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第六話 意外な姿

 一日目、そしてニ日目も何事も無く三日目に無事アルメシア王国に到着した。王を乗せた馬車と共にアルメシア城へ入っていく。城の中に入るとエレキ王と大臣、大勢の兵士が出迎えた。


「サマリード王殿よくぞ遠路遥々来てくださり、感謝申し上げます。」


「いえいえこちらこそ盛大にお出迎えしていただき感謝致します。」


「早速あちらの部屋で会議を行いたいと思っております。」


サマリード王とエレキ王、大臣達が部屋へ向かった。護衛役の俺は別室で待機となった。数時間後会議が終わりサマリード王とエレキ王が出てきた。


「非常に有益な会議でございました。お部屋を用意しておりますので今日はそこでお泊まりください。」


「わざわざありがとうございます。では遠慮なく使わせてもらいます。」


そう言った後サマリード王はレイナに何か指示を出して部屋へ向かった。レイナは待機していた者達の前に歩いてきて


「皆のもの、今日はご苦労だった。先程サマリード王から今日は見張りはなしでいいと言われた。なので今日だけは街で好きに過ごしてよい。ただしハメは外しすぎるなよ。」


と言った。


(見張りなしか、まぁ城の中でも見張りをつけてたら信用してないと思われかねないか。)


 俺は街に出てその辺をブラブラ散歩することにした。少し歩くと一軒の本屋に目が止まった。


(せっかくだし本でも買うか。)


店の中に入る。中は狭かったが、あたり一面に大量の本が置かれていた。俺は色々見て周り、気になった2冊の本を買った。どちらも400ルピで買うことができた。

 店から出ると日が暮れ始めていた。


(結構長い時間いたんだな。)


晩ご飯を食べるところを探してまた歩き回った。しばらくすると路地裏にある小さな店を見つけた。その店からいい香りがしてきたのでこの店で食べようと決め、中に入った。

 お店の中はカウンターとテーブル席が三つほどの小さな店だった。俺は奥のテーブル席に座った。俺の他に客はいなかった。


(何食べようかな〜。やっぱ肉は欠かせないよな!

後はサラダも食べるか。ワインも飲んでみるか。)


料理を注文し、料理がくるまで本を読んでくつろぐ。なかなか面白い本で夢中になって読んでいたがそこに料理がやってきた。読むのをやめて食べ始める。


(うん、めっちゃ美味しい!ここにして正解だったな。)


 満足しているとドアが開き一人の女性が入ってきた。その女性は一番手前のカウンター席に座った。何気なく女性を見るとよく見覚えのある人だった。


(レイナ将校!?うわーどうしよ挨拶したほうがいいのかな?でもなぁちょっと怖いし、気まずい空気になったらどうしよう。)


レイナはこちらのことには気づいていない様子だった。


(まぁこのままでいいか。あっちが気づいたら挨拶すれば良いだけだもんな。)


様子を伺いながら食べているとレイナの様子が少しおかしいことに気づいた。


(うん?なんかレイナ将校泣いてないか?うーん…いややっぱ泣いてる!なんで!?どうしよう!?声かけたほうがいいのか?ってなんで俺こんなテンパってんだよ!)


もう一度レイナの様子を伺った。泣き止む様子はなかった。


(よし!声かけよう!悩んでることは人に話したほうがいいって言うもんな!)


自分で自分を勇気づけ、レイナのところまで歩み寄り、声をかけた。


「あ、あのーレイナ将校?」


「へ!?」


変な声を上げながらレイナはイスから転げ落ちた。


「うわ!?大丈夫ですか!?」


お店の人も駆け寄ってきた。


「お客様大丈夫でございますか!?」


レイナはすぐに立ち上がり


「だ、大丈夫だ。問題ない。」


と平静を装った。お店の人は怪我がないことを確認するとそのまま戻っていった。


「すみません急に話しかけてしまって…」


「全くだ!いつからここに居たんだ。居るなら挨拶ぐらいしないか!」


「すみません。」


俺は隣に座ると本来の目的である泣いていたことについて聞いた。


「あの、話しかけたのは、その…レイナ将校さっき泣いてましたよね?何か悩んでるんですか?力になれるか分かりませんけど俺で良ければ相談に乗ります。」


そう言った途端レイナの顔が真っ赤になった。


「な…!見ていたのか!くそ、よりによってこいつに見られるとは…!」


「盗み見するつもりはなかったんですよ!?ただちょっと目に入っただけで…」


「ふん、お前に相談することなどない。早く自分の席に戻りな。」


そう言われても簡単には食い下がれない。


「レイナ将校、悩んでるなら人に話したほうがいいです。別にここで話したことを他の人に言うような野暮なことはしません。」


「だ、だから悩んでることなど…」


レイナは言葉をつまらせながら必死に言っていた。


「あまり自分に鞭を打つのは良くないです。それとも俺のことがそんなに信用できないんですか?」


「そういうわけではないが…あぁ〜どうしたらいいんだ?」


悩みを人に打ち明けるということはいい換えれば自分の弱みを人に教えるということだ。レイナは人に自分の弱い部分を見せたくないという気持ちと話して楽になりたいという気持ちで葛藤していた。

 しばらくレイナは下を見たまま黙っていたが、顔をあげると


「本当に誰にも言わないな?」


と言ってきた。


「もちろんです。」


そう答えるとレイナはおもむろに話しだした。






心情描写は難しいですね。

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