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新たな世界の目覚めと再開

長くて、永い。

永遠にも思える時が流れた気がした。

今、どれだけの時が流れたのか確認する術すらない。

誰かと話すことすら許されない。

一日なのか。百日なのか。百年なのか。それとも数分か。

何一つわからないまま、無が過ぎていく。

ただ一つ、大事な人を助け出すという目的のために、時間の流れに負けずに自分を残す。

そうしてどれだけの時が経ったのか。

俺には全く分からない。

そういえば、他の皆も居たはずだった。

彼らはどうなったんだろう。

彼ら…って、誰だっけ

大事な人…って…誰だったっけ




ふと気がつくと、見慣れない城にいた。


「俺は…」


辺りを見渡してみるが、見覚えがあるような。ないような。

長い時間が経ってるような変な感覚がする


辺りをよく見て、歩いてみる。


誰か居ないか、何か変なところはないか

今、痛む頭は何を訴えているのか


この喪失感は何なのか


とても、大事なことを。

また、忘れそうになっている。



階段を降りて、その先にあるのはあまりにも大きな氷の塊。


「…なんだ、これ」


いや、俺はこれを知っている。

忘れてはいけない(つらら)を知っている!


「そうだ、俺は…!」


忘れそうになっていた。

あまりに長い時の中で、また置いていきそうになっていた。


氷に触れ、その感触を確かめる。

まだ冷たく、硬く、そして中に居るつららはあの時のままだ。


「やっとお目覚めですのね。重役出勤ですこと」


聞こえてくるのは愛上の声だ。


「また、ずいぶん待たせたんだよな」


「ほんの数千年とはいえ、退屈すぎて死ぬかと思いましたわ。何度も体験するものではありませんわね」


軽く言ってくれるもんだ。

そんなの普通は耐えられないってのに


「そういえば、なんでそこまでしてこの世界を救おうとしてるんだ?何度も繰り返してまで…ってのは普通の覚悟じゃ無理だろ」


「…まあ、それはいつか。話す機会があれば話しますわ。今大事なのはそれではありませんから。」


「お、ヒーローのお目覚めだな」


声をかけてくるのはリズ。なんだヒーローって。


「なんか俺より先に状況把握してる奴が多いみたいだな…」


「もう全員揃ってる。ちゃんと記憶も持ったままに、な。」


つまり俺が最後ということだ。なんというか、ここに至るまでの記憶がない分あの時の記憶が鮮明な感じだ。

身体は普通に動かせるし、声も同じ。姿も同じなのに自分ではないような奇妙な違和感を感じる。


「さて、ではまずやることがありますわね!」


愛上が奥の部屋に駆けていく。


「何する気だよこんな時に…」


変なことする気じゃないだろうな、と言おうとした時だった。

後ろから声が聞こえる。


「痛った……なにこれ、なにがあったの…」


つららの、声だった。

反射的にそちらを振り向くと、確かにそこに彼女は居る。

あの、つららを閉じ込めていた氷は跡形も無く消え去ってしまっていた。


「つらら!?大丈夫なのか!?」


「氷河!?どうしたの血相変えて……って、なんか違う…?」


頬を引っ張り、身体を叩かれる。


「なんか違うけど…氷河っぽい。ホントに氷河?」


「あ、ああ。というか、何があったのか覚えてるか?」


「あー、うん。大体思い出し始めてる。よくわかんないけど氷河の氷に閉じ込められたのは思い出したよ?」


嫌味ったらしく言ってくるが、その口ぶりに非難や弾糾はない。


「本当に、すまなかった。自分でもなんでああなったか分からなかったんだ。正直今でも分かってないけど…」


「ま、望んでやるとは思えないしいずれちゃんと制御してくれればいいや!で、今どんな状況?」


「…話せば長くなるんだけど」


さてどこから話したものか。と思案に耽ろうとした瞬間につららが割って入ってくる。


「あ、待って。やっぱいいや。考えてみる。あの時あれだけやりあってたリズがここでこうして普通にしてるってことは何かしらの和解をしてるし、さっき軽く聞こえた女の人の声もあるし……」


