65話 町長さんこれは?
「もぐもぐ。ん。ん?」
「んーん。もぐもぐ。ん。」
「ん。もぐもぐ。」
「おう、これは会話になってるのか?」
「あれが、美味しいだの。これもいいよ。みたいな事言ってます。」
「坊主にはあれが、分かるんだな…。」
「なんとなくですよ。確かにこれ美味しいです。」
家に戻って俺達は貪るように食事をする。
果物が多く取れる町だけあって、いろいろな果物に少しの肉料理。
「今はこれしかないが、ウマイと言ってくれるならありがてぇ。」
「この肉って町の人が狩りをしたりしてるんですか?」
「罠を仕掛けて狩ったりはしているが、坊主みたいに正面きって戦闘はしないがな。」
「はは。あれは偶々です。」
「いやいや。地面に刺さった魔物を回収できるし、暫く食事にはこまらねぇし助かった!」
「それは何よりです。で、今回はあの蛇が討伐の対象ですか?」
「おう。こっちでも少しは戦えそうな奴を用意したが必要か?」
「んーどうでしょう。網野さんはどう思いますか?」
「んぐ!?…!」
俺と町長で話をしていて、蛇の討伐の為に何人か用意してくれたみたいだ。
俺は戦闘って3人でやるつもりだったけど。
網野さんに突然話を振ったら、驚いたらしく必死に飲み物を探している。
「はい、きりんちゃん。慌てて食べるからだよー。」
「あ、ありがとう。こ、これ美味しくて。」
「はっはっは!そりゃ良かったが、まだ沢山あるんだゆっくり食べても大丈夫だ。」
「網野さん突然話しかけてすいません。蛇の討伐についてなんですが。」
「え、えと。わ、私達だけで。や、やろうかと思ってたけど。」
「話は聞いてたんですね。了解です。でいいですか?」
「お、おう?まぁ、いらんなら助かるが。」
先輩が飲み物を渡して、網野さんは落ち着きを取り戻した。
町長はゆっくり食べても大丈夫だって言ってるし、確かに落ち着けば言いと俺も思う。
蛇の討伐で話を聞いていないと思ったが、しっかり聞いていた。
食べてる事に夢中だと思ったが、さすがは部長。
網野さんも俺と同じ考えで、3人で戦うつもりだったみたいだ。
町長は少し驚いていたが、特に止められたりしないのは俺が蛇をふっ飛ばしたからと後で聞いた。
「んじゃワシは帰る。寝るのは2階使ってくれ、風呂はそこにあるから適当に頼むぞ。」
「はーい。きりんちゃん一緒に入ろうよ。」
「え、え?う、うん。」
「……へ?あの町長さん?」
「ん?なんだ?」
「町長さん帰るって?」
「あぁ。家に帰るぞ。じゃ、また明日だ!」
「はい、ありがとうございました。おやすみなさい。」
「戸締り頼んだぞ、イケメン君。がははは!」
そう言って町長は出て行った。
網野さんと先輩は風呂に。
俺は食器類を洗い2階に上がってきた。
「良かった2つ部屋がある。」
一つ目の部屋を開けたら、大きいベッドが一つ。
これは3人で寝れるな…。
「って寝ないけどね!!」
二つ目の部屋を…
「こっちは物置か。よし、1階の椅子で寝るか。」
町長はもしかしてわざとなのか?そういや、イケメン君とか笑ってたな…。
町長には明日ちゃんと話しないとだな。
風呂から上がった2人を手前の部屋で寝るように言って俺は1階に降りる。
こうして、慌しくも始まった依頼の一日目は終わった。