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結構マジでやってます。  作者: みけな
第三章 旅の終着とその先。
149/162

149話 慣れって怖い?

朝一今日は町の入口にいる。


「本当に走るんだ…私は遠慮したいんだけど。」

「これからこれ以上の距離走るかもだし、慣れておかないとだよ天。」

「それはそうかもしれん無いけど。ねぇ和歌、ここの外周って何キロあるの?」

「1時間〜2時間走るくらい?距離ってどうやって確認するんだろうね〜」

「聞く人間違ったわ。でも1〜2時間ね…。」


明らかにテンションが低い坂俣さんに元気いっぱいな先輩。

これからの移動で長距離走る事もあるし、今走る事に慣れておくといいって的を得た先輩の話に渋々付き合う形になっている。


「では走り始めますが、それぞれのペースでいいので完走しましょう。」

「あんたはマラソン大会の校長挨拶みたいなこと言うのね。」

「ぶふっ…走る前に笑わせないでくれ天。」

「ん!とにかく行きますよ。よーいどん!」


先輩ときりんさんが先頭を走り出す。

その後ろを坂俣さんと奏人さんが追いかけて、2人を挟んで俺が最後尾で走り出した。


「2人にしては控えめね。もっと速さ上げると思ったけど。」

「いや、麻痺してるようだから言うけど。普通に自転車くらいの速度出てるからね?」

「え?よく分かんないわ。いつもよりゆっくりだなくらいかしら。」

「天も徐々に…慣れって怖い。」


坂俣さんと奏人さんが言う通り始めは少しゆっくり走り出している。

始めから全力だと途中で倒れた時に入口まで戻る事を考えると大変だし。


奏人さんが言うように慣れって怖いと思う。

普通の人が時速20キロくらいを2時間維持して走る事が出来るだろうか。

オリンピックとか世界記録を持つ人達ならってくらいのはず。

時速20キロを2時間だとすると40キロ……フルマラソンって42.195キロだったかな?

そんな考えをしつつ前を余裕で走る2人を見守る俺。


「……。」

「……。」

「後ろが静かになったね。」

「喋ればその分、呼吸が乱れてきつくなりますからな。」

「そんなもんかな〜マラソン大会とか友達と喋りながら走ってたけどな〜」

「マラソン大会?マラソンは走る事だとして、大会とは?」

「走る事を競う事かな。」

「和歌の世界では走る事を競う事もあるのか?」

「本気なのもあるけど、私の言う大会のは…何故か走るだけ〜順位あるけどそれが?って感じ。」

「なるほど。」

「あ、でも翔くんはいっつも入賞してたよ。」

「翔は速いし真面目だからな、人と話してダラダラとかしなさそうだ。」

「それじゃ私がダラダラしてるように聞こえるよ〜」

「和歌はよくも悪くも人に流されるからな。周りが喋りたい者が多かったのだろう?」

「…なんかきりんちゃん、見てきたように正確に射抜くね。」


今は大体1/4走ったところかな。

先頭を走る2人が静かになった2人を気にしつつ走っているみたいで何より。

暴走し始めないか少し心配だったんだよな。


マラソン大会か…そう言えばあったな。

結局何の為にあったのか分からないけど、普通に走るだけで友達と喋りながら走る人もいた。

俺はマジで走ってましたけどね。


なんかきりんさんの評価が高いのが気になる…ただ特別仲が良い人と話す事がないだけなんですが。

先輩の性格から交友関係とかもピタリと当ててるし、本当にその場に居たかのような気もしている。

きりんさんは真面目に上位入るタイプ…かな?


「…は、は、は。」

「…ふ、ふ、ふ。」


半分来たくらいで少し息が上がってきたかな。

いくら魔力とかあって瞬発力とか脚力上がっても、持久力に関してはどうしようもないしな。

楽な走り方をして体の動きを魔力でサポートして負担を減らすくらいか。


「そのままでいいので聞いて下さい。」

「「……。」」

「参考程度に長距離走るコツ的なのをいくつか。

背筋は伸ばして気持ち前傾になるくらいで、手は多少振る感じで。

地面に着く足を踵からいくと負荷がかかるので、膝と地面が垂直になるイメージで腕の振りで少し跳ぶように。

呼吸は気にせず自分が楽な方で、魔力は姿勢維持や足へ多少使うくらいのサポートで。」


2人は聞いていたみたいで少し姿勢も走り方も変わった。


「やってみてくれてありがとう。その姿勢が楽だと思うならそれで、きつかったり走りにくければ自分なりに戻して下さい。フォームは人それぞれですし、俺が言ったのはあくまで長距離走る一般論なだけなので。」


後ろにいる俺に向けて手で合図してくれる2人。


こんな光景を前にどこかで見た気がする。

走る人を応援したりアドバイスしたり…なんかすごく懐かしいな。

さて残り半分!…って言うとまだあるのかとかなりそうだから、言うのはやめておこう。


「2人共いい感じです。この調子でやっていきましょう。」

「「……!」」


息のあった2人は親指を立ててグーサインで返してくる。

さ!あと半分頑張れ2人共。

心の中でそっと2人に応援してみる。


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