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ジャンク屋メグの紡ぎ歌  作者: 六人部彰彦
第5章

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5-05 抜け道を行きます

 十字路の中央にいるロボットをどうにかする方法が思いつかなかったので、結局その日は撤収することにした。

 

 入口に監視カメラがあり、内部も監視や警報装置と思われるレーザー光が動いているので、あのロボットも警備のために置かれていると思う。

 今回の探索で、探索機が360度カメラで撮影した映像は記録している。これを見返しながら、どうやってあのロボットを何とかするか小父さん達と検討したけど、案は出なかった。


 ただ改めて映像を確認すると、気になるものがあった。通っていた通路の所々に、天井に小さな通気口の様なものが付いていた。


「ねえ小父さん達。

 シャトルの発着場って今は空気が無くて、宇宙服着ないといけないけど、昔は空気あったの?」


「そりゃそうだよ。宇宙服を着て生活していた訳じゃないからな。」


「じゃあさ、こっちのエリアも、昔はちゃんと空気があったんじゃないかな。

 これって空調ダクトの穴だと思うんだけど。」


「……そうかも知れないね。だけど小さい穴だから人が入れな……そういう事か。

 ここに探索機を入れて、ダクトの中から探索するって事か。」


 私は小父さん達に頷く。

 コロニーの図面データを確認すると、空調ダクトの配管図が出てきた。軌道エレベーターへ続くエリアの空調機は目的の制御室の近くにあるみたいだから、比較的エレベーターに近いところまで行けるかもしれない。




 次の日、また軌道エレベーターへ続くエリアの探索に行く。ライト小父さんとニシュにオクタと探索機を運んでもらって、オクタに監視カメラをハックして貰うのは一緒。

 そこから探索機と一緒にオクタに付いて来て貰って、最初の分岐を左折したところで、オクタに天井の空調ダクトを確認して貰う。どうも四隅をねじ止めしているだけの様だったので、ねじを取ってダクトの蓋を開けてから、オクタに探索機をダクトの中に運び上げて貰った。


 ダクトの通気口は狭そうだったけど、ダクトの中は意外と広かった。真っ暗なのは変わらないけど暗視モードで十分見えるし、時折赤いレーザー光が走るのが通気口から見えるため、通るのには困らなかった。探索機では出るときに通気口を開けて降りられないので、ダクトの中にもオクタに付いて来て貰う。


 十字路の上を通る時、真ん中に陣取る四本脚ロボットを上から確認した。ロボットは時折十字路のそれぞれの通路の方にカメラを向けていたけど、真上には向けられない様子で、こちらには全く気付いた様子はない。

 ダクトの中をエレベーターの方向へ向かうと、先ほどの様な四本脚ロボットが何か所かの分岐点に設置されていた。


 まずは、資材用の大型エレベーターの方に向かう。大型エレベーターの搭乗口のある場所に着くと、10m位の幅がある搭乗口の前にはあの四本脚ロボットが2台居た。またその背後、搭乗口の扉のある筈の場所には、その周りと異なる材質の壁となっていた。

 どうも扉を開けさせない様に、後から壁を作って塞いでいる様だった。


「大型エレベーターの方は無理そうだな。」


「あのロボットをどうにかするのは、難しそう。」



 次に、人員用の小型エレベーターの方へ向かう。

 こちらの方にも、4m位の幅がある扉の前には四本脚ロボットが居るのだけど、その背後のエレベーターの扉を塞いでいたであろう壁は上半分が崩れていて、その瓦礫にロボットが埋まっていた。瓦礫の端に辛うじて脚が1本見えるが、ロボットが動いている様子はない。


「メグ、先に制御室の方を見に行かないか?」


「分かった。」


 探索機を制御室の方へ向かわせる。

 制御室の前にはロボットは居ないけど、こっちも扉は壁で塞がれていた。ただ、ダクトは制御室の中へ続いているから、そちらの方に進んでみると、制御室の中は奥側の壁にモニターが3つあり、その手前の制御盤にはスイッチやレバーが沢山付いている。


