表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/10

【1:1:0/10】乙女心はソレを殺すか

ジャンル:ラブコメ

あらすじ:夜中、物思いにふけりながらブランコに揺られる男子高生。そしてそれを探しに来た女子高生。これは青春の匂い。時折刃物がきらめいたり、うっかり急所に物騒なものが突き出されたりするけど、たぶん青春の匂い。


キャラクター:

【◇ケイ】殺し屋育ちの殺人鬼さん。おかげで親とソリが合わずよく家出する。そしてアイに愚痴を聞いてもらう。思春期

【◆アイ】殺し屋家業の女子高生。よくケイを殺そうとする。それ以外は普通な女の子。ちょっと愛情表現が不器用なだけ

◆:私、慰めるオプションは有料なんだけどなー

◇:何でこんなとこ居るんだよ、別に頼んでないだろー

◆:夜中に唐突に電話かけてきて、やっぱり何もないで切っておいて?

◇:何もないって言ったろうが

◆:ちょっと探せばすぐ見つかるような近所の公園に飛び出しておいて?

◇:すぐ帰る気だったんだから別に近所でもいいだろうが

◆:これみよがしにブランコに揺られておいて?

◇:この淡々とした振り子運動が心を落ち着かせるんだよ

◆:あっそう、じゃあ帰るね

◇:……おう

◆:ほらー、捨てられた子犬みたいな目でー

◇:してない!

◆:何、今日は何やらかしたの、お姉さんに言ってごらん

◇:俺の方が誕生日早いだろ

◆:お兄ちゃん、私じゃ頼れない……?

◇:……こわぁ

◆:刺すね

◇:その宣言で本当に刃物突き出してくる女子高生、お前くらいだからな!

◆:あれ、結構本気で刺すつもりだったのに……

◇:おまわりさーん、ここに危ない人がいますー

◆:おまわりさーん、か弱い女子高生が襲われそうですー

◇:なぁ、ボタン外すのもうちょっと躊躇しない?

◆:はだけてた方がそれっぽいでしょ?

◇:俺を殺すことに躊躇いがなさすぎる

◆:ちょっとした冗談よ、冗談

◇:目が本気なんだけど

◆:殺してみたいなぁとは思ってる

◇:物騒すぎるだろ……

◆:だってどうやっても死なないんだもん、そろそろ悔しいなぁって

◇:毎回命の危険に晒されてる俺の身にもなってほしい

◆:殺し屋名乗ってるのに一向に殺せない男がいるなんて汚点背負わされてる私のことも考えてよ

◇:考えたところで殺されるわけにはいかないからそれは無駄だろ

◆:はい、乙女心試験失格、死ね

◇:だから安易に人を殺そうとするなって、危ないなぁ

◆:チッ……その場のノリで人殺して凹んでる人間に言われたくありませんー

◇:げ……知ってんのかよ……

◆:しかも3人。怖いねぇ

◇:俺だってそんなつもりじゃなかったんだよ!

◆:そんなつもりがない人間は3人も殺さないし、相手を無駄に刻んだりもしません

◇:俺のなけなしの1000円持ってこうとするからさー

◆:可哀そうに、カツアゲした子たちも相手が殺人鬼だとは思わないよねー

◇:だから俺も最初はちょっとお仕置きして逃がしてやる予定だったの!

◆:死んでるけど?

◇:それは……まぁ、うん……ちょっとな……

◆:やってるうちに楽しくなってきて、うっかりしちゃったんでしょ

◇:だってカツアゲしてるような連中の癖に、ちょっと怪我しただけで初々しい反応するから……

◆:はー、これだから殺人鬼は嫌なのよ。私たちプロを見習ってほしいわ

◇:そのプロはその場の勢いで俺を殺そうとしてくるんだけど

◆:あんたは人殺しだけど、私のは害虫駆除だから

◇:俺害虫?

◆:ちょっと絡んできた人間をうっかりで殺す奴は世間的に害虫でしょ

◇:世知辛いなぁ

◆:凹んでる理由もどうせお父さんに怒られたとかでしょ

◇:あのクソ親父、やれ手際が悪いだ美学がないだ、挙句お前には才能がないとまで言うんだぞ……

◆:相変わらず厳しいお父さん……それにしても才能、ねぇ……

◇:確かに親父ほど上手くはないけど、俺だってそれなりにさ……

◆:普段は殺し屋なんてとか言うくせに、変に拘りあるよねあんた

◇:何だろうな、やっぱり親父の背中に憧れはあるんだろうな

◆:なる気はないのに?

◇:それは……まぁ……

◆:向いてるとも思ってないでしょ

◇:ないなぁ。指定されたのだけなんて確実に俺には向いてないし

◆:じゃあいっそ、趣味にいちいち口出すなって言い返しちゃえば?

◇:俺死体になりかねないんだけど

◆:その時はその時でしょ。これを機に越えちゃいなさいよ、親の背中

◇:そんなことしたら俺苦学生になるだろ、まだ親の金で楽してたい

◆:何で変なところで現実的なのよ

◇:だから所詮プチ家出なんだろ

◆:私、あんたのそういう変に斜めなところは嫌い

◇:むしろ好きな部分なんてあるのかよ

◆:はぁ……だからダメなのよ。ダメダメ、落第、赤点、失格、死ね

◇:あっぶな!?

