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(僕はここで死ぬのか…)
オオトカゲ希少種はこちらを向き
僕を狙いに定めている。
(嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌
だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
まだ死にたくない)
でも足が震えてその場から動けない。
(現実に帰って楽しく過ごすんだ。
まだ友子に告白だってしてない!
まだまだ死にたくない)
現実世界にいる一人の女の子を想う。
オオトカゲ希少種がこちらに
向かって突進して来る。
でも足が震えて言う事を聞かない。
(動け、動け、動け、僕の足!)
オオトカゲ希少種が僕に迫る。
(もう…ダメだ…)
今現在がスローになる。
そして頭の中に走馬灯が流れる。
今までの楽しかったこと、辛かったこと、
生きて来た16年間が流れた。
「斬破‼︎」
聞きなれない男の声と刃の衝撃波が飛んで来て
オトトカゲ希少種の首を切り裂きあたまが落ちた。
「た、助かった…」
首と胴は光の中粒子となって消えて行った。