「セイン小父さん、オクタを下ろして。」


「ん、了解。」


 私は探索機を通気口の向こうに動かす。セイン小父さんが端末に命令を入力すると、探索機の後ろに着いて来ていたオクタが、通気口の外に脚を1本出してねじを外していく。4本ともねじを外すと、オクタは器用に通気口の蓋を落ちない様に持ったまま、制御室の天井へ伝って中に入って行く。


「探索機からは見えないから、一旦ヘルメット外して休憩していい?」


「いや、待って。オクタのカメラだけだと中がちゃんと確認できない。

 蓋を置いて監視カメラを切ってから、探索機を下に降ろすよ。」


 暫く待っているとオクタが戻ってきて、探索機を抱えて部屋に再び降りていき、制御盤の上に探索機を下ろす。


「部屋の明かりを点けるよ。」


 オクタが制御室の扉横の照明スイッチを操作して、部屋に明かりが灯る。窓の無い部屋だし、扉は外から塞がれているから、誰かが入って来る心配も無い。


 壁のモニターは、真ん中が大型エレベーター、右が小型エレベーター、左がこのエリアの空調システムの制御データを表示するものらしい。

 制御盤を挟んだモニターの向かいにそれぞれ椅子が据え付けられているから、右側の椅子の近くに小型エレベーターのメインスイッチがある筈……あった。


「一番右端、透明な蓋が付いた赤いスイッチが、小型エレベーターのメインスイッチじゃない?」


「どれどれ……ああ、これか。」


 セイン小父さんはオクタに命令を送って、オクタが蓋を開けてスイッチをONに切り替えると、右側のモニターが点いた。あ、エレベーター内の照明がONになってる。これはOFFにした方が良いね。これのスイッチは……。


「制御盤の右奥、エレベーターの照明スイッチをOFFにして。」


 オクタが照明をOFFにする。これでしばらくは大丈夫かな。


 モニターにはエレベーターの状況が映し出されてる。キャビンはこちら側にあって、穴が開いてたりはしないみたい。ただ状況確認中と出てて確認中タイマーがカウントダウンしてて、今は9:20くらい。あと10分近く待たないと使えるかどうかは分からない。多分下まで距離があるから、確認に時間が掛かるみたいね。


「どうする? ここで10分待つ?」


「ライト、そっちは大丈夫か?」


『こっちは異常なし。状況は聞こえてる。

 入口の監視カメラの切り替えは、まだ余裕あるんだろ?

 こっちに構わず休憩してくれて良いぞ。』


「今日は3時間でセットしたから、まだ2時間近くある。

 メグもここで一息入れよう。」


 うん、正直ちょっと休憩したい。ヘルメットのスイッチを切って少し休憩しておこう。




 休憩を済ませて、再度ヘルメットを被ってスイッチを入れる。

 制御室のモニターはカウントダウンが終わっていて、小型エレベーターの状態を表示している。降りた先を含めて故障個所は無くて、エレベーターの稼働には支障が無さそう。


 制御室の方はこれで問題無いと思うけど、エレベーターのキャビンの方をちゃんと乗れるか確認しないとね。

 もう一度、オクタに探索機を空調ダクトまで上げて貰う。




 小型エレベーターの所まで戻ってきたら、ロボットは瓦礫に埋まったままで動く気配はない。さっきと違うのは、搭乗口の上にキャビンの階層表示が灯っていて、こちら側にキャビンがあることが示されている。扉横のパネルも通電している。


「今回はオクタだけ降ろして、エレベーターの中を確認しよう。

 探索機はカメラで周りの様子を確認する。」


 そうセイン小父さんが言って、オクタへ命令を入力する。


 オクタに通気口の扉を開けて降りて貰ってから、360度カメラを探索機から外して、コードを探索機につなげたままの状態で通路に垂らしてもらう。こうすれば、本体はダクトの中に置いたまま、下の様子が確認できる。