「なんかほんのちょっとの間に状況が変わりすぎてませんこと!?」


つららが悩み始めたところで愛上が絶叫と共に帰ってきた。


「あ、そうそうこの声。誰?」


「え、ええと…私、愛上・ルチル・景斗と申します。話せば長くなるのですがともかく、協力して頂くことになりましたの!」


「ほんとにざっくりとしか説明しないんだけどこの子。」


さしものつららもこの説明では伝わらなかったようだ。残念。


「…もう!せっかくのサプライズも台無しですわ!とにかく、いらっしゃって!!」


ドアの方に向かって叫ぶ愛上。なんだサプライズって。パーティーじゃあるまいし。



……


……?


なにもない。音一つしない。


「なーーーにをやってますの!ほら、ご挨拶ですわよ!!」


ドアの奥から愛上が背中を押してくる。

金色の髪と翡翠のような瞳。

よく知らない女性だけど、とても可愛らしく、懐かしく感じる。


「えーっと…あのぉ…」


バツが悪そうな表情で俺とつららの元にそそくさと歩み寄ってくるその姿に一切の敵意は感じない。


「やっぱダメだよあんな別れ方しといて…でもずっと他人っぽくするのも無理だしどうしようもないけどこうして機会を作ってもらってるし時間もないしでもなんて言えばいいのか分かんないし…あー、もー、うん。ちゃんとします。真面目に行こう。うん。」


1人でなにかブツブツ言っているが声が小さくてよく聞こえない。

つららは何かを察したような表情で笑いを堪えてるように見える。


「氷ちゃん!!!!」


唐突な大声、そしていきなりのあだ名呼び!


「ひょうちゃん!?」


でも、そんな呼ばれ方をするのは初めて……

ではない気がする。


「こちら!お受け取り下さい!!!」


左足で力強く踏み込み、渡されるのは…否。放たれるのはなんとも綺麗な右ストレート。なんでや。


「ぐふっ…」


鳩尾にクリーンヒット。なんで…?


「…はっ。私は何を…」


いや、何をじゃないだろ…右ストレートだよ。

その瞬間だった。

頭の中に流れ込む大量の記憶。

あまりにも多すぎる情報に混乱するが、全て目の前にいる彼女に関するものだとわかる。

そしてこの記憶は俺のものだ。間違いなくそうだ、といえる。


「……あやめ。だよな」


「…………ひゃい。」


いつもの元気は何処へやら。俯きながらか細い声で返事をしてくる。


「色々言いたいことはあるけどとりあえず一つでいいから聞かせてくれ」


「………」


ついに返事をせずにコクコクと頷いてくる。


「殴る必要…あった?」


「……!」


ブンブン。なんて高速で横に頭を振るんだ。酔うぞ。


「はー、まあいいや。めっちゃ痛かったけどあやめは痛いなんてもんじゃなかったし」


「私はいいもの見れたからとりあえずいいかな!」


つららは俺が殴られる様を『いいもの』と表現するのか…?


「とりあえず、おかえり」


「えと…はい。ただいまです。」


顔を真っ赤にしたあやめの返事が返ってくる。

他の皆ももう居るとのことだし、本当の意味で、全員で立ち向かうことができる。


きっと、この世界を救う手立ても見つかるし、上手くいく。

そう思うには、俺にとって十分すぎる面々だ。

第二部です。どう終わるかは決まってます。変えません。多分、変えません。

まーーーーーーじで悩みました。主人公変えるか。

とりあえずこのまま行きます。帰って来い夜上氷河。

んでもって最近猫宮あやめちゃんも活動が見えなくて悲しみがあったりします。うーむ。


入れ替わりが激しい時代ですが…皆消えることはないんだ。全然動いてない俺でも消失はしないんだしさ。ほら…ね?


更新は相変わらず遅いですが生暖かい目で見て頂ければ幸いです!では、今作もよろしくお願いします!

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