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第二話 王都へ向かう途中で

 辺りを見渡す。家は街から離れているところにある。周りには草原が広がり、他には数件の家があるくらいだった。俺はこの景色が昔から好きだった。


(やっぱりのどかでいい景色だな。)


 そんなことを思いながら歩いているといつのまにかウェルズヒア王都近くの林まで来ていた。


(そろそろか。)


 ふと目の前の荷物を載せた馬車が目に止まった。馬車の周りには武器を持った10人ほどの男達と道には恐らく馬車を引いていた男が倒れていた。


(あいつら見た感じ盗賊か。そういえば最近ウェルズヒア城下町へ荷物を運ぶ馬車を狙った盗賊がいると聞いていたがあいつらのことか!)


 急いで馬車のところまで向かう。修行用として持ってきていた木刀を手にする。


「てめぇら盗賊どもだな?今すぐその行為をやめろ。」


一斉に男達が振り向く。リーダーと思われる男が奥から歩いてくる。


「チッ、ガキが一匹いやがったか。ん?持ってんのってもしかして木刀か?そんなもんで俺達を相手にしようとしてんのか?」


そう言うと、周りの男達が一斉に笑いだした。


「ガキが一人でしかも木刀で何ができるってんだよ!」


「全くだぜ!」


 男達の全く悪びれていない態度に怒りがこみあげてきていた。

 リーダーと思われる男が


「これ以上ここにいたら面倒だ。さっさとそのガキを殺せ。」


と目の前の男に指示をだした。指示された男は小さく頷き、前から剣を振りかざした。俺は右に避け、素早く後ろに回り込むと、相手の背中に一撃をくらわせた。


「ガァっ!?」


男はそのまま地面に倒れ込む。その一瞬の出来事に男達は少しの間唖然としていたが、リーダー格の男が


「な、何してる!全員でそのガキを殺すぞ!」


と命令する。すぐさま他の連中が襲いかかる。俺はまず、前の二人の脇腹、そしてお腹に一撃を加え、後ろの男達を閃光のごとく一瞬で倒した。最後に残ったリーダー格の男は完全に戦意喪失していた。


「な、なんなんだよお前…化け物かよ!?」


「俺は化け物なんかじゃない。アストっていう普通の人間だ。」


「ア…ス…ト?お、お前まさか…史上最年少で『剣聖』の称号を手に入れたってやつなのか…?」


「あぁその通りだ。」


そう言った瞬間男は膝から崩れ落ち


「頼む殺さないでくれ!もう二度とこんなことはしないと誓う!」


と言いだした。


「あぁ、殺さない。お前らは全員このまま王都まで連れていって王都警護団に身柄を引き渡す。」


男はそれを聞くと地面に座ったまま動かなくなった。

 俺は馬車の持ち主のところまで駆け寄った。


「大丈夫ですか?」


声をかけると倒れていた男はゆっくりと起き上がり、辺りを見渡すと


「あ、あなたがあの盗賊達を倒したのですか?」


と言った。


「はい。だからもう安心ですよ。」


「すごい‥.!なんとお礼を言ったらよいか…!本当にありがとうございます!」


「いえいえ。無事で何よりです。」


 そこに荷物を載せていない馬車が二台こちらにやってきた。


(もう王都に荷物を届けた後の馬車だな。ちょうど良かった。あの馬車に盗賊達を乗せて王都警護団まで連れて行こう。)


 俺は通りかかった馬車に状況を説明し、空の馬車に盗賊達を乗せ、その馬車と共に王都まで向かった。

 王都に着くと王都警護団に盗賊達を引き渡し、そのままウェルズヒア城の兵舎へ向かった。







 



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