77話 慣れない試合?
―スッパーン。
―パーン。
―パーン。
―パーン。
「ラインぎりぎりだぜ。スッゲー…。」
「どこまで練習すればあーなるの?」
「「さぁ?」」
―パーン。
―パーン。
ここまで正確に打ち込んでこれるか?
周りの声にも動じなくなってきたって事なんだろうか。
このまま続けるか…思い切って攻めるか。
―パーン。
―パーン。
あっちがミスをする事はなさそうだな。
このまま長引けば…やっぱこのままって訳にはいかないな。
「…いきます!」
―ズパァン!
―パン。
「むぅ。さすがに気づくか。」
―スポーン。
―パン。
―ズパァン!
―パン。
―スポーン。
―パン。
―ズパァン!
―こつん。
「…ぽ、ポイント。スリー・ワン。」
「その勘の良さ。ドロップとスマッシュで緩急も絶妙だ。」
「それすら対応していたように見えましたが。」
「さぁ次にいこうか。」
「ふぅ。もう慣れたか。」
動きが硬かったがもうこの状況になれたと見える。
さっきのようにはいかないだろう。
きっついなぁ…ふふ。
「「きゃー!兵頭様!」」
「兵頭様が笑ってるわ。」
「かっこいいー!」
「翔のギャラリーは熱狂的だな。来い!」
なにやら俺の後ろが少し騒がしくなった。
「「せーの。網野師匠ーー!!」」
「網野師匠いっけー!」
「網野さーん!」
「熱狂的なら網野さんも負けてませんよ…ね!」
―スッパーン。
―ズパァン!
―パン。
―スポーン。
―パン。
「うむ。温まってきた。」
―ズパァァン!!
―ごつん。
「っく。次は拾いますよ。」
「はは。やってみるがいい。」
俺もまだまだだな。
周りの空気に慣れてないとか、網野さんには些細な問題だったか。
「次行くぞ。」
「はい。お願いします。」
―スッパーン。
「せや!!」
―ズパァン!
ーパン。
「まだまだ!」
ースポーン。
ーピン。
ーピン。
ーパン。
「ここでそんな角に!?」
「ふふ。翔なら取れるだろう?」
ーパーン。
「っと。後ろか。」
ーパーン。
ーパーン。
ーパーン。
「師匠のクリアってあんな綺麗に飛ぶよな。」
「兵藤様だって綺麗よ。」
「うん。分かってるよ。」
「俺達って凄い人に教えてもらうんだな…」
ーパーン。
ーパーン。
ーパーン。
クリアに緩急つけてるんだけど、全部うまく合わせて来るな。
気を抜けばあのスマッシュくるしなぁ。
さてどうしたものか。
ースポーン。
網野さんが先に動いた。
俺が考え出したらすぐ次の手でくる。
よく読んでると思うわ。
それに守る気は無いみたいですね。
「…俺もその方がいいです。」
ースパ!
「む。」
ーピン。
ーパシュ!
ーこつん。
「…あ。サービスオーバー・フォー・ツー、マッチポイント。」
「よし!」
「崩したつもりだったが、凄い集中力だな。」
「久々ですが調子いいです。それに楽しいです。」
「それは私もだよ。」
ようやくマッチポイントだ。
このまま決めたいが、網野さんがこのままって事は無いだろう。
油断せずにいかないとな。