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辺境伯な女領主は恋を知らない  作者: ゆりあ
大海原から始まる初恋
3/27

その金髪美女さんは、何者なんだい!?

「今、カイラン・へーべ殿は、どちらに?」


「南東の方に、小さな島国がありますでしょう?そちらに行っているようですよ。」


南東の小さな島国、シャンテ王国。


あそこに行くのは、大陸の山を登って、砂漠を通って、嵐もある大海原を渡って………


「陸路も海路も、かなり大変危険な場所ですから誰も行きませんよね?」


「カイラン師匠は、何度か、行っておりますよ。

奥様は、そちらの王国の男爵令嬢ですから。」


「まあ! そうなのですか?冒険者は、思った以上に、かなり自由な気質なのですね。」


「はい、依頼を受けて、異国に旅をしたり、国防強化のために帰国して来たり、自由ですよ。」


「あなたは、冒険者を目指さなかったの?」


「ええ、騎士として、この辺境伯領を守りたいと思いまして、鍛えてもらいました。自由奔放の割に、スパルタ修行なので大変でしたが。」


「まあ!そうなのですか?頑張りましたね。」


「はい、ありがとうございます。」


ちょっとは、長く、話せたのかしら?


リュディヴィーヌは、ゴーリュンと、少しでも違和感なく話せて、ホッとした。


やはり、夫と、普通に話せるくらいでないと、さすがに、そろそろ不味いと思っていたのだ。


もしも、あまり話せていないことを、お父様やお兄様達が知ったら叱られてしまいますね。


妹と違って、不器用な子のままだな、と。






「ゴーリュン」


「………えっ!? 

ど、どうして、こちらに…!?」


この辺境伯領立騎士団の内部にある訓練所。


細身のゴーリュン以外は、むさ苦しいほどに、筋肉質な大柄な騎士の男が集まるような場所に侍女と共に、金髪碧眼の美女が現れた。


こんなむさ苦しい場所に美女が来るということだけでも驚くことなのに、その美女は、我らが次期騎士団長、ゴーリュンに声を掛けた。


その場は、ざわざわと騒然となった。





「お、おい、次期騎士団長様!

その金髪美女さんは、何者なんだい!?」


「ええと……… こちらは、新しい女領主の

ジェルヴェール辺境伯閣下ですよ。」


「「「「辺境伯閣下………!?」」」」


まさか、こちらの金髪美女が、領主様!?


先代領主ダーシェン様は、ご隠居されていて、別荘地に住んでいる。そのために、養子が次期領主となったらしいと聞いていた。


しかし、この1年間、あまりにも忙しいためという理由で、全く、姿さえ見なかったが………


まさか、こんな金髪碧眼のお嬢様だとは。


「皆様方、お初にお目にかかります。いきなりお邪魔してしまいまして、申し訳ありません。

ジェルヴェール辺境伯家の当主を受け継ぐ為に領主になりましたリュディヴィーヌですわ。」


「リュディヴィーヌ様………

って、もしかして、第一王女殿下ですか!?」


「ええ、はい、確かに、そうでございます。」


「「「「第一王女殿下………!?」」」」


王家には、お二人のお姫様がいるらしい。


才女だと知られている第一王女殿下に、可愛いらしくて無邪気な末っ子の第二王女殿下。


姉妹は、どちらのお方も、雲の上のお姫様だ。


なるほど、お姫様だから、彼女は、騎士団にも全く顔を出さずにいたのかと騎士団の者達は、心の中で、納得してしまった。


しかし、なぜ、今になって………?


何かの心境の変化が?


「わたくしは、こちらの

ゴーリュンの妻でもあります。」


「は、はい! 

実は、そうなんです!」


「「「「ええええっ!?

 ゴーリュン様の!?」」」」


騎士団の者は、次期騎士団長様、ゴーリュンが結婚したらしい、ということは聞いていた。


それはそれは、ガチガチの政略結婚である為、騎士団の者に紹介しにくいお相手なのだと…


まさか、王女殿下で、辺境伯閣下な女領主様に婿入りしていたなんて…


もはや、騎士の男達は、明かされるたくさんの新情報に驚きすぎて、どうしたら良いのか…





「新しき辺境伯閣下、リュディヴィーヌ様

お初にお目にかかります」


「ええ、お初にお目にかかります、騎士殿。

もしかして、あなたが騎士団長でしょうか?」


「いかにも、私は、現騎士団長を務めています、ドーシャン男爵ベイルーディと申します。」


「ええ、宜しくお願い致します、騎士団長」


困惑して、騒然としている騎士団の者の中で、唯一、冷静に見ていた男が、ご挨拶をした。


厳つくて、怖そうなドーシャン男爵閣下だ。


「今日は、何ゆえに、こちらに…?」


「この辺境伯領立騎士団の皆様にご挨拶が遅れてしまいましたので、ご挨拶に伺いました。」


「それはそれは、誠に、有難うございます。」


リュディヴィーヌ様は、確かに、王家の血筋であることは、確かなのだろう。


王族特有の金髪碧眼。


その姿は、王都に行った時に、遠目で垣間見ることが出来た国王陛下、王太子殿下、公爵閣下ご夫妻、宰相陛下夫妻によく似ておられる。


国王陛下の王妃は、侯爵家出身の、茶髪碧眼であったはずだ。あえて、王族と血筋が遠い者が王妃として、選ばれるらしい。


が、なぜか分からないが、王族には金髪碧眼が生まれやすい体質、らしいから。

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