幼なじみ
休み時間に、なぜか幼なじみの話になってしまった。私には幼なじみがいる。その関係を友人は
「羨ましいなーって」と言う。
「そんな関係とかもう全然無いんだけどなぁ。ちっちゃいときは遊んでたと思うけど、今はもう話すらまともにした覚えも無いし」
「そうなんだー。私引っ越しばっかりだったからなー」
「で、なんでいきなり幼なじみの話?」
「昨日読んだマンガで、幼なじみがくっつく話があって」
「マンガかーい!」
友達と二人で笑い合って、チャイムが鳴ったので席に向かう。
家が二軒隣の幼なじみのあいつは、まだクラスの男子と話している。
風の噂によると、学年で一番可愛いと言われている隣のクラスの女子のことが好きなんだとか。
幼なじみって、そりゃ今でも仲良かったり話してるなら、そういう関係かもしれないけど。
そんなことも無い今となっては、私とあいつはただのクラスメートにしか過ぎない。
マンガの中でだって、仲良しな幼なじみの男女がいても、そこへ突然現れた美少女とかにあっさり取られていく。平穏より変化。それが輝いて見えたり、憧れるのは人間の真理なんだろう。
だから、今心にあるこの気持ちも、そのうち現れる美少年とかにかき消されてしまうのだろうと、期待と諦めの中で燻っている。




