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マリーよ、竜に乗れ!~無能王女は竜人国で覚醒しました~  作者: 流あきら


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18 エルフの里

「考え事かの」


 竜魔術師のハネスが言う。

 いつもの王宮の一室だった。


「はい。まぁ……」


 マリーは口ごもる。

 今日も瞑想の修行だった。

 

 色、自然、動物、炎、水、風、土、特定のシンボルを思い浮かべる方法。

 目の前の炎に意識を集中させる方法。

 自分の心の中の感情を観察する方法。

 様々なものがある。

 

 ただ宰相の息子の一件以来、竜人国(ドラゴニア)の魔術師達もマリーの修行に参加するようになった。

 やはり竜の巫女の力は、魔術師達の魔力を上昇させるらしい。


 この所多くなっているという、竜の姿になったまま戻らなくなる竜化現象。

 魔術師達の中にはそうったものに対処する者達もいる。

 

 マリーとの修行に参加してから、以前よりはるかに効果的に竜化を治療できるようだ。 

 竜の姿に竜変異(メタモルフォーゼ)できる者は、ほぼ王都にいる。

 だがたまに地方へ住んでいるものもいるという。


 相変わらずマリーは、魔法のように、炎を巻き起こしたり、水柱を出現させたりはできない。

 竜の巫女はそういうものとは違うのだろう。


 マリーは目を閉じながら考える。


 ユリアが姿を消してから、十日程たっていた。

 その間、何も連絡が無い。

 担任の教官に訊ねても、ユリアはしばらく学校を休むとしか教えてくれなかった。


 ユリアは一体どうしたのだろう?

 なぜ自分たちに何も話してくれなかったのだろう?


 短い期間だが、それなりに心の交流はあったのではないか……とマリーは思っている。

 それとも学校の友達なんてそういうものなのだろうか?

 ユリアは無理に自分たちに付き合ってくれたのだろうか?


「今日はこれで終わりにしようかの」

「……すいません」

「まぁこういう日もある」


 その後は、アスランたちと一緒にお茶をすることになっていた。


「ふむ。どれ、わしも行こうかの」

 ハネスはそう言って、珍しくついてきた。

 


「やぁ、マリー」

「マリーお姉ちゃん」


 今日も王家の一家は勢ぞろいだ。

 

「この頃北のシレジアで怪しい動きがあってな」

 王が言う。


「シレジアというと、長耳族(エルフ)が住むところですか?」

 マリーは思い出す。

 ユリアの出身地だった。


「そうだ。元々古代都市があったと言われる所でな。今は毒沼(アイトモズル)に覆われ、厳しい土地だが、珍しい鉱物や植物がとれるというので、エルフが住み着いている」

 王は何か考え込む様子だった。


「何年かに一回、瘴気が強くなり魔物が大発生するが、そのことかな王よ?」

「さようでございます、ハネス様。ですが去年大発生があったばかり。今年もまた魔の気が強くなるというのは……第二騎士団の一部を派遣して様子を探らせておりますが」


 そこまで話した時だった。

 ノックの音がする。


「おくつろぎの所、失礼いたします」

 遠慮がちな声が扉の外で響く。


「何だ?入れ」

 王の言葉に、騎士らしき人物が部屋へ入ってくる。


「たった今連絡が入りました。シレジアへ派遣しておりました第二騎士団の一個中隊が全滅したとの由にございます」


「何だと!」

 王やアスランの顔に驚きが広がる。

 マリーはそっと、周りを見回す。

 ハネス以外は、皆一様に驚愕と不安が混じりあったような表情だった。


「これは捨て置けんな。わかった。おって指示を出す。ご苦労だった」


 王の返答に、騎士は一礼すると部屋を出ていく。


「お父さん、大変な事あったの?」

 ルドミラの言葉に、王は少し考え込む。


「ヨハンナ、ルドミラと一緒に席を外してくれないか」


「ハインツ陛下、私はどういたしましょう?」

「マリー殿はここにいてくれ」


「えー、ルドミラもお話ききたい」

「ルドミラちゃん、あとでお姉ちゃんと遊ぼうね」

「ほんと?絶対だよ」

 マリーの言葉に、しぶしぶ納得したのか、ルドミラは王妃と一緒に部屋を出ていった。


 しばしの沈黙の後、口を開いたのはアスランだった。


「父さん、僕が行きます」

「おい、待て。お前がそんな……」

「僕はもう十五歳です。光竜祭の儀式はまだですが、竜の姿になる事もできる」


「ふむ。それも一つの手かもしれんの」

 ハネスがぽつりとつぶやいた。


「ハネス様!」

「シレジアから闇の気を感じる」

 ハネスは目を閉じたまま答えた。

 一同は思わず黙りこくる。


「何かが起ころうとしているのかもしれん。闇竜教団の動きが活発になっている事。シレジアの事。そしてマリーのような存在があらわれた事……」


「私も行きたいです!」

 反射的にマリーは叫んでいた。

 特に深い考えがあったわけではない。

 ただユリアの事が頭にあった。


「そうじゃの。今回はマリーの力が必要になるかもしれん」

「しかしハネス様。まだマリーは完全には竜の巫女の力に目覚めては……」

「今回の事が、きっかけになる事もあろうよ、アスラン」


「ふむ……」

 王はしばし考え込む様子だった。

 しばらくして、何かを決意したように口を開く。


「ハネス様がそう言われるなら。充分な人数と装備があれば、めったな事もおこりますまい」

「では父さん!」

「確かにお前も十五歳。わしが初陣の歳と同じだ。そろそろ時期かもしれん」


「もとより、少し前にシレジアに怪しい気配があると聞いた時から準備はしておろう?」

「ハネス様にはかなりませんな」


 という事で、マリアとアスランはシレジアに向かう事になった。

 もちろん、竜人国の騎士や魔術師団と一緒だ。


「あの、凄く個人的な事なんですが……」

 マリーはユリアの事を話す。


「ふむ。大学の名簿がある。身元がはっきりしているのだから、すぐわかるさ」

 王はユリアの居場所を調べる事を約束した。


 そしてマリーは一旦、大学の寮へと帰る事になった。

 しばらくは学校を休まなければならない。

 一応は、王家の方から事情は説明してくれるとの事だった。


「明日ですか!」

 マリーから話を聞いた、侍女のアリスは驚く。


「でも、ユリアちゃんのことがわかるかもしれないのよね?」

 ミラミラは少し考えながら言う。


 マリーは、詳しい事情は話さなかった。

 ただ王家に頼まれて、シレジアに行くとだけ言った。


「いってらっしゃいマリーちゃん。講義のノートとっておいてあげる」

「ありがと。助かるわ」


「では、私は準備を」

 アリスはマリーの支度を手伝う。

 といっても、着替えとちょっとした小物を用意するだけだった。


 こうしてマリーは、シレジアに行くことになった。

 そこでは何が待ち受けているのか?

 騎士団が全滅した理由は何だろう?

 そして、ユリアが大学に来なくなったのはなぜだろう?


 様々な思いが入り乱れ、容易にまとまりそうになかった。

読んでいただき、ありがとうございます。


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