【0:2:0/05】チョコが欲しいのは男子だけではない
ジャンル:コメディ
あらすじ:バレンタイン間近。作戦会議をしなければならない。誰に、どう渡すのか。だが待て。何で女子が渡すと決まっているのか。嫌だ、私は貰いたい。
キャラクター:
【◇ユキ】サバサバした女子高生。バレンタインはどうでもいい派。浮足立つ男子を生温い目で見ている。
【◆ナツ】少々おバカな女子高生。バレンタインは貰いたい派。学校中の女子からチョコ貰って靴箱とか溢れたい。
◆:ちょっと聞いてほしいんだけどね
◇:んー、どしたの
◆:もうバレンタイン近いじゃんか
◇:そうだね。何、渡したい相手でも出来た?
◆:ううん、そうじゃなくてね……
◇:違うんだ、それじゃバレンタインがどうしたの
◆:私さ……バレンタインね、渡される側がいい
◇:あ、そう
◆:私ね、チョコレートもらう側がいいの
◇:そうだね
◆:冷たい!
◇:それ以上にどう反応すればいいのよ
◆:私がつくってあげようか、とか?
◇:やだよ、めんどくさい
◆:私もめんどくさいの! 作りたくないの!
◇:じゃあつくらなきゃ良いじゃん
◆:でもつくらないと、みたいな空気あるじゃん!
◇:まぁないとは言わない
◆:私はバレンタインのそんな空気に反旗を翻したい。
◇:もらう側になりたいと
◆:できれば頬赤らめて、上目遣いで、目を潤ませて、健気にチョコを差し出してくる可愛い女子から貰いたい
◇:気持ち悪いね
◆:もうちょっとオブラートに包んで
◇:おじさんの欲望の詰め合わせセットだったね
◆:いないかな?
◇:いないよ
◆:いてよ!
◇:そんなチョコの渡し方したことある?
◆:ないけど
◇:そんなチョコの渡し方してるの見たことある?
◆:ないけど
◇:じゃあいないんだよ
◆:もしかしたらいるかもしれないじゃん!
◇:たぶんそれ、営業だよ?
◆:やめて、私の可愛い女の子を売上に奔走する女性にしないで
◇:でもチョコはチョコだから
◆:違うの、夢を見たいの。チョコ食べるだけなら別にコンビニで安いの買うの
◇:幸せになる方法を教えてあげるね
◆:え、何、急に
◇:夢を夢だと気づかないフリすることだよ
◆:やめて?
◇:大人になりな?
◆:私、まだ、女子高生、子ども、未成年!
◇:そろそろ将来考えないとね
◆:何で私の命を削ろうとするの……?
◇:将来考えると命が削れるの?
◆:大人になりたくないの、子どもでいたいの
◇:もう私たちは夢を見る側じゃない、見せてあげる側なんだよ
◆:そんな……
◇:だから上目遣いでチョコレート配り頑張りな
◆:嫌だぁ!
◇:顔は良いんだから、ウケるよ?
◆:そんな不特定多数にウケても仕方ないでしょ!
◇:男子が夢を見れるよ
◆:男子の夢なんてどうでもいいの、私が夢を見たいんだって話をしてたの、覚えてる?
◇:そうだったっけ?
◆:全然興味ないね?
◇:あんたがいかにバレンタインで男どもを誘惑するかの話かと思ってた
◆:そんな話一切してないの
◇:そっか。で、何の話だっけ
◆:少しは私に興味を持って……?
◇:私があんたに興味津々でも嫌じゃない?
◆:あー、嫌かも
◇:だからこれくらいで丁度いいんだよ、分かった?
◆:分かった
◇:分かるんだ
◆:私が嫌われてることが分かった!
◇:嫌いではないよ
◆:そこは好きって言ってよ
◇:まぁ好きか嫌いかで言うと嫌いかな
◆:そこは普通、好きっていうところじゃないの!?
◇:めんどくさい話か、くだらない話しか持ってこないから
◆:女子高生ってくだらない話が生活の8割を占めてるものでしょ!
◇:すごい偏見が飛び出てきてビックリしてる
◆:実のある話をしてる女子高生なんてそれこそ都市伝説だよ
◇:あんた女子高生に何か恨みでもある……?
◆:そう、あれは私が小学三年生の時
◇:その回想シーン長い?
◆:近所のお姉ちゃんはいつもどうでもいい話しかしてませんでした
◇:サンプルひとつしかないじゃん
◆:以来、私は女子高生とはこういう生き物なんだと学びました
◇:サンプル間違えたね
◆:お姉ちゃんをバカにするな!
◇:あんたをバカにしてんのよ
◆:じゃあいいけど
◇:良いんだ
◆:だって私は馬鹿だし
◇:そうだね、バカワイイって言うのはあんたのための言葉だね
◆:私、そんなに可愛い?
◇:訂正、馬鹿はあんたのためにある言葉だね
◆:たまには調子に乗らせてくれたっていいじゃん……
◇:調子に乗らせると後が面倒だから
◆:ご機嫌な私を愛してください
◇:返品可能ですか?
◆:何で私の友だちしてくれてるの……?
◇:友だち……?
◆:これから飛び降りてきます
◇:冗談だよ
◆:言って良いことと悪いことがある
◇:お詫びにチョコあげるから
◆:そんな飴と鞭で私を飼いならそうと……!
◇:ちゃんと手作りだよ?
◆:大好き!
◇:チョロいね
◆:本音がでてる!
◇:手軽だね
◆:言い方変えてるだけで同じ!
◇:バカだね
◆:愛がない!
◇:愛はあるよ
◆:私はもう人を信じられないよ……
◇:疑って生きるくらいがちょうどいいんだよ
◆:擦れた大人になろうとしてる……
◇:でも私の愛は信じていいよ
◆:沼に落とそうとしてる……!
◇:上目遣いで目を潤ませて、健気にチョコを差し出してあげるよ?
◆:私この沼に飛び込む!
◇:ホワイトデー三倍期待してるね
◆:私やっぱりもう誰も信じない!




