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その日、トビトは珍しく地上に出ていた。
ネヘミヤとユディトに押し付けられた雑多な用事を済ませ、ようやく図書館に帰り着けたのは太陽が大分傾いてからだった。
「遅くなりました」
大声で帰投を告げるも返事がない。不審に思いながら室内を巡るが、普段寝所代わりにしているソファにも、いつも仕事をしている机にも姿が見えない。
もしや、ユディトの身に何があったのではないか。
そんな予感が脳裏に浮かび、トビトの歩調は速くなる。それなりの広さがある地下書庫を一周し終えた時、予感は警鐘となってトビトの心臓を打った。
「ユディト様…?」
薄暗い地下書庫の中、トビトの声だけが虚しく響いていた。