今夜から、一緒の寝室になります。
ゴーリュンがいた部屋は、養子のマーリックが使うことになりましたから。
マーリックが養子入りして来て下さいまして、わたくしも、ゴーリュンも、夫婦である自覚が芽生えて来ました。ゴーリュンからの提案で、一緒の寝室になることになりました。
これからは、より一層、ゴーリュンと一緒に、この領地を守っていきたいものですね。
「ゴーリュン、これからは、わたくしのことは、リュディと呼んで下さいな。」
「………えっ!? 良いんですか?」
「ええ、あなたは、大切なお婿様ですから。」
「はい、ありがとうございます、リュディ」
「ふふふ、ありがとうございます」
リュディと呼ぶのは、家族、親族が多いです。
マーリックも、親族ですから、リュディ姫様と呼んでいましたから、わたくしを、リュディと愛称で呼ぶのは、親愛なる家族の証です。
ゴーリュンは、すでに、わたくしの中で大切な存在となっていますから。
少し恥ずかしい気持ちなのですけれど。
「あと、ゴーリュン、そろそろ、敬語をやめても良い頃なんじゃないかしら………?」
「えっ?良いのかい?普通の口調で?」
「だって、すでに、マーリックには、普通の口調なのでしょう?わたくしにも、お願い!」
「ああ、分かったよ、ありがとう、リュディ」
「ふふふ、新鮮で、嬉しいわ!」
さらに、夫婦らしくなるんじゃないかしら?
ゴーリュンは、いつも固いから、夫婦よりも、上司と部下、先輩と後輩みたいでしたから。
第一王女殿下で女領主な妻相手、真面目すぎるゴーリュンは、敬語を使っていたが、本当は、片想いしている妻と、更に仲良くなりたくて、その提案を待っていたのだ。
思ったより早く、お許しが出て、嬉しくなったゴーリュンは、思わず、彼女を抱きしめた。
「ゴ、ゴーリュン………!?」
「嬉しくて。リュディの婿になれて、嬉しいよ。婿として選んでくれて、ありがとう。」
「ゴーリュン………
こちらこそ、わたくしの婿になって下さって、ありがとうございます。」
リュディヴィーヌは、ゴーリュンに
抱きしめられて、驚きました。
家族以外に抱きしめられたのは、初めてです。
こんなに温かいものなのですね。
彼のぬくもりを感じて、ほっとしました。
「ねえ、リュディ」
「はい、なんでしょう?」
「俺は、貴女が好きだよ、リュディ」
「………えっ!?」
ゴーリュンが俺って言いましたか?
なんて新鮮なんでしょう…!
って、そうじゃないわ、リュディヴィーヌ!
サラッと爆弾発言しましたよ?このお方!
驚いて、ゴーリュンを見ましたら、いつもより神秘的に輝く瞳に見惚れてしまいました。
ああ、わたくし、もしかして………
「わ、わたくしも好きです」
「えっ!? リュディ、本当に?」
「え、ええ、今、気付きましたけれど…
あなたのことが、好きですよ………?」
「嬉しいよ!ありがとう、リュディ…!」
先程よりも強く、ぎゅーっと抱きしめられて、ど、どうしたら良いのでしょうか?
政略結婚が普通だと教えられて育てられた第一王女殿下、リュディヴィーヌは、初めての心の中の気持ちに、戸惑ってしまいました。
「恋を知らないわたくしに
恋を教えてくれた方がお婿様だなんて
なんて幸せなんでしょう?」
「リュディ………可愛い………
ねえ、キスをしても良いかな?」
「………ええっ!? く、口付けを…?」
「うん、そう、口付けを、だめかな?」
「ゴ、ゴーリュンなら、良いですよ?」
「ふふふ、ありがとう、リュディ」
より一層、ふたりの夫婦愛が
高まった日になりました。
政略結婚として繋がった二人の縁が、初恋も、夫婦愛も、親子愛も高めていきます。