第一話:夢
夕日が降り注ぐ中、一人の少年がその影を踊らせていた。
その少年は、17歳か18歳ほどで、その瞳は青空のように澄んでいた。
「う〜ん…任務も終わったことだし、これから何をしようかなぁ…」
彼の名前はユウ。
超大国ディル帝国の軍隊に所属しており、槍を使わせれば帝国一である男として名高い。
ディル帝国の軍隊の階級は高い順に
「大将」→
「中将」→
「一等兵」→
「二等兵」である。
しかし、それだけの能力があるのにも関わらず、ユウは中将である。
それは単純に、大将はユウよりも遥かに技能の優れた戦士達だからである。
それほど、ディル帝国の力は凄まじいのだ。
ユウは夕日をぼんやりと見て、任務を終わらせた達成感をじんわりと味わっていたが、その達成感は滝のようにさらさらと流れ、底へとぶくぶくと堕ちていった。
突然、ユウは焦燥感にかられ、美しく輝く夕日に背を向け、ディル帝国城へ戻る道へと駆けていった。
「ここで呑気にしてる場合じゃない!!たくさん任務をこなして早く大将になるんだ!」
ユウには夢があった。
その夢とは、
「ディル帝国一の戦士」になることである。
確かに
「槍を使わせれば帝国一」とは言われているが、それではダメなのだ。
「帝国一の戦士」になること…その夢はユウの胸に、ディル帝国軍に入った時から種となって根付いていた。
今、その種は既に芽を出し、茎も生え、ようやく蕾を付けようとしていた。