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違和感の正体

あやめから感じる違和感。

前回聞こえていた目的と、愛上の目的とのズレ。

それらを抱え込んだまま進むのは俺の中で不信を生みかねない。

幸いというか、今目の前に本人が居て。同行の誘いまで受けている。


「なあ…」 


と、声をかけようとするが言葉が続かない。

何と言うべきなのだろうか…と考えてしまう。

『お前、何か変じゃないか?』

『雰囲気変わった?』

『何かあったなら話してくれないか』

等々。なんかそれっぽい台詞は浮かぶが、仮に何かあるとしてこれで話してくれるなら苦労はしないだろう。


「ん、どうしたの?私に何かあった?」


あやめも不思議そうな顔でこちらに問いかけてくる。

…が、やはり違和感がある。

その正体には気付いているが、それだけで何か言えるものなのだろうか。


「…ああ。あやめに、聞きたいことがある。」


だが、ここで考えていても仕方がない。

言うべき時は今を除いて他にないだろう。


「なに、かな。」


「気を悪くしたらすまない。だけど、偽らずに聞かせて欲しい。間違っていたらそうはっきり言ってくれ。」


何を言うかは決めた。覚悟もしている。


「もう、もったいぶって…どうしたの?」


「なあ………お前、誰だ?」


言ってしまった。

そうだろう、そうだろうとは思っているんだ。

あやめは何があっても明るく話してくるし、久々だからと言って奥手になったりしないだろう。

それに、一人称は『あたし』だ。『私』じゃない。

不審な点はいくつもあったが、確証は得られなかった。ならば聞くしかない。


「誰って…あやめだよ?猫宮あやめ。ほら、見た目も中身もこのとーり!」


くるっと回って全身を見せてくる。

確かに見た目はあやめそのものだ。声も、形も、服装も。


「なら…俺と最初に出会ったのは、いつだ?」


「そんなの、あの街で道案内した時に決まってんじゃん!何言ってんの?」


…ああ、やっぱりそうなんだ。


「……改めて聞く。お前、誰だ?」


俺とあやめが初めて出会ったのはもっと昔。

俺が子供の頃だったと前に聞いた。

その記憶をあやめが忘れるはずがない。俺のために全てを切り取ったあの人が。


「…はー。ダメか。」


ため息をついて、あやめのような誰かが話し始める。


「お察しの通り。あやめだけど、私はあやめじゃない。猫宮あやめは死んでるよ。」


こちらに近づき、デコピンをかましてくる。

正直痛いがそれどころではない。


「なら、お前は誰なんだ」


「だーかーらー。猫宮あやめなんだって。この世界の、ね。」


「それは…つまり…」


「言うまでもないでしょ。愛上も皆も、つらら以外は全員全部知ってる。猫宮あやめは記憶を切り取った。そこまではホント。でもそこから先、自分をこの世界線まで残す余力は無かった。貴方を含め、皆をこの世界に繋ぐために命を捨てたの。」


…だが、それならトドメを刺したのはリズ達になる。元から利害が一致している仲間だったはずならそこまでしなくても良いだろうに


「前の猫宮あやめは貴方のためだけに世界を救おうとしてた。正確には、貴方を救おうとしていた。」


俺の疑問を問う間も無く話が進む


「猫宮あやめは貴方を、文字通り『どんな手を使ってでも』助けようとしてたの。そして、それは叶わなかった。その果てが自分の記憶を切り取って後世に残すって悪あがきになったの。」


「悪あがき…?」


「そう。悪あがき。1人で成し得ないと分かっていたことに挑み続けて、ダメだったから無かったことにしようとした。それでも自分の心を捨てきれずに未練を残してしまった。これを悪あがきと言わずに何と言えばいいの?」


「それは断じて違う!」


「まだあるのよ?私が最初貴方に話しかける時に何故元のままのフリをしたと思ってるの?」


「俺に…あやめが生きていると思わせる為だろう」


「そう。何でそんなことをしたか…単純よね。そのほうが貴方を仲間に引き入れられるから、以外にない。結局のところ利用されてるだけ。それなのに私の中に無理やり入れられた記憶は『会えてよかった』『無事でよかった』『一目見れるだけでも嬉しい』って叫ぶのよ?」


「…………それで、なんで」


「貴方が望んでるのは私じゃない。『あたし』だったから、って言えば伝わるかしら?実際驚いた。初めて見る顔だし人柄も知らないのに顔を見た瞬間に恋してるみたいな気持ちになったんだから。愛してると言っても差し支えなかった。それでもそれは私じゃない。こんな気持ち、貴方には分からないでしょうけどね。」


「皆知ってるって言ったよな。誰も…何も言わなかったのか」


「色々言われたわ。辛ければその記憶は『飛ばす』事もできる。この戦いに無理に参加する必要はない。『壁』を作って認識できなくする事も、『食べ』切って跡形もなくしてしまうことも出来るってね」


全員の能力で何かしらの対処は提案されていたようだった。だが…


「でも、私は断った。これはもう、この記憶はもう私のものだから。無くすなんてあり得ない。私は、例えこの記憶が元々は私のものではないとしても自分の物として抱えて生きていくことを決めてる。それに、この世界が消えるなんて聞いて何もしないなんてあり得なかった。」


「…わかった。偽らずに答えてくれてありがとう」


「一回前の『あたし』は、自分を犠牲にしてでもお前を救おうとしてた。なのに当の本人がこんなヘタレだと流石に同情するよ。」


ぽい、と何かが投げられる。


「…ナイフ、か」


折り畳まれた鋭利なナイフ。

あやめが使っていたものにそっくりだった。


「いっそ街中でそのまま殺してやろうかとも考えてたさ。どうせ私には出来ないし、抵抗されたら即負ける。何をやっても無駄だと知ってるけどね。」


偽らずに答えている、ということだろう。

何も言わずに聞いているのが正しいのかどうか分からない。

分からない事だらけで頭がどうにかなりそうだ


「私はお前が大っ嫌いだよ。過去の私がお前なんぞに心を動かされてたと思うと反吐が出るくらいにはね。一瞬でも過去の記憶に流されてた自分も、だけど。」


気に入らないなら出ていくなり、追い出すなり好きにしろ…とだけ言い残して、『猫宮あやめ』は去って行ってしまう。


手元に残されたナイフを手に、また俺は何も出来なかった。

俺は別に夜上をいじめたいわけじゃありません。

あやめちゃんが勝手に動いたんです。オレワルクナイモン。

それはさておき、彼女は本人だけど別人なんです。

面倒くさい設定にしちゃったなと軽く後悔してますが、彼女出してると大抵なんでもできちゃうんでインフレ防止の禁止カードですね。大抵皆禁止カード級の能力なんですがまあそれはそれ。

許してちょ。

ってなわけでまた次回〜

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