48話 本当に忘れてたんです。
「ふぅ。食った食った。」
「ローランド行儀悪いわよ。」
「あ、すいません。」
結構あった料理もなんだかんだですぐなくなった。
俺も結構食べたし、そう言いたい気持ちは分からないでもない。
「で、では明日の事なんですけど。」
「明日も試合するの?」
「和歌との決着もつけたいけど。そうもいかないかもね。」
「そ、そうなんです。あ、明日は戦闘訓練をやろうかと。」
網野さんが明日の事を切り出して、先輩は試合がしたいみたいだけど。
そうもいかないらしい。
戦闘訓練か…前に学園長が戦う事もあるとか言ってたし。
いつかはやると思っていたけど。
「始めに戦闘訓練ではダメだったんですか?」
「ふ、2人にはまず魔力について。し、知ってて欲しかったから。」
「バドのれんしゅ…訓練は魔力を知るのに丁度いいとかですか?」
「そ、そうです。う、運動は魔力を使うのに効率もいいので。」
「確かに使い方といいますか、コツみたいなのは分かったような。」
網野さんが思うに、バドミントンで魔力に慣れてもらう目的があったみたいだ。
先輩にはリコさんの突進とか、大いに役に立ったと思うし。
俺も網野さんやルカさんの動きとか参考になったのは確かだ。
「本当はちゃんとした、戦闘訓練もやる予定だったんだけど。」
「さっきの戦いも急でしたしね…。」
「そうね。私達は3次部隊だったから、そうそう戦闘には参加しないと思ってたわ。」
「ん?3次部隊ってなんですか?」
「なんて言えばいいかしら?んー。」
突然の要請で戦いになったけど、戦闘訓練はやる予定だったみたい。
3次部隊って聞きなれない単語に質問したけど、ルカさんもどう言えばいいか考えてる。
それにヘレンさんが補足をくれた。
「…部隊編成。」
「部隊編成ですか。ではサッカー部隊が2次とかですか?」
「…あぁ。」
「では、1次は違う部隊の人達ですか?」
「…あぁ。」
「まぁそんな感じよ。1次の部隊と学園長は、昨日から先行して森の奥に行ってるわ。」
俺の知らないところで、学園でいろいろ動いていたのか。
そう言えば食堂で見ないと思ったら、学園長が先行してって。
それっていいのか?
「学園長が先行してもいいのですか?」
「いいんじゃないかしら。あの人には適度に暴れる事も必要だし。」
「そうなんですか…。」
適度に暴れるってなんだ?
とりあえず、気になるけど今はスルーしておこう。
「ま、そういうわけで。ちょっと予定は変わったけど戦闘訓練で。いいのよね?きりん。」
「う、うん。あ、明日の8時くらいにここで。」
「そうね。3人も眠そうだし、お開きにしましょう。」
静かだと思っていたら、先輩とリコさんとローランドさんが半分寝てるし。
「で、では。お、おやすみなさい。」
「おやすみなさい。」
「…お疲れ。」
「皆さん、おやすみなさい。」
ルカさんがお開きって言ってすぐふらふらしながらリコさんとローランドさんが歩く。
挨拶をして、2人の後に網野さんとルカさんとヘレンさんが着いて行く。
「和歌先輩戻りますよ。歩けますか?」
「んー…ネムイ。おんぶー…」
「はぁ、しょうがないですね。行きますよ。」
しょうがないと思ってないけど、先輩をおんぶしてある事を思い出した。
「あ、部屋の事。また言うの忘れてた…。」
確信犯ではありません。本当に忘れてたんです。
濃いおじさ…サッカー部隊の人達で忘れてたんですよ。
おんぶをしている背中のぬくもりを誤魔化す為か。
俺は心の中で言い訳をしつつ部屋に戻ることにした。
ユニーク1,000に到達!
少しでも読んでくれた方々に感謝を。
ありがとうございます。
もう少し更新頑張ります…。