どんな少年なのですか?
「マーリックは、どんな少年なのですか?」
「彼は王族なのですが、容姿は薄い金の短髪に赤茶色の眼です、わたくしと似ていますから、わたくしを男の子にしたみたいな子です。」
「リュディヴィーヌ様を、男の子に…」
「ええ、一緒にいますと、親族からは、まるで歳の離れた姉弟のようだと言われますね。」
「それは、かなりの、美形な子ですね…!」
「び、美形…!?
そうなのですか?」
「はい、リュディヴィーヌ様の容姿は、まるで、異国から来た美しいお人形のようです。」
「あ、ありがとうございます、ゴーリュン。
可愛い弟のような子が、まさか、義理の息子になるなんて、個人的には嬉しいです。」
その恥ずかしそうな照れた顔も可愛いです。
ふわふわと柔らかい腰まで伸びた美しい金髪に大海原のように煌めいている碧眼。
姉弟のように似ているということは、かなりの美形な少年なのだろう。
「そのマーリックの性格は、どのような?」
「生真面目で、努力家な騎士の子ですよ。
王都立騎士団長は、息子だからといって、特別扱いしないので、鍛えられてはおりません。」
「そうなのですか…?」
「独学、見様見真似で騎士を目指しています。
なので、実父からしたら、息子を、基礎から、教えて頂けると嬉しい、とのことですよ?」
「生真面目で、努力家な………最初は、こちらに来たら、驚くことになるでしょう。」
「あら、驚くのですか?」
「はい、辺境伯領地に、生真面目な騎士見習いはいませんから。緩い感じなのに、それなりに、鍛えられて、強いので。」
「そうなのですね、マーリックの刺激になって、良いかもしれませんね。」
「ええ、確かに、そうですね。お互いに存在が刺激となるでしょう。これもまた学びです。」
「ふふふ、さすが、次期騎士団長ですね。」
「あ、ありがとうございます…!」
「養子の件は、公表しますか?」
「ええ、公表して下さると嬉しいです。
領民へのご挨拶は、マーリックがこちらに来て慣れて来てからですね。お願い致します。」
「はい、承知いたしました。」
この際に、新しい辺境伯閣下である第一王女のリュディヴィーヌ様についても、公表を。
次期騎士団長であるゴーリュンが婿養子としてお支えして行く覚悟であると。
女領主夫妻の子が跡継ぎ、養子のマーリックは騎士団長候補者として育てる、役割分担と。
これから、忙しくなりますね。
「マーリックへの騎士としての指導は、いつもの朝の鍛錬をしている場所で行いますね?」
「ええ、その方が良いですね。養父として、上司として、騎士として、養子となるマーリックを宜しくお願いしますね?ゴーリュン」
「はい、もちろんです、リュディヴィーヌ様」
「リュディヴィーヌ様」
「はい、何でしょうか、ゴーリュン?」
「つ、次に空いている日がありましたら…
お忍びで、街中を散策しませんか?」
「………えっ?」
リュディヴィーヌは、若夫婦らしくないような事務的な話が終わって、帰ろうとしました。
そんな奥さんを、おそるおそる勇気を出して、ゴーリュンが呼び止めました。
「次は、週末なら、空いていますよ。」
「でしたら、その週末の午後から、お忍びらしい格好で、宜しくお願い致します!」
「分かりました。侍女に相談してみます。」
「はい、ありがとうございます!」
「ねえ、マーサ
これは、夢かしら………?」
「リュディヴィーヌ様ったら!
夢じゃないですよ、現実ですよー!」
今回もまた部屋に戻った瞬間、現実か夢なのか疑ってしまうほどだった。
再び、リュディヴィーヌは、後ろで、作業中の侍女のマーサに問いかけた。
どうやら、彼女は、今度、出掛ける時の為に、いろいろと準備をしているらしい。
「あ、そういえば…」
「どうされましたか!?」
「今回は、ゴーリュンと、お忍びなのよね?」
「ええ、お忍びデートですね!」
「えっ? デ、デート………!?」
「はい、もちろん、デートですよ!」
デート………?
これは、デートになるのだろうか?
ああ、そういえば、私達は、完全なる政略結婚とはいえ、結婚1年目の年若い夫婦だ。
確かに、デートになるのかもしれない?
「お忍び用の着る服が無いのだけれど…」
「ご安心下さい! 今回のデート用に、町娘風の白いワンピース、茶髪の鬘などの変装道具は、ご注文しましたから、大丈夫ですよ!」
「そ、そうなの!? 仕事が早いわね?」
「リュディヴィーヌ様のためですよ!」
「ふふふ、ありがとう、マーサ」
「どういたしまして!」