 オクタが扉横のパネルを操作して扉を開く。


 エレベーターの中は、幅も奥行も4m程ある空間になっていて、中は扉以外の全周がベンチシートになっている。シートの背もたれには所々シートベルトが付いている。そして真ん中には荷物台と、固定用のベルトが幾つか付いてる。


「エレベーターに、ベンチとシートベルトがあるの?」


「惑星表面までかなり距離があるからね。普通のエレベーターの速さだと、何時間もかかるんじゃないかな。

 恐らく、すごくスピードが出るんだと思う。シートベルトをせずに乗ると、中で飛ばされて怪我するよ。」


 エレベーターの中の操作パネルは、扉のすぐ横の壁にあるみたい。一番端に座った人が操作できるように、高さは座り姿勢に合わせて低めになっている。

 あと左右の壁にはモニターが付いている。今は何も表示されてないみたい。


 見た所、エレベーターの中も異常はないみたい。


「これで、ケイトお姉さんの依頼に必要な情報は全部じゃない?

 ロボット達をどうにかするのは、今の私達じゃ無理よ。」


「そうだな。依頼はエレベーターまでの安全確認と、制御室のスイッチを入れられるかどうかだからな。

 後はこの情報を整理してメモリカードに入れて、ケイトさん達に渡すか。

 それじゃあ、撤収だな。」


 もともと『安全なルートをもう一度辿って欲しい』という依頼だったけど、もう一度行くのは正直しんどい。

 それは小父さん達も同じ気持ちのようだった。


『了解だ。帰りも気を抜かすなよ。』


「うん、分かってる。」



 オクタはエレベーターの扉を閉め、通気口に上って蓋を閉める。探索機のカメラを元の位置に戻すのも忘れない。

 それから制御室に戻って、今度はオクタだけ降りてメインスイッチと照明を切る。


 慎重にダクトの中を帰って行く。途中、下にロボットが居るところでは更にスピードを落として音を立てない様に進んでいく。

 最初に上ってきた通気口に来て、オクタに下まで探索機を降ろして貰う。ゆっくり入口まで戻ってきて、セイン小父さんに回収されたら、漸くほっとした。

 スイッチを切ってヘルメットを脱ぐ。


『メグ、お疲れ様。オクタも充電台も回収したから、これから帰る。』


「了解。ライト小父さんも気を付けてね。」


 今日はもう疲れた。

 ライト小父さん達が戻ってきたら、今日はさっさと寝よう。




 後日、探索機の360度カメラの映像を改めて確認した。

 編集はやって出来なくは無さそうだったけど、データには位置とか角度の情報があってデータの構造が複雑だから、編集は最低限にしようと小父さん達に相談した。

 結果、必要な情報は録れてるはずだから、渡したくない情報をカットする方向で編集した。具体的には、ライト小父さんやニシュが映っている部分をカットした位。


 今回はオクタが居ないと向こうまで行けなかったから、オクタの映像情報はそのまま残すことにした。

 エレベーターで降りた先の調査にまで手を貸すつもりは無い。補助にオクタを貸せって言われそうだけど……それは向こうで用意して欲しい。




 編集後のデータを黒いメモリカードに入れて、それをお姉さん達への手紙に同封した。

 手紙には、エレベーターで降りた先の事までは手を貸すつもりは無いことを、協力者に念を押して欲しいというお願いを書いておいた。


 お姉さん達が次に来た時、お姉さん達の後を付いて来る警備の人は1人増えていた。

 ケイトお姉さんが手に持っている機械、ゴミから使える素材を検索するスキャナー――実家で作った試作品らしい――を警備の人が取り上げようとして、マルヴィラお姉さんとその警備の人の間でひと悶着あった。

 けれど結局ケイトお姉さんが間に入って、機械の使い方とかを説明したみたいで、警備の人は引き下がっていた。

 この分だと、お姉さん達の見張りが緩むまでしばらくかかりそう。


いつもお読み頂きありがとうございます。


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宜しくお願い致します。

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