55話 聞いたのは間違いだった?
「ぬぉぉ!!」
「うわ!びっくりした。」
「…煩い。」
ローランドさんが飛び起きた。
突然だったから、俺は結構驚いた。
「ローランドさん大丈夫なんですか?」
「ん?あぁ、問題ない!ははは。」
「…。」
「ところで、あの光景はなんだ?」
「なんといいますか―。」
俺はローランドさんが倒れた後の話をした。
俺がヘレンさんと戦った事。
ルカさんが嫌がってリコさんが先輩と戦って殴り合いをしていた事も。
「それであの握手か。分からんでもないな。」
「そうですね。あ、聞こうと思った事があって。」
「おう。なんだ?」
「ルカさんが見るって言ってましたけど、何の事か分かりますか?」
「んーあれか。説明されたんだが、俺にはよく分からなかった!スマン!」
「そ、そうですか。ヘレンさんは?」
「…ルカに。」
「その方が早いって事ですね。聞いてきます。」
俺は怪しげな眼鏡に薄ら笑いをしているルカさんに…。
「お疲れ様です。和歌先輩。」
行かずに俺は先輩に話しかけた。
体を心配されたけど、大丈夫と伝えて安心して貰えた。
先輩はリコさんとの戦いで、ほぼ防御をしたので大きな怪我もなかったみたい。
「あ、翔くんここどうなってる?」
「あー、ちょっとタンコブできてますね。」
「やっぱり?ここだけ痛かったよ。」
前髪を上げてぶつかった所を見せてくる先輩。
あんな鈍い音がして、タンコブですんで良かったですよ。
「あ。そう言えば、網野さん。」
「ん?どうした?」
「ルカさんが眼鏡してるのは、さっき言っていた見ると関係が?」
「え!?ここでそれは…。」
「え!翔これに興味があるの?」
話を聞いていたのか、ルカさんが話しに入ってきた。
丁度いいので俺はそのまま聞いてみる事にした。
…その考えが安易だった。
それに気がついたのは大分後の話し。
「いい?まずはこの眼鏡なんだけど。なんだと思う?」
「え?んー何かを見る為の物?」
「正解よ!それでねこの、眼鏡が何を見ているかと言うとね――。」
―簡単に纏めるとだ。
眼鏡で魔力の色を見えるように出来るらしい。
魔力の流れ、力の強弱、色の濃度と見る事は多い。
それら全てがルカさんの研究材料で、新たな物を作り出すきっかけを作るようです。
途中までは俺も興味があったので良かったんだ。
魔力の使い方や特徴、強弱や色の濃度なんかは勉強になった。
ただ…。
「翔聞いてるの!」
「はい!」
「でね…―。」
この眼鏡を作るのが大変だったとか、苦労話などが8割程。
何度か繰り返してる時に気がついたが、俺の周りには誰も居ない事に気がついた。
遠くで目が合った、網野さんは片手を上げて「すまないな。」と聞こえてきそうだ。
ローランドさんとリコさんは両手を合わせて合掌!ぐっ…。
先輩は、楽しそうにヘレンさんと組み手をしてる。
「ちょっと翔!次がいいところなの!聞いてるの!」
「はいぃ!!」
この話はお昼まで続いたんです。
俺も体を動かしたい…。