◆:あれ、今回は上手く隙をついたと思ったんだけどな

◇:死にかけたわバカ!

◆:良いじゃん、死んでないんだし

◇:死んでたらどうする気だ!

◆:何で死んでるのよって怒り狂う

◇:理不尽すぎないか……?

◆:愛情表現がちょっとだけ不器用なの

◇:不器用って言うか狂ってるからな、もっと可愛く示してくれ愛情なら

◆:わざわざ探しに来てあげたじゃん

◇:それは……そうだな、ありがと

◆:何、素直に

◇:いや、悪態ついてばっかでちゃんと言ってなかったなって。こんな夜中に来てくれてんのに

◆:急に素直になられると調子狂うでしょー

◇:俺はいつでもわりと素直な方だろ

◆:でもいつまで経っても私に告白してこないじゃん

◇:何を告白するんだよ

◆:死ね

◇:頸動脈!

◆:乙女心も分からない、自制心もない、ふぬけまぬけのクソ野郎よあんたなんて

◇:何で殺されかけた上に、唐突に全力の罵倒されてるの俺

◆:こんなのが全力の罵倒だと思ってるならあんたは普通の女にも殺されるんじゃない?

◇:世の中の女怖すぎるだろ……

◆:私の罵倒なんてまだまだ優しさの塊

◇:でもお前の罵倒、物理的な攻撃も伴うじゃん

◆:そんなのあれよ、男の胸をバカバカって殴る可愛い女の子。あれと一緒よ

◇:お前のはナイフなんだよ。あと殴るのもしっかり腰入った致命傷になるやつなんだよ

◆:男のくせに細かいことをぐちぐちと、みみっちい

◇:俺のせいなんだろうか……

◆:乙女心踏みにじってるんだから当然の報いでしょ

◇:と言うかさ

◆:何よ

◇:その言い分だと、まるでお前が俺のこと好きみたいじゃん

◆:……あんたまさか……

◇:何だよ

◆:私が誰にでもこんな優しいと思ってんの?

◇:優しい……?

◆:口を縫う

◇:針!

◆:何で殺せないのか本当に不思議

◇:何でこんなことしておいて優しいが通ると思ってるのか全くもって不思議

◆:もういい、あんたに期待した私が間違ってた

◇:おぉ、ボロカス……

◆:私、好きでもない男に時間使うほど暇じゃないんだけど

◇:……へー

◆:どういう顔よ、それ

◇:衝撃すぎてどういう顔していいか困ってる

◆:むかつく、本当に何にも意識してなかったって顔

◇:……恋愛か

◆:これでも女子高生だし、別にいいでしょ

◇:それはまぁ、そうだな

◆:恥ずかしくなってきたから黒歴史として殺していい?

◇:照れ隠しの仕方が斬新すぎる

◆:まぁ別に、私もあんたも普通とは程遠いし、付き合いたいとかじゃなくて、ちゃんと言っておきたかっただけ、と言うか……

◇:バレたらいろんなところから殺されそうだもんなー

◆:分かってる、から忘れていいよ。私がむかついて口滑っただけ

◇:今の可愛い顔を忘れろと

◆:本当に死ねばいいのに

◇:とりあえずうるさそうな親父は仕方ない、殺すか

◆:は!?

◇:いや、これでも男子高生だし、彼女のひとりくらい許されるだろ

◆:いや、許されないと思うけど

◇:じゃあ仕方ない。許してくれない大人をひとりずつ殺してこう

◆:とんでもないこと言ってる自覚は?

◇:でもさー、わくわくするだろ?

◆:だから、私は殺し屋であって殺人鬼じゃないんだって

◇:報酬は俺、どう?

◆:それ、本当にちゃんと支払われるか信用ないんだけど

◇:大丈夫だって、俺はさっきの告白でもう殺されたようなもんだから

◆:はぁ……納得いかない……

◇:恋する乙女が最強ってことだよ

◆:もう完全にその気じゃん……そうやってすぐ火が付くのを凹んでたんじゃないの?

◇:だって俺は殺し屋じゃなくて殺人鬼だから、仕方ない

◆:勝算もないくせに

◇:親父の背中をヒロインの声援で越えてくのは王道だろ

◆:……悪い顔

◇:今俺を殺せば安全な日々に戻れるけど

◆:そういう退屈が好きならあんたなんかに惚れるわけないでしょ

◇:そういう覚悟決まった顔好き

◆:ところで、あんたさ

◇:ん?

◆:私に返事してない

◇:もう返事したようなもんだと思うんだけど

◆:それで済ます気?

◇:惚れた。から、俺と一緒に世界から嫌われてくれ

◆:はぁ……イタいセリフ……惚れる相手間違ったなぁ……後でブランコ揺らして後悔しないでよ?

◇:その時は横で一緒に揺られて泣き言言おう

◆:あーあ……取引成立ね

◇:よろしく、彼女様

◆:承りました、彼氏様

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