誰か
また目が覚めた、大の字になって寝そべる。
いつまでこの苦しみが続くんだろう…。
「はぁ」
また意識がうすれていく…
――ぁ、
―るふぁ、
アルファ、
誰かが私の名前を呼んだ気がした。
それは、聞き覚えのある声で…
とっても
あたたかかった。
・・・。
うっすらと目を開けると光が少しばかり差し込んだ。
目が覚めてしまった。
激しい頭痛が襲う。
「うぅぅ。」
立つことすらままならない。
この部屋に閉じ込められて、そろそろ1年がたったころだろうか。
無駄に広いこの部屋には、彼女以外の者が入ることなどない。
扉はいつも固く閉ざされている。
「はあっ。はっ。」
歯がうずき、体の底から喉が渇く。
苦しい。
辛い。
苦しい。
ああ、
「血が、、飲みたい…。」
そう、彼女は吸血鬼なのだ。
血液不足で目は真っ赤に充血している。
目が覚めては苦しみ、苦しんでは、意識が途絶える。
その繰り返しだ。
ここに閉じ込められて約1年。
彼女は1年間、血を一滴も吸わずにいる。
吸血鬼は体力が高いため、彼女はここまで生きてしまった。
苦しみと闘いながら。
「っあ、はっ、」
血が、血が、血が、血が、血が、
――飲みたい――
アルファの意識はそのまま途切れた。