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「お前は追放だ!」と近衛を解雇された男爵令嬢、生まれ故郷の辺境都市にて最強衛兵となって活躍する 〜赤虎姫と呼ばれた最強の人形使いはTS転生貴族令嬢!?〜   作者: 自転車和尚
第二章 帝国戦勝式典襲撃

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第九二話 久しぶりの模擬戦

『おっしゃ、いつぞやは決着がつかなかったからな! 今日は一撃で決めたいな!』


「……脳筋だなあ……」

 ハインケス工房の中にある試験場にて、私が乗り換えた人形騎士(ナイトドール)ヴィギルス零号機(ヌルス)の前には、やる気満々で両腕をぐるぐると回しているポルタリウスが立っている。

 衛兵隊の同僚でもあるタラス・ノイラートが乗るそれは、先ほどまで私が動かしていた時とは少し違う雰囲気を纏っており、よく学園で教師から教えられた『人形騎士は人形使い(ドールマスター)の性格を写す』という言葉をよく表しているな、と感じる。

 やはり女性が駆る人形騎士は動きがしなやかになるものだし、粗野な男性が動かせば無骨な動きを見せるようになるのは、前世でも乗り物だと同じようなものだと思う。

『壊すと困るんだがね……なので模擬戦と言ってもある程度ルールを決めて欲しいんだが』


『納品前とか言ってたな……安心してくれ伯爵、どちらかの武器が当たったらそこでおしまいにするし、危ないと思ったら声をかけろ』


「ま、それで構わないよ」


『手加減して当てるんだぞ? わかってるな二人とも、納品前なんだからな?』

 魔道具から聞こえるジーモンの声が不安で仕方ないという感じだが、まあ仕方ないよな……ちなみに模擬戦ということで、私は刃を潰した長剣(ロングソード)円形盾(ラウンドシールド)を、タラスは珍しく大きな戦鎚(ウォーハンマー)を抱えている。

 私の持つ円形盾はそのまま丸い形をした盾で、以前使っていた葉形盾(カイトシールド)よりも防御できるスペースが狭いが、その分軽量でバランスが良い性能を持っている。

 材質はこの世界に自生している加工すると非常に硬質化する木材を使っており、一時期この木材を使った人形騎士の装甲なんかも検討されたことがあったらしい。

 まあ……木材なんで火に弱く、試作された人形騎士が火矢を射かけられて燃えながら走り回るなんて光景もあったらしいが。

 対してタラスの持つ戦鎚は両手で持って相手へと叩きつける打撃武器だ……重装歩兵相手に振り回す人もいるけど、基本的に人形騎士サイズのものはかなり重く振り回すのはコツがいる武器である。

 私は一度使ってみたけど、振り回した戦鎚に引っ張られてバランスを崩すなんてこともあって、使い所が難しいなと思ったことがある。

「珍しい武器使うな、斧じゃなくていいのかい?」


『油断していると食っちまうぞ、雌虎』


「ったく……」

 私の操作に同調するようにヴィギルスは手に持った長剣をくるりと回す……ポルタリウスよりもはっきりとした感触が伝わり、やはり慣れた機体の方がいいなと思う。

 お互いが武器を眼前に立てるような一礼を見せてから、武器を構える……モニターを通じて見るポルタリウスは乗っている時よりも鈍重そうな印象のある外見をしており、迫力を感じる。

 ジリジリとお互いの出方を見つつ、私は左回りに機体を移動させていくが、それに相対するようにタラスは移動を始める。

 間合いを変えずにお互いの立ち位置が入れ替わろうとした瞬間、タラスが裂帛の気合いと共に武器を振りかぶって前に出た。

『まずは一撃……ッ! オラアアアアッ!!』


『うおっ……早い?!』


「驚くタイミングは早すぎるよ……ッ!」

 凄まじい速度で振り下ろされる戦鎚を後ろに軽く飛んで一撃を交わした私は、そのまま長剣を突き出す……下手な人形使いだとその刺突を避けることもできないだろうが、さすがは北の亡霊(ラーヴァ)

