45話 何を考えてるのかなー?
俺と先輩は食堂に来た。
「んーまだ居ないのかな?」
「見たいですね。とりあえずこの前座ってた所に行きますか。」
「そだねー。」
前に来た奥の席に移動する事にした。
……ざわざわ。
何か視線が集まってる?心なしかざわついてるような…。
「ん?翔くんどうかした?」
「あ。いえ…何でも。」
気のせいではないな。俺達見られてる。
…違うな。見られているのは先輩だ。
シャワー浴びた後だからか、艶やかな黒髪。
白いワンピースがさらにそれを引き立てる。
「和歌先輩。湯冷めしますよ、これ着ててください。」
「え?あ、うん。ありがとう。」
俺は先輩に着ていたシャツを渡して、周りを睨みながら奥へと進む。
「そんな怖い顔してどうしたの?」
「…。」
「あ。すいません。」
奥の席に座って暫くしてルカさんとヘレンさんが来た。
ルカさんに怖い顔してるって言われた。
そんな怖い顔していただろうか?
「…ルカ。」
「何?ヘレン。」
ヘレンさんは一言ルカさんに喋り、目線でルカさんに伝える。
それを読み取り周りを見渡す。
「ふーん。成る程…翔も大変ね。」
「いや、別に…俺は何も…。」
「翔が言うなら、そういう事にしとくわ。」
「…それでお願いします。」
さすがヘレンさんを読み取る人だ。
いろいろ察しが良くて助かります。
「ん?なになに?」
「きりん達はまだかしらね。」
「そだねー早く来ないかな。お腹すいたよー」
「先に食べてもいいのよ?」
「んー。折角だし待つよ。」
自分が注目されてる事を分かっていない先輩が話しに食いついてきた。
俺は少し焦ったけど、ルカさんが上手く話を逸らしてくれた。本当に出来た人だ…。
「…兵頭。」
「…あ、俺か。何ですか?」
いつも周りの人から翔と呼ばれているからか。
17年間兵頭やってるけど、たまに苗字で呼ばれてぴんと来ないときがある。
あれ?でも戦いの時は翔って呼ばれていた気がするけど。
「…気をつけろ。」
「ですよね。気をつけてるんですが難しくて。あ、それとヘレンさん。」
「…なんだ?」
「俺の事、戦いの時は翔って読んでませんでしたっけ?」
「…?」
「いや、さっき兵頭って呼ばれたので。翔でいいですよ。」
「…あぁ。」
先輩はルカさんと。俺はヘレンさんと暫く話をしていた。
すると、入り口の方が少しざわついている。
何かあったのかと、ざわついてる方を見てみる。
ざわついてる原因の人は置くの席まで歩いてきた。
「み、みなさん。お、お待たせしました。」
「あら、きりん遅かったわね。」
「と、途中でサッカーの人に捕まって。」
ざわついていた原因は網野さんだった。
金髪ショートの小柄な女の子が、真っ赤なフリフリのパジャマを着て現れた。
さっきの先輩はきっとこんな感じだったんだろうな。
先輩は黒髪ロングで白いワンピースで、背も高めでスタイルがいい。
喋らないで佇んでいれば、綺麗なお姉さんだし。
可愛い人、綺麗な人を見てしまうのはしょうがないか。うんうん。
「翔くーん。何を考えてるのかなー?」
「え!?いや、何も!」
「ふーーん。ま、いいか。」
たまに先輩は俺の心が読めるのではないかと思う時がある。
ゴメンナサイ。先輩は黙ってなくても綺麗です。はい。
俺は心の中で1人思うのであった。