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3. 無事に帰ってこられたんだね!

「ふ~。この景色を見るのも久々ね~」


 突然、この村に「聖女を探している」と帝国から兵がやってきて。

 半ば強制的に帝国まで連れていかれたのは、今から5年前でしょうか。



「のどかな空気。帝都なんてクソくらえだわ!

 ついでに貴族のしがらみも、くそったれの宰相も」


 国外追放処分。

 それは何の大義名分もなく、自分に従わぬ邪魔ものを体よく処理するための処置でした。

 宰相親子は、国からの追放=死だと思ったようで。

 最後には「惨ったらしく死ね」との、有難いお言葉まで頂いてしまいましたが。



『ここがアルシャのふるさとか~』

『アルシャすっごい嬉しそう~』


 妖精の守護を受けた私にとって、国から故郷への道のりに危険なんて何もなく。

 妖精さんの協力で、体は羽のように軽く。

 現れるモンスターは片っ端から蹴散らし。 

 半日も経たずに、故郷に帰ることに成功したのでした。




◇◆◇◆◇


「サラおばちゃん! ただいま~!」


 帰ったよ~! と、村に入り最初にすれ違った村人に元気よく挨拶。

 のどかで小さな村なので、だいたいが顔馴染みでした。



 サラおばちゃんは変わらないな~!


 元気そうで良かった!

 本当に帰ってきたんだな~と、妙な感慨があります。


「おぉ~!? アルシャちゃんじゃないかい。

 よく無事に帰ってきたね~」

 

 サラおばさんは、サッサッと駆け寄ってくるとギュッと私を抱きしめました。



『この村は、人が温かいの~』

『ぽかぽかするの~』


 宰相親子にはじまり、帝国の人間には辛辣だった妖精さんですが。

 サラおばさんのことは気に入ったようで。

 妖精さんは、私たちの回りを飛び交い嬉しそうにキャッキャと笑っていました。



 そんな騒ぎを聞きつけて。


「なんだなんだ~?」

「今日は朝っぱらから、随分と賑やかだな~」


 ゾロゾロと、村人が出てきて。

 私を見つけるや否や――


「まあアルシャ!」

「無事に帰ってこられたんだね!」

「良かったよ~!」


 代わる代わる声をかけてくれたのでした。


「まあ――アルシャ!」

「お母さん!」


 そして村の奥から出てきたのは、聖女として名高い私のお母さん。



「よく帰ってきたね。本当に、無事で良かった。

 もう会えないだろうって思ってたよ~!」


 もう5年も経ち、小さな子供ではないというのに。

 私は、腕を広げて待ち受けるお母さんの胸に、ついつい飛び込んでしまったのでした。




『さすがアルシャのお母さんだ~』

『心がとっても綺麗なの~』



 妖精さんたちは喜びの舞いを舞っていました。

 そうでしょ、そうでしょ。

 私の自慢のお母さんなんだから!


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