 一撃を放った後にもかかわらず、軽い音と共に地面を蹴ると横に軽く飛んでその突きをひらりと躱わす……この程度じゃ当てられないか。

 私はそのままタラスに向かって前進して距離を詰めると、着地寸前を狙って左手に持った盾を叩きつける……ガンッ!! という鈍い音と共に左手に衝撃が伝わる。

 だが、防御姿勢をとったポルタリウスはその一撃を戦鎚の柄を使って受け止める……ギリリとお互いが押し合う形になるが、じわじわとヴィギルスが力負けしていく。

『……パワーが高いなこいつ、力の核(ウィス・コア)が少し大きいのか?』


「ジーモンのおっさん、どうなんだい?」


『戦闘しながら話を振るなよ……えーと、ポルタリウスの力の核は最新型のものらしいぞ資料によると』


「だってよ」


『ほーん……ならこのパワーも納得できるな、これヴィギルスに移植できないのか?』

 力比べをしながら呑気に魔道具で質問をしてくる私たちに少し呆れたようだが、ジーモンは資料を見ながらそう答える。

 力の核は人形騎士の心臓部にあたり、前世の自動車でいうところのエンジンにあたる部分だが、この規格は大まかに三種類に分かれている。

 ざっくりといえば大中小の三つであり、それぞれ大が騎士(パラティヌス)級、中が戦士(ベッラトール)級、小が兵士(ミーレース)級に使用されると考えれば良い。

 例外として小を並列で使用する王国軍のラヴァロードみたいな機体もあるが、そういうのは本当に一握りで大抵はこの規格に合わせられている。

 ただ各国の建造技術に差異があるため、構造や性能には違いが大きく王国製力の核を帝国の人形騎士に使おうとしても上手く動作しないケースがあり、その点では国ごとの独自性が保たれているらしい。

「どうだろうね……バランスが崩れそうな気がするけど」


『うーん……勿体ない、少し手応えが鈍いな』


「あ、それ気になるでしょ?」


『ワンテンポ遅い、それを理解して使えば問題ないだろうが……まあ辺境守備師団(コルホス・リミティス)の連中ならこれでいいのか』

 力比べを諦め私は少し力を抜いて相手のバランスを崩すような動きを誘発させるが、そのタイミングを読んでいたのかタラスは猛然と武器を振り抜く。

 ま、これで倒れるほどやわじゃないか……私は機体を左右に振りながら相手の武器を紙一重でかわすと、反撃を繰りだすが、その攻撃はお互いの武器が衝突することで一度ぴたりと止まった。

 そして一呼吸おいた私たちは、双方の性能を確認するようにさまざまな動作を繰り出していく……ヴィギルスの方が機動性は上だが、ポルタリウスは多少鈍さはあるが現代の人形騎士としては十分な性能を有しているのがわかる。

 装甲の厚みの分だけ腕が劣る人形使いでも扱いやすいだろうし、私やタラスほどの腕がなくても補助があれば十分人形使いとして戦力になるということか。

 ジーモンたち工房の職人たちはあまりに激しい攻防を前に驚きで声も出なかったようだが、我に返ったのか魔道具から声が響いた。

『日常会話しながら戦うなよ……そろそろ止めてもらわないとどこか壊れそうだ』


「ん? ああ……タラスどうだ?」


『不完全燃焼だがな……まあ壊すのも勿体無いか』


『あれだけの速度で武器を叩きつけあって無傷なのが怖いぞ……』

 お互いが再び一礼をした後、駐機場所へとゆっくりと移動しそこで膝をつく……私は帝国印(エンパイア)を取り出し火をつけて軽く一息つく。

 ハッチを開けて外に出ると、各部のチェックのためにこちらに向かって職人が数人走ってくるのが見えた……傷はつけないはずだが、それでも激しい戦闘の後には各部の歪みなどが出る可能性もあるから整備は入念にしないとダメなのだ。

 同じように膝をつくポルタリウスのハッチが開くと、中から少し不満そうな顔をしたタラスが顔を覗かせるが、私の視線に気がつくとニカっと笑ってから軽く何かを飲むような仕草を見せる。

 ああ、軽く飲みに行こうってことか……私が了承を示す合図を送ると彼は満足げに頷くと魔道具に向かって話しかけた。


『おいマルツィオにパトリシア様、喉が渇いたからこの後一杯だけ付き合ってくれ、赤虎姫(ティグレス)も来るってよ』

_(:3 」∠)_ 仕事の後のいっぱい


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