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最終話


 「あー、終わったー。」と、僕は椅子の上で大きく伸びをする。やっと終わった仕事に、胸を撫で下ろす。ちょうどその時、先輩が戻って来た。


 「あ、お帰りなさい。」


 「ただいまー。ふ、ふ、ふっ。」と何やら上機嫌だ。

 

 「ね、良いもの触らせてあげようか。」と、にこにこしながら近づいてくる。


 「っな?は?い、良いもの?」…良いものって何だ!触らせるって何だ!と、ひとり慌てる僕に、


 「ね、触りたくない?」とさらに近づく先輩。


 「えっ、えっ?」と動揺する僕。せ、先輩!近いです!「ちょ、ちょっと。」まだ早いです!ダメです先輩!



 —トンッ。


 「はい、どーぞ。」と、僕の机の上に、カップ麺が置かれた。


 「………。」ですよねー。手に持ってるの見えてましたもん。あー、良い匂いがしますー。…何を期待していたんだ僕は、とひとりうなだれる。


 そんな僕の手が、不意に先輩の小さな手に掴まれる。「えっ?何ですか?」と慌てる僕なんかお構いなしに、先輩は僕の手を引っ張る。


 「はい。」とカップの容器に手が導かれる。その上から、先輩の手が添えられ、「ね、あったかいでしょ?」と、微笑まれる。悴んだ僕の手は、先輩の手と、容器から伝わる温かさで、じんわりと温かくなった。


 僕は極度の緊張で「あ、温かいです。」と答えるので、精一杯だった。



 「それ食べ終わったら、さっきの言葉もう一度、聞かせてね。」と言いながら、先輩は自分の分のカップ麺を持ってきて、隣に座る。


 「え?さっき?」と震えながら、答える。


 「そう。私がオフィスに来たときに言ってたこと。」


 「…っ。」やっぱり、好きだと言っていたのが聞こえてたんだ!


 動揺する僕に、先輩は「ね?」っと、悪戯っぽく微笑む。

 

 「うっ。ふぁい。」と、僕は情けなく返事をした。





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