episode5.守護者
地面に転がった田中りなに男性が乗りかかろうとしたとき、その人――伊吹碧が男性を蹴り飛ばしつつ華麗に私を抱き上げる。
「大丈夫…?りなちゃん」
そう言って伊吹くんは私に微笑みかける。
「う、うん…ありがとう伊吹くん」
「いいよ…ちょっとだけ待っててね」
優しく私をおろし、伊吹くんは男性の方を見る。男性はもったりと起き上がり、伊吹くんを睨む。
(大丈夫かな……)
伊吹くんは一瞬にして男性に飛び寄り、蹴り飛ばす。
「ぁあ゛……!?」
男性は獣のようなうめき声を上げながら、地面に倒れ込む。すぐに飛び起きて人とは思えないほど速く走り去った。
「行っちゃったね。でもひとまずもう大丈夫かな、りなちゃ……ん?」
伊吹碧は言葉の途中で田中りなの身に起きる異変に気づく。
「君は誰なのかな…?」
「流石ストーカー、気色が悪い。」
田中りなは冷たくそう言い放つ。
「私はただりなちゃんを…!!」
「いいからそういうの……」
田中りなは低く蹴り払う。伊吹碧はそれを避けようとして、尻餅をつく。りなはゆっくり歩み寄り、見下ろしながら警告する。
「これ以上この子に歪んだ感情を押し付けるのなら、私は容赦しない。」
「お、お前は誰なんだ…!」
「あなたが今発していいのは謝罪と反省の言葉だけ」
「ッ……」
才子が一歩を踏み出しりなに問う。
「りなちゃん、今の君は一体…?」
「そう…私は田中りなではない」
「りなちゃんを返せ…!!」
(感情的で動きが見え見え……避けられる)
伊吹碧は田中りなの身体に殴りかかろうとしたが、直前で躊躇し、静止する。
「この子に危害を加えないうちは見逃しておいてあげる…」
そう言うと田中りな?は目を瞑った。
田中りなは目を開き、見回す。
(今のは…?曖昧な夢のような…体が勝手に動いていて)
「りなちゃん…なの?」
「えっと……」
りなは碧の言葉にただ困惑していた。
??の研究メモ
それは行方不明体のひとつの副作用によるものではないかという仮説に辿り着いた。




