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ゾンビCITY2〜彼の自由の求め方〜  作者: 35ki
第2節「サーイ村」
24/42

22「もうひとつの村」

前回までのあらすじ

遺跡に着いたマイケル達、中の最奥部にスタイヤーを見つけた。エルドとの戦いの末、スタイヤーは死亡。アンは帰り、マイケル達は先へ進む。

 マイケル達は遺跡から続く獣道を歩いていた。

 パンデミック発生地にあるというのに、ゾンビはいない。

 自然ばかりだ。

 「自分達は、何でこんなところに居るんだ?」

 ふと、マルコが言った。

 「さあな…戦わなければならないからじゃないか?」

 「ゾンビとか?それとも、ボスか?」

 「そうだろ」

 マルコは歩みを止める。

 それに合わせ、マイケルたちも。

 「ボスが言っただろ。自由になれって。マイケル、お前は自由ってなんだと思う?」

 「さあな、哲学は苦手だ。とりあえず、今は進むべきだろう」

 マイケルは歩き出す。

 「何処に居るんだ?ボス」

 ポツリ言った。

 

 しばらくすると、エルドと出会った場所のような所に出た。

 だが、それとは違い、穏やかな感じだ。

 上半身裸の子供も走り回っている。

 そして、老人が家から姿を表した。

 エルドと同じような格好をした黒人だ。

 エルドはその男性に駆け寄った。

 『あなた方は一体』

 その言語は知っているものだった。

 「エルド、まさかこの言葉は」

 『サーイの言葉だ…ここの村長か?名前は?』

 エルドは老人の肩を両手で掴んで言った。

 『いかにも私がこの村の村長。グレス・サーイ・ブレダだ。お主の名は?』

 『己は…己はエルド・サーイ・ファマスだ…』

 エルドは今にも溢れようとする涙を堪えて言った。

 ハンセインはそれをレンズに収めた。

 「サーイ族はあっちだけじゃなかったのね」

 「ええ、同じ民族に会えて良かったのでしょう」

 グレスとエルドはしばらく話し合っていた。

 

 しばらくして、グレスから家に案内された。

 家の入口付近には大勢の人だかりが出来ていた。

 『どうぞ、お座りください』

 木のベンチに座る。

 『あなた方はもしかして政府の者ですか?』

 「まあ、間違ってはない」

 マイケル達のセリフをエルドが翻訳して伝える。

 『どうしてここに?』

 「話せば長くなるが、基本的に、ここらへんでとても危険なことが起きている」

 『危険なこととは?』

 「簡単に言うと怪物が歩き回っている。生きる屍。通称ゾンビだ」

 『なるほど、村のものには遠出をするなと言っておきます』

 「話が早くて助かる。それと、その他に怪物が居るが、気をつけてくれ」

 『分かった。それはどうすればいい?』

 「…気をつけてくれ」

 マイケルはそう言うしか無かった。

 グレスはマイケルの目を見ると、ゆっくりと頷いた。

 

 

 あらかた話したあと、エルドは水を飲み、立ち上がった。

 「どうしたエルド?」

 『村長、己をここの村に居させてください!私達の村は誰も居なくなってしまったんです!』

 サーイ族の方式なのだろう、頭を下げ、槍を地面に置いて言った。

 『少し、待っていなさい』

 グレスは家を出た。

 「エルド、やっぱりそのつもりだったんだな」

 「まあ良いでしょう。こちらとしても、保護すべき人が減りますから」

 「エルド、お前は前に、戦いの中で生きると言ったな」

 『ああ、だが大切なことを忘れていた。己等にとって戦いは神聖なものだ。己はそれを忘れていた』

 「お前は、ここに残るんだな」

 「ああ」

 グレスが家に戻ってくる。

 『今、村の者と話をした』

 エルドの肩を叩く。

 エルドが顔を上げると、手を差し出すグレスの姿があった。

 『ありがとうございます』

 エルドはその手を握る。

 「エルドとはこれでおさらばか。ところで、ここから街まではどのくらいだ?」

 『そうだな、歩きで半日だ』

 「半日か…」

 『一応車がある、政府が置いていった物だ。だが、私達は操ることが出来ない』

 「借りても良いのか?」

 『構わない』

 「分かった。済まない。それと、ここで一泊することは出来ないか?」

 『ああ、それも構わない。泊室は空いているのでね』

 「ありがとう」

 マイケルは頭を下げた。

 

 マイケル達が外に出ると、村の人が大勢、マイケル達のことをじろじろと見ていた。

35kiです。

長らくお待たせした上、低クオリティですいません。

Twitter→@35ki_1

タイトルは「マーヴェラス〜もうひとつの宝島〜」

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