表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
結構マジでやってます。  作者: みけな
第三章 旅の終着とその先。
151/162

151話 強めの一撃って?

早朝に出発する事になって町の入り口に行くとナグモ町長が居た。


「しかし来るのも突然だったが、もう少しゆっくりしてったらどうだ?」

「私達は止まれないのだよ。次のわくわくが私達を待ってるの〜。」

「姉ちゃんはいっつも元気だな。」

「うん!ゆっくり寝て元気いっぱいだよ。町長さん、お家ありがとう〜。」

「おうよ。またゆっくりしに来いや。」

「ではナグモ町長ありがとうございました。和歌先輩、行きますよ。」

「は〜い。」


森果町を出た俺達が向かうのは未確認の西側。

海沿いだとまた何もなさそうって事から森を進む。


「ねー翔くん。一つ提案があるんだけど〜。」

「え!?」


いつも勝手に物事を進めちゃう先輩が提案と言われ驚いた。

あの先輩が考えて俺に提案なんて!


「む。今何考えてた?」

「あ、突然声かけられて驚いただけですよ…な、なんでしょうか?」

「ふーん。まぁいいや。走る順番と戦闘順番で何だけどさ〜…」


先輩の考えは意外にもしっかりしていた。


まずは縦1列で走る隊列。

魔物がいた場合は先頭の人が魔物を一人で討伐して列の最後尾に回る。

複数の場合は次に順番の人が戦う。

最後尾が辺りを警戒しつつ休憩。

走る時は風の影響受けず走りやすいだろうし、そもそもある程度早く走ってるから追いつく魔物もそんないないだろう。


「「「「……。」」」」

「なんかダメかな〜?面白いと思うんだけどな。」

「面白いからって言うのはよく分からないけど、和歌が考えたのに理には適ってる気がするわ。」

「3人は大丈夫として、僕と天が戦闘中に苦戦とかしていた場合はどうするんですか?」

「次の順番の人が観察して乱入でいいかなって。私はその辺よく分からないから順番は…私、天、きりんちゃん、奏人くん、翔くんでどうかな?」

「坂俣さんをきりんさんが見て、奏人さんを俺が見るのか…まぁそんな苦戦はしないと思いますが備えるに越したことはないか。」

「そー言う事。きりんちゃんもそれでいい〜?」

「……あ、あぁ。」


先輩の提案に俺ときりんさんは驚きと戸惑いしかない。

ダメという理由も無いし、とりあえずこの隊列で走る事になった。


「よーし、出発するよ〜。」

「天、和歌に着いて行ってくれ。」

「あ、はい。フォローよろしくねきりん。」

「あぁ、問題ない。」


意気揚々と飛び出す先輩に坂俣さんときりんさんが続く。


「では僕らも遅れを取らないように行きますか。」

「そうですね。よろしくお願いします翔さん。」

「こちらこそ。」


その後ろに続いて走り始める。

先輩が先頭からかペースが少し早めだな。

きっとこの先に何があるか速く知りたい感じだな。


「ちょっと和歌!前から何か突っ込んでくるわよ!?」

「早速お出ましだね〜猪かな?」

「これ止まるの?和歌が避けたら後続に直撃よねこれ?」

「そんな事はしないよ〜まぁ見てなさい。」


そう言うと先輩はスピードを上げ猪に近づき飛び蹴り一発。

勢いを止められない猪は体制を崩し、頭から地面に倒れ込みそのまま突き刺さる。


「ほら、止まった。じゃ次は天が先頭だね。ゴーゴー。」

「猪を真っ正面からってめちゃくちゃね…。」


地面に刺さった猪の魔物はそのまま動かなくなった。

気絶でもしてるのか、そもそも一撃で倒したのか…。

HPゲージが無くなるとか戦闘の経験値が入ってくるわけじゃないから、見た感じでは分からない。

とりあえず、向かってくる気配が無いから猪はそのままにしてまた走り始める。


「このルートはあってるのかしら?」

「目的地は決めていないんだ。好きに進んでも良いだろう。」

「…あ、うん…。」

「ん?どうした?」

「よし、聞いてみることにするわ。きりんは口調がたまに変わるのはどうして?」

「そうか?そんな変わってないと思うが。」

「まさかの無意識!?きりんの中じゃ些細な違いなのかしら。」

「些細な違い?慣れないものと喋るのは、少し戸惑うくらいだな。」

「そう言えば、ずっといる翔とは普通に喋ってるわね。」

「ず、ずっとは、い、居ないぞ。」

「なぜそこで慌てるの?」

「あ、あ!天魔物がこちらに来てるぞ。」

「そんなタイミングよく…来るものね。」


順調に進んでいたが、またも前方から猪の魔物がやってきた。

前で何か話し声が聞こえる。

きりんさんがいるんだし、何か指示やアドバイスでもしてるのかな。


「和歌みたいに正面?頭上から蹴り落とすのがいいのかしら?」

「それでもいいが。真似るなら自分が思う魔力を少し多めに当てて感触を確かめるのがいいだろう。」

「弱すぎて反動やダメージ負わないようにかしら?」

「その通りだ、来るぞ。」


坂俣さんは先輩同様に猪を沈めた。

魔力の調整がまだ必要だけど、若干鈍い音が響いた気もする。


「天はもう少し魔力抑えめでいいかもね。あの子きっと頭凹んで…」

「和歌。それ以上言わないで頂戴。あの音聞いてちょっとぶるっときたから。」

「でも貫通しなくて…」

「それ以上はいいわ。」


きりんさんが先頭で走り…お?


「きりんさん。気持ち右斜め前に走ってください。」

「?…あぁ。」

「あ、今度は左斜め前に。」

「お、おう。」


きりんさんがジグザグだが前に進んでいるだと!

そしてまたも正面から猪の魔物が。


「先程とは違うやり方を見せるか…。」


そう言うときりんさんは相手の突進を避けて真横に移動。

真横を過ぎるその間に横っ腹に蹴り。

森に中を一頭が転がりつつ木にぶつかり止まる。


「軽く蹴ったつもりだったが動かんな。まぁこんな感じだ出来そうか?」

「さっきの真正面からよりは自分向きかと。」

「脚をかけるなり、隙だらけだから強めに入れてもいいだろう。では私は後ろに。」

「はい。ありがとうございます。」


正面から迎え撃つのもそうだが、回避で過ぎ去る前に一撃も難しいと思うけど。

まぁこっちに来れば俺が対処すれば良いのか。


「ねーねー翔くん。」

「ん?どうしました和歌先輩。」

「天が強めな一撃見てみたいっ言うんだけど。翔くん次の魔物でやって見せて欲しんだ〜」

「構いませんが…さっきの正面ので?」

「ん。魔力多く使うとこうなるって見せてあげたいんだよね。」

「あ〜魔力の参考になるんでしたら。」


妙な注文受けたな…あ、また猪だ。

奏人さんはきりんさん同様に回避からの一撃。

きりんさん程派手に転げ回ってないが、それでも動かないくらいの一撃は与えられたみたいだ。

坂俣さんも奏人さんも凄いな。


さて次は俺か…また猪かな…。

お、猪の魔物……ん?


「和歌先輩。遠目でも分かるんですが、木を薙ぎ倒しつつ来てますよね。」

「そだねー大っきいのかな!いいな〜」

「ちょっと!?あれ正面とか吹っ飛ばされるんじゃない?」

「翔くんだし、大丈夫だよ〜」

「あいつなら大丈夫のバーがよく分かんないんだけど。これ回避した方が良くない?」

「翔くん!後ろは避けないから止めてね〜。」

「そんな無茶な要求…」

「了解っす。」

「了解しちゃうんだ…。」


俺は少し高めに飛んで、走る距離に高さもぴったりだ。

後は要望であった強めか…速く攻撃したら貫通とかするんじゃなかろうか…。

魔力多めに打ち込めばどうにかなるかな?


「せぃ!は!!」

―ズゥゥゥン!!!


「少し離れてて正解だったね。」

「「……。」」

「突然止まれと言うから何かと思えば。どうしてこうなったんだ?」

「天が強めな一撃やったらどうなるかって言うから、翔くんに要望を出したの『強めの一撃』って言うのを。」

「どう解釈したらこの惨状になるのか…。」


皆が少し離れた所で俺の様子を伺ってた。

魔物は綺麗に地面に埋まり、辺りが軽く凹んでる気がするけど…ま、こんなもんか。


「強めの一撃ってこんな感じでいいですかね?」

「想像してたのと違ったけど、返り血浴びると洗うの大変だしいいかな。」

「そう言う問題?和歌が言って思い出したけど、蟹にも同じ事してたわね…クレーターは出来なかったけど。」

「天…あそこは砂浜だから衝撃が吸収されたんだよ…。」

「ん?とにかくもう動かないから先行きましょうか。」

「「そりゃ動かないでしょう…。」


なんだか腑に落ちない反応だけど、特に問題なさそうなのでこおまま進むとしよう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