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「大丈夫か?」
男は近付いてそう言った。
「は、はい! た、助けてくれて
ありがとうございます」
「ああ、たまたま近くを通ったら
君が追い詰められていたのを見えたからな」
紅ののローブを着た男の人。
片手に握った剣は折れている。
黒髪で顔は整っていて
年齢も僕と近そうだ。
「ほれ、ポーションだ。仲間と分けて使いな」
そう言ってポーションを渡してくれたのだが
ウィンドウで見ると…
「ポ、ポーションIIIじゃないですか!」
今現時点で分かっているポーションの一個下だ。
これでも攻略組が現地で使うような物だ。
こんな最下エリアでは高価だ。
「かまわん、ストックはかなりある
このあと俺は用事あるから今のままの
君達で帰るには厳しいだろう?
これで回復してくれ」
「いいんですか?申し訳ないですが
言葉に甘えて頂きます」
「そうしてくれ、ではな」
そう言って紅のローブを着た男は
僕に背を向けて去っていった。
あ、名前を聞き忘れたと思い
ウィンドウで彼を確認してみたが…
??? レベル???
何も分からなかった。
そしてフラフラした足取りでゴンザがやって来て
「た、助かったのか?奴は知り合いか?」
「いや、初めてです。そしてコレです」
ゴンザと供にエリを起こし三人で
ポーションを分けて飲んだ。
「急いで街に戻りましょう」
「そうだな」
「はい!」
そして僕達は九死に一生を得たのだ。
モンスター狩りに行く場合も
無理をしない事を僕達は決めたのだった